第3話 空と文乃は気が合う
車は順調に進み、予定よりも早くホテルの近くの道の駅に着いた。
ホテルがあるのは温泉で有名な所で、夏は海と温泉が楽しめるリゾート地。
そのリゾート地の中で、泊まるホテルは高級な部類に入るそうだ。
「あの見えてるホテルが泊まるホテル?」
「ええ、そうよ」
「ホテルの名前で検索したけど、結構お高いホテルだよね」
「うちの系列で一番高いホテルになるわ」
「うちの系列......社長令嬢みたいですな」
「みたいっていうか、一応は社長令嬢よ」
温海は社長令嬢だけど、普段はそんな感じはしないけどね。
そういえば夕の家も元大地主で、今も駅前に大きなビルを所有してる。
ただ、夕もそんな感じは全くしないけど、実は2人共お嬢様だよね。
「あまり気にしなかったけど、温海も夕もお嬢様だよね?」
「お嬢様ってじゃないわよ。父親の仕事の関係で礼儀とかは躾けられてはいるけど」
「わたしも~別にお嬢様じゃないよ~」
夕は性格的にお嬢様でないのはわかるけど、温海はツンデレすぎてお嬢様感がないのかな。
いや、ツンデレは関係ないか。
でも、育ちの良さは感じるし、食事の時の食べ方を見てると綺麗だし上品。
夕も食べ方は上品さがあるけど、わたしは正に庶民だよ。
「夕ちゃんは、お嬢さまじゃないよね~。どちらかというと、ママかな?」
わたしたちの話を聞いていた空さんがこう言うけど、親戚からみても
夕からママ感を感じるんだな。
「空さんから見てもそう思います?」
「思うっていうか、親戚の中でこう思ってるのは、わたしだけかもしれないけどね~」
「でも、夕がママなのはわかりますよ」
「文乃ちゃんもわかるんだ~」
「はい!」
わたしと空さんは何故が握手をするが、空さんとは気が合いそうだ。
流石、わたしの推し漫画を描いてるだけある。
「空お姉ちゃんと~盛り上がってるね~」
「みたいね。なんか、空さんと文乃は同じものを感じるわ」
「空お姉ちゃんの作品が好きだから~感性は同じかもね~」
「確かに、それはありそう」
2人が何か話しるけど、よく聞き取れないけどわたしと空さんの事を話してるのかな。
「チェックインまで時間があるから、何か食べて近くを観光でもする~?」
「そうですね、朝ごはんはコンビニで軽く食べたたけですし、折角だから名物を食べたいです」
「そうだね、ここは魚がおいしいしからね。ただ、まだお酒は飲めないけど」
「運転していただいて、ありがとうございます。電車でもいけるようですが......」
「別に気にしなくてもいいよ~。運転は好きだし、いいホテルにただで泊れるしね~」
今回の旅行は交通費もホテル代も出してない。
ホテルは温海が親にねだって手に入れたから、そこまで気にならない。
でも、空さんは保護者としても、車を運転をしてもらうのは気が引ける。
空さんには少しぐらい出すって言ったけど、空さんは
『こう見えても漫画で稼いでるし、高校生にお金を出させるわけにはいかないよ~』
と言って、交通費出さなくても良いとなったんだよね。
わたしとしては推しの漫画家に運転してもらうのは、天に昇る気持ちで
SNSで自慢したくなぐらいだけど、よくよく考えたらとんでもない事だよね。
それに、ただで旅行してるし。
「でも、ただで旅行するのは気が引けるかも」
「もう、高校生がそんなこときにしないの、こう見えても稼いでるだからね~」
「ホテルは温海がねだって手に入れたからそこまででもないですが
空さん......いえ、推しに運転してもらうなんて、昇天しそうですよ」
わたしがこう言うと空さんは
「わたしもガチファンにあったのは、初めだからうれしいよ~」
と笑うけど、笑うと夕に似てるけど親戚だからか。
「空お姉ちゃん~これからどうするの~」
わたしと空さんが話してると、夕が声をかけたけどお腹が空いたよね。
「文乃ちゃんと何か食べて、観光でもしようかなって話したところだよ~」
「そうなんだ~お腹も空いたから~何か食べたいな~って思ったんだ~」
「だったら、海鮮丼でも食べない?ここでもたべらるし~」
「それでいいよ~でも、お酒はダメだよ~」
「もう、わかってるよ、夕ちゃん。お酒はホテルで浴びるほど飲むからね~♪」
浴びるほど飲むって事は、空さんはお酒が好きみたい。
夕の家でも、空さんと夕のお父さんと朝までお酒を飲むっていったな。
夕のお父さんはとても堅い人だけど、お酒が好きだそうだ。
わたしと温海が音間蟻をした時、お酒を飲む姿を見ている。
そして、飲む量も多いけど、酔ってもあまり変わらない。
夕曰く、わたしと温海が来る時は飲む量を減らしてるらしい。
しかし、わたしと温海が居ても500mlのビールを5本静かに飲んでいた。
「ホテルだから~あまり飲まないでよね~」
「それは気を付けるよ。確か、ルームサービスも飲み放題なんだよね?」
「はい、この招待券の部屋はルームサービスでも飲み放題です」
「それじゃ、部屋で飲めば酔い潰れても大丈夫かな」
いや、酔い潰れるのは大丈夫でないような。
しかし、温海が手に入れた招待券は、至れり尽くせりな気がする。
お酒もソフトドリンクも飲み放題だけど、お酒は一部の高級なお酒以外はが飲み放題らしい。
空さんはここまでお酒が飲み放題なのは珍しいと言っていた。
「酔い潰れるほど~飲まないでよね~」
「冗談だって。編集との打ち合わせとかもあるから、浴びるほど飲まないよ~」
「ならいけどね~それじゃ~食べに行こうよ~」
「そうだね~」
わたしたちは道の駅の食事コーナーへ行って、名物の海鮮丼を食べる事にしたのだった。
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