十七日目

朗報だ。フェニックスの羽を魔法探知機で調べたところ、風魔法、火魔法、治癒魔法の形跡が確認された。何故今まで思いつかなかったのか。羽には当然ながら、魔法形跡が残っているはずだ。それと同じ魔法形跡を発見する事が出来ればフェニックスの足跡を発見したのと同義である。


そしてフェニックスの羽が流れてきた川のどこかで魔法探知機に反応があったのならば、それは非常に大きな手掛かりとなる。水浴びを行った場所が明確になることも考えられる。そうなれば後は待つだけという手段もある。


たった少しの気付きではあるが、これはとても大きな進展だ。次の行動が決まった。



そして、件の鳥の話だ。鳥たちから情報を得ることは可能か、という質問に対する答えは肯定だった。ソラによるとカラスが情報源として最も信頼できるとのことで、聞いてみて欲しいと頼んだが、時間が掛かるそうだ。


カラスが鳴く声は、地域によって癖があり聞き取りにくいものやそもそも鳴き方が違う場合もあるらしい。言うなれば、カラスの方言だ。ソラいわく、この山のカラスの方言は癖がないので他の地域よりは簡単だそうだが、それでも五日は掛かると言う。


しかし、そうなるとカラスを呼ぶことができたのはなぜか分からない。それを聞いてみると、緊急用の鳴き声を使ったというのだ。その他の会話を行うためには情報が足りないらしかった。



我々はそれを込みで今後の方針を決めた。

ソラは川辺でカラスとの交流で情報収集、私とモロは川を初めとして山の中の魔法形跡を探し、スピナはソラから離れすぎない程度の範囲内で食料の確保、をそれぞれ行う。



この二日間で魔法的にも生物的にも目ぼしい形跡は見つけられなかったが、少しの気付きでこの調査は大きく進展した。ソラが引き出す情報も、私とモロが見つける魔法形跡も一つ一つが決定打になり得る。



我々は現在、二つも大きな希望を掴みかけているのだ。



 勇者暦7■■年

 3代目 《極端な勇者》

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