第2話 空さん

明日はついにホテルへと向かうが、わたしは夕の家にいる。

なぜ夕の家にいるかと言うと、朝早く出発すため集合が楽なのと

夕や温海の家の方が高速のインターに近いためだから、夕方から泊りに来ている。


 もちろん、温海も一緒だけど、空さんも一緒に泊まっている。

そして、何時ものお泊りの部屋には夕の親戚のお姉さんが顔を見せた。


「野上 空です、よろしね~」


夕や夕のお母さんのように話すけど、これだけで母方の親戚ってわかる。

そして、しゃべり方だけでなく、胸もまさに夕の親戚って事がわかる。


「川奈文乃です、はじめまして」

「文乃ちゃんね、よろしく~」

「大牧温海です、はじめまして」

「温海ちゃんもよろしくね~」


挨拶をすると空さんは温海を見ると……突然抱きついた。


「!????????」


温海は驚いて声が出ないが、夕も慌てて2人の間にはいる。


「もう~空お姉ちゃん~ダメ~!!」


夕は温海と空さんを離すけど、流石に夕も大きな声を出すよね。


「ごんめんね、いかにも抱き易いかんじだったから~ついね~」

「それはわかるけど~せめて~一言言ってよ!」

「ごめん、ごめん」


空さんはテヘって顔をするけど......この前はおばさんも抱いてたし

温海は夕の一族を惹きつける何かを出してるのかな?


「温海は夕の一族を惹きつける何かを出してるの?」

「は、文乃何言ってるの?」

「ごめん、なんでもない」


文乃がツンどころか、ジト目でこっちを見たのでこの話題はよそう。

そして、空さんは夕の親戚なのは間違いない。


「明日は、朝6時にここを出るけど~いいかな~?」

「はい、大丈夫です」

「空お姉ちゃんこそ~大丈夫~?」

「大丈夫だよ、夕ちゃん」

「でも~うちにくると~お父さんと~空お姉ちゃんは~遅くまでお酒飲むし~」

「あれは翌日何もない日だけだよ、明日は車の運転をするから~大丈夫~」

「ならいいけどね~」

「それに、お酒はホテルに着いた飲むからね~」


空さんはニコニコしてるけど、温海が手に入れた招待券は

ホテルのツインルーム2部屋の宿泊に、ホテルの有料施設をすべて無料で利用でき

さらにビュッフェでの食べ放題に飲み放題(お酒も含む)が利用できるそうだ。


「ならいいけど~空お姉ちゃん、起きれるの~?」

「大丈夫、徹夜で原稿してたから……今から寝るからね......」


空さんはあくびをするけど......原稿って事は漫画家や小説家なの?


「夕、空さんのお仕事ってなに?」

「一応~漫画を描いてる~」

「え、そうなの?」


親戚が漫画家っていのもある意味お約束みたい感じだけど、一応って事はプロじゃないの?


「夕ちゃん、一応は酷いな~これでも連載2本抱えてるんだよ~」

「ごめんね~空お姉ちゃんの漫画は~BLだから~趣味じゃないんだ~」


BLを描いてるそうだけど、確かに夕はBLは読まないよね。

わたしもBLは興味本位で読んだりはするけど、百合か男女のラブコメがメイン。


「BLと男女のラコメだよ~」

「ラブコメもですか?タイトルを聞いてもいいですか?」

「ん~別にいいよ~」


空さんはタイトルを言うけど......わたしが買っているラブコメ漫画だった。


「え、そうなんですか!?その作品読んでますよ!

そういえば、その作品の作者のペンネームはSO-LAでしたね」

「おお~知ってるんだ~」

「知ってるも何も、本誌に全巻紙の本で集めてますし、電子版も勝ってるガチ勢です!」

「そうなんだ、ガチ勢のファンに会えるとね~」

「サイン、してもらってもいいですか?」

「いいけど~眠いか後でね~」

「わかりました、色紙買ってきます!」


空さんはあくびをしながら、別の部屋で寝るため部屋を出る。

ただ、今は19時だから今から寝ると早い気がするけど、お仕事でお疲れかな。

そして、わたしは色紙を買うために部屋を出るけど......部屋を出てから

色紙が売っている店を知らない事に気付いて、部屋に戻った。


「ねえ、近くに色紙って売ってる?」

「勢いよく出たから、知ってると思ったわよ」

「いやぁ、普段は色紙って買わないからね」

「近くの~文房具屋さんに~売ってるよ~」

「そうなんだ、悪いけど案内してくれる?」

「いいよ~ご飯まで時間がるから~散歩がてら行こうね~」

「そうね、一緒行くわ」


わたしは3人で近くの文房具屋さんに行くと、色紙を3枚かったけど

保存用、永久保存用、観賞用であるけど、3枚も書いてくれるかな?


色紙を買ってくると、丁度夕飯になったので頂く。

すっかり慣れたものだけど、伯母さんの料理も美味しいな。

そして、お風呂に入り歯を磨いて......22時には布団に入ったけど

何時もなら眠れるけど、今日は興奮して眠れない......

って思ったが、あっさりと寝てしまう自分がなんか悔しかった。


 そして、翌朝。


「荷物は全部積んだし~出発しても大丈夫かな?」

「大丈夫だよ~」

「温海、招待券はちゃんとある?」

「ちゃんとここにあるよ」


温海は手荷物の中からソフトケースに入った招待券を出すがちゃんとあるね。


「ならよかったけど、ほらこう言う時って何かトラブルが起こるのが定番でしょ?」

「そうだけど、現実でそんな定番入らないわよ」

「ははは~文乃ちゃんは~そう言う事言うんだ~」

「はい、わたしはリアルラブコメ展開を目指してますから」

「そんなの目指してたの?」

「一応ね、あとリアル百合カップルの観察も」

「そ、それはかなったでしょ」

「そうだけど......空さんが2人が付き合ってること知ってるよね?」

「もちろん知ってるよ~だから~一緒に来てもらったから~」


確かに、2人の関係を知ってないと頼めないか。


「今度は百合物を考えてるけど、2人を参考にさせてもらうかな~」

「少しぐらいはいいけど~あまり詳しくは~ばれるからだめだよ~」

「わかってるよ~。それじゃ、出発するよ~」


空さんは車を発進させて、ホテルに向かって走り出した。

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