第34話 マカロンは見た目より味
「ヘンリエールはやくはやく~! 売り切れちゃうよ~!」
「はあ、はあ……ま、待って……」
「ヘンリエール、相変わらず足遅いんだから」
「じゃ、じゃあわたしの肩から降りて自分で飛びなさい……!」
こ、こんにちは、ヘンリエールです。
今日はギルドの同期、妖精族のメロが期間限定のお菓子を食べたいということで、一緒にとあるお店にやってきました。
「はあ、はあ……つ、着いた……」
〝キュアきゅん☆マカロン〟
「す、すごい行列ね」
「ここの期間限定『ミックスベリーマカロン』がバエ美味しいって話題なんだよ~!」
「バエ美味しいねえ……」
見た目重視の料理で美味しかった思い出があまりないのでなんとも言えないのだけれど……
「メロはここのマカロンよく食べてるの?」
「たまにかな~。この前食べたスイカマカロンっていうのはあんましだった。見た目は良い感じだったんだけど~」
「じゃあなんで今日来たのよ」
「女の子は期間限定に弱いんだよ~。あ、ヘンリエールは153才だから分かんないかっ」
「おい」
しばらく二人でとりとめのない話をしながら行列がはけるのを待つ。
「お待たせいたしました~! お次のお客様、ご注文をどうぞ~!」
「あっヘンリエール、メロたちの順番来たよ~!」
「はいはい……えっと、期間限定のミックスベリーマカロンをふたつ……メロは? 他に何か食べる?」
「メロは1個でお腹いっぱいになっちゃうから大丈夫~」
さすが妖精族、コスパ良くお腹いっぱいになれて羨ましいわ。
色々食べられないのはちょっと可哀想だけど。
「じゃあ、わたしは……このバナナマカロンと、メロンマカロンと……ん?」
売り場の端に泥が混ざったぶどうジュースみたいな、なんとも言えない色のマカロンが売られていた。
「ドドメマカロン……?」
「ミックスベリーマカロン二つに、バナナ、メロン、ドドメが1つずつですねー! お会計1000エルになりまーす!」
「あっいやドドメは……はい」
まあいいか、ひとつくらいよく分からないのがあっても。
……。
…………。
「期間限定のマカロン、まだ売り切れてなくて良かったわね」
「美味しそうだね~! ヘンリエール、さっそく食べようよ!」
「はいはい。森羅万象の恵みに感謝を、いただきます……ぱく」
…………。
「うん、まあ……甘酸っぱい感じね」
「うーん、そんなに美味しくないな~」
不味くはないけど、美味しい~! って感じでもない。見た目はなんか三色に分かれてて可愛い感じなんだけど。
「ヘンリエール、メロこれもういらないかも~。食べる?」
「まあ、マカロン一つくらいお腹の足しにもならないけど……」
メロの残したミックスベリーマカロンの処理をしてから他のマカロンも食べてみる。
「これがバナナ……ぱく。うん、うん……ミックスベリーより美味しいかも?」
メロンは……うーん、なんか人工的なメロンの甘みって感じ。
「最後にドドメマカロン……ぱく」
…………。
「ん! これ美味しいかも! ドドメが1番美味しいわ!」
「え~? でも見た目なんか変な色だったよ?」
「大切なのは見た目じゃなくて味なのよ」
―― ――
「本当だ! ドドメマカロン美味し~!」
もう一回並んでドドメマカロンだけいくつか買って二人で食べる。
「これに比べたら期間限定のミックスベリーマカロンはクソ不味いね!」
「クソ不味いとか言わないの」
…………。
……………………。
きったねえ見た目のマカロンがいっちばん美味い。
【キュアきゅん☆マカロン/マカロン色々】
・お店:若い女の子が好きそうな感じ。
・値段:ちょっと高い。
・料理:ドドメが1番美味い。あとバナナもオススメ。ミックスベリーはカス。
ヘンリエール的総合評価:73点。
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