最終話 俺は理奈が好きだから
理奈と付き合ってから少し経った。
今日は高校三年生の二学期の終業式。
俺にっての最大の人生の分岐点になった場所であり俺の後悔が凝り固まった時期だ。
けど、昔と違う点が一つだけある。
今の俺には最愛の幼馴染と恋人になっているという所だ。
「いや~これでもう高校生活も終わりが見えてきたね~」
「だな。冬休みを謳歌しないとな」
「うん!クリスマスに初詣。いろんなイベントがあって楽しみだよ!」
「すいません。秋宮さんすこしいいでしょうか?」
来た。
忘れもしないこの声。
こいつのせいでっていうのは都合が良すぎる。
最終的にこいつを選んでしまったのは俺自身だから。
「大丈夫ですけど何ですか?」
「少しここでは話しずらいことですのでついてきてもらってもいいですか?」
「わかりました。理奈ちょっと待ってて。すぐ戻ってくるから」
「うん。わかった。気を付けてね~」
理奈はニコニコしながら俺に手を振ってくれた。
その笑顔をみるだけで本当に幸せな気分になれる。
「それで話って何でしょうか?」
「秋宮秀人くん。あなたのことが好きです。私と付き合ってくれませんか?」
この告白を二回目だ。
一回目の時はそのまま受け入れたけど今はあの時と状況が違う。
俺にはもう恋人がいるしこいつの本性もすべて知っている。
こいつと付き合ったら最後。
最後の最後には性犯罪者に仕立て上げられて退学になる。
勿論大学の合格も取り消しになる。
「ごめんなさい」
「理由をうかがってもいいですか?」
「俺にはもう付き合っている人がいますので彼女を裏切ることはできません」
「そうですか」
「話はこれだけでよかったですか?」
「はい」
「では、俺はこれで失礼します」
形式上頭を下げて屋上を後にした。
一応つけておいたスマホのボイスレコーダーを切ってから一息つく。
「はあ。これでしっかりやり直せたのか?」
何で俺がタイムリープできたのかなんてわからない。
でも、そのおかげで俺は今のところ幸せだ。
「秀君お話はもう終わったの?」
「うん。帰ろうか」
「だね!でも、話って何だったの?」
「告白された」
「え!?うそでしょ!?しゅ、秀君はなんて答えたの!?」
「なんて答えたと思う?」
少し意地悪をしてみた。
まあ、正直あんな奴の本性を知っていたらオッケーなんて出すわけないんだけど。
「、、、秀君?」
おっととんでもない圧だ。
こういった類の冗談はしないことにしよう。
「断ったよ。俺は理奈が好きだからな」
「よかった~秀君大好き!」
そういって抱き着いてくる理奈を抱きとめながら俺は奇跡的にやり直せた現状に感謝するのだった。
もう一度あの頃に 夜空 叶ト @yozorakanato
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