第4話 古い町並み その1

「ふう、おいしかった」

「そうだね~」

「量と魚の質がいいのに、この値段は安いわね。流石、漁業組合直営だけあるわ」

「これで日本酒もあれば、最高なのに~」


空さんは残念がるけど、お酒はまだまだお預けだから仕方がないかな。


「さて、観光だけど~チェックインの時間まで、まだまだ時間はあるね」


朝の6時に出発したけど、道が混む事も考えてだったけど

高速も一般道も思ったよりも空いていて、道中に休憩や少し寄り道もしたけど

それでも予定よりも早く着いた。

今居る道の駅で食事をして1時間程経ったけど、それでもチェックイン

の16時まではまだ2時間ある。


「近くに競輪場があるみたいだけど、流石にやめとこかな」

「空さんはギャンブルをするのですか?」

「競馬、競輪とこう見えてもギャンブラーだよ、と行っても初めて1年ぐらいだけどね~」

「そうなんですか」

「おじさんが好きだから始めたけど、堅物そうで結構ギャンブル好きだからね~」


おじさんと言うのは夕のお父さんの事だけど、夕のお父さんは堅物に見えて

お酒ずきでギャンブルも好きだから意外だったりする。


「空お姉ちゃんは~お父さんに色々教えてもらってるからね~」

「そうなんだ」

「おじさんとわたしって、結構気が合ってね~確かにまじめで厳しいけど

気を抜く所はとことん抜くし、意外と遊び人だからね~」

「おじいちゃんも~厳しかったけど~遊ぶ時はとことん楽しめ~だったからね~」


つまり、オンとオフをしっかりするって事かな。


「でも、高校生がいってもいいのですか?」


温海が聞くけど、競輪場に高校生が行ってもいいのかな?

それに、高校生は買う事はできないはず。


「大丈夫、今は賭ける所でなくていろんなイベントもあって、遊びに行く所だから~」

「そうなんですか?」

「子供連れでも楽しめるようになってるし、レース見るだけでもたのしいよ~。

それに、競輪場や競馬場のグルメもあるしね~」

「そうなんですね」

「とはいえ、旅打ち……旅行しながら買う事だけど、JKとすることじゃないよね~」


確かに、JKとする事じゃないよね。


「だから、資料集めを兼ねて歴史的な所に行こうかなって思うんだ~」


空さんはスマホの地図アプリを見ながら言うけど、たまにはそう言う所もいいかな。


「たまにはそう言う所もいいですよね」

「歴史に興味があるのかな~?」

「正直無いですが、推しが行くなら異世界、魔界、宇宙の果てだって行きます!」

「ははは~文乃ちゃんは大袈裟だな~」

「文乃場合、大袈裟でなく結構本気ですよ」

「そうなの?」

「文乃ちゃんは~冗談をよく言うけど~大体は本気だよ~」

「そうなんだ、文乃ちゃんは面白いね~」


空さんは笑うけど、2人が言うとおり本気なのは間違ないけどね。


「ところで、歴史的な所ってお城の跡ですか?」

「それもなくはないけど、山を登るみたいだから城跡はやめておこうね~」

「そうなんですか?」

「城跡といっても、山城で完全な登山だからね~」


空さんはからお城の名前を聞いて、スマホで調べたらガチの登山だった。


「ここはやめてたほうがいいですよね」

「そうだね。それに今から行く所でもないよね~」

「確かにそうですね」

「チェックインの時間もあるからね~」


城跡は諦める事にして、空さんは明治時代に建てられた

旧廻船問屋の建物があるというのでその建物を見に行く事にした。

車は道の駅に止めて、近くにあるLRTという電車が駅があるのでそれに乗っていく。

そして最寄り駅で降りると、その駅には使われていない駅舎があった。


「この駅舎は今は使ってないみたいだね」

「説明書きによると、以前はちゃんと駅舎として使っていたけど

開業当時のままの駅舎だから保存をして、今は休憩所としてつかっているようね」

「そうなんだ」


大正時代の駅舎らしく、以前はちゃんと駅舎として使ってたらしい。

あとLRTはライトレールトランジットのことらしい。

正直よくわからないけど、路面電車ってことらしけど。

この路線は普通の鉄道だった線路を元々あった路面電車と繋げて、路面電車の

車両がそのまま走ってるらしいけど......やっぱりよくわかってないけどね。


 それはともかく、廻船問屋だった建物を見に行く。

建物がある地区は、全部ではないけど昔の建物が残っている地区らしい。

特に廻船問屋だった建物がある所は、古い街並も残っている。


「確かに古い家ですね」

「作られたのは明治11年みたいね~」

「そうなんですね」


いまわたしたちが立っている建物は今は暮らしてなく、見学もできるそうなので見学をする。


「夕の家も古いけど、この家も古そうだね」

「うちは~大正らしいから~こっちの方が古いよ~」

「そうなんだ」


夕の家は大正につくられたらから、明治のこの家の方が古い。


「みんな中に入るよ~」


空さんに言わて、見学をするけど見学料100円は空さんが出してくれた。

中は部屋がたくさんあるんじゃなくて広い部屋を襖で仕切る仕組みだった。


「部屋が沢山あるんじゃなくて、襖で仕切ってるあるだけなんだ」

「そうみたいね。でも、夕の家も似たか感じよね」

「確かに」


お泊りで使う部屋も襖で仕切るから、似た感じか。

説明によると、囲炉裏の所は来客用や商談で使ったそうだ。

自在鉤には『あ』の文字があるのが面白いかも。


奥の部屋は柱あり、襖で仕切る仕組み。

襖を仕切ると6間になるけど、1間は6畳程度でここに廻船問屋の経営者家族や従業員が暮らしてたらしい。


「ここに家族や使用人、従業員を入れて20人ぐらいで暮らしてたのはすごいよね」

「主は自分の個室と言ってもいい所があったのね」

「障子で仕切られているだけで狭いけど、大勢で寝るよりもいいかも」

「これでもないよりはいいと思うわ」

「そうなのかな」


一応は障子で仕切られていて、個室と言えば個室だけど4畳ほどしかない。

ここで寝ていたそうだけど、狭いけどなんか落ち着きそうではあるけどね。


「昔の家ってプライバシーってないんだね」

「一応は襖で仕切ってはいるてはいるわよ」

「でも、襖1枚しかないし、声は普通に聞こえるだろうね」

「当時はそれが普通だから、気にしなったと思うわ」

「そんなものかな」


襖だけで仕切られた1間に4人ぐらいで暮らしてたけど、わたしには無理かなぁ。

たまになら我慢するけど、これがずっとだからね。

昔はプライバシーが無くても、それが普通だから皆気にしなかっただけか。


「このガラスガラスは~100年以上前のガラスらしいよ~」


夕が縁側にあるガラス戸を見て言うけど、100年前のガラスらしい。


「そういえば、なんか歪んでるよね」

「昔のガラスは、技術的な事もあって歪んでるらしいわ」

「へーそなんだ」

「このガラス戸は大正時代のもので国産ガラスらしいから、初期の頃だと思うわ」


温海がガラスを見て説明するけど、温海が意外に詳しい。


「温海がガラスに詳しいと思わなかったよ」

「さっきガイドさんがはなるのを聞いただけよ......」


温海は照れるけど、それでもちゃんと覚えて説目できるのはすごいよ。


「それでもすごいよ」

「単なる受け売りよ......」


温海は照れて顔を横に向けたけど、かわいいなあもう。


「温海ってかわいいよね」


わたしが何気なく言うと、温海は


「な、何言ってるのよ、文乃!?」


と顔を赤くする。


「いやぁ、深い意味はないから」

「あったら困るわよ、わたしには......夕が......」


温海は恥ずかしがってもじもじするけど、温海さんそれは意識しすぎだよ。


「なんか~2階もあるみたいだよ~」


夕がそう言うと温海は


「夕が行ってるから、2階にくわよ」


と温海は夕の元へと行ったのだった。


夕が2階があると言ってたけど、2階への階段はかなり急。

上がるのはいいけど、下るのは怖い。

あと、下から見たらスカートを覗けそう。


「これだけ急だと、スカートの中のパンツ見えそうだね」

「文乃はまたそう言う事を」

「でも、本当に~急だよね~」

「確かにそうだけど、文乃が言うと本当に覗きそうだわ」


文乃はそう言うけど、2人の下着姿はお泊りでの着替えとかで見てるんだよね。

もちろん、わたしの下着姿も見てる。


「お互いの下着なんて見慣れていし、覗く気はないよ」

「なんか、誤解のある言い方ね」

「実際に、お互いの着替えを見てるしね」

「余計誤解される言い方をしない」

「だって事実だし、他に言い方はない気がする」

「そうだけど......」


温海も確かにって顔をするが、先に2階に上がった空さんが


「3人共、早く上にあがってよ~」


というので、わたしたちも2階へと上ったのだった。

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