第19話 アジフライ定食。こういうので良いんだよ



「よし、午前中のお仕事はこれで終わりっと。お昼どうしよっかなあ……あ、久々にあそこ行きたいかも」



 こんにちは、ヘンリエールです。

最近、ゴブリンハンバーグやらパンケーキ師匠やらの色々な意味でクセが強いごはん屋さんに行っていたので、今日は久しぶりに普通の定食屋さんでごはんを食べたいと思います。



 〝アゲドキ食堂〟



「う~ん、美味しそうな匂い……今日も揚げ時ね」



 わたしが人間族の国『イザヨイ』に来てから初めて行ったごはん屋さん、アゲドキ食堂。

最初に行った日は何もかもが新鮮だったけど、あれから何度か利用して今では安心して食事ができる数少ないごはん屋さんだ。



「いらっしゃいませ~! あっお久しぶりです~!」



「こんにちは」



「こちらへどうぞ~!」



 いつも元気いっぱいの笑顔が素敵な店員のお姉さん。

何度か来たら顔を覚えてくれた。すき。



「こちらおしぼりとお冷で~す! お決まりになりましたらまた呼んでくださいねっ!」



「はーい」



 うーん、今日は何を食べようかな。

大体いつもコロッケ定食なのよね……初めて食べたときの感動が忘れられなくて。

でもせっかくだから今日は違うのが良いかなあ。



「あっそうだ……よし、すいませーん」



「はーい、お決まりでしょうかー?」



「その、店員さんのオススメとかってありますか?」



「オススメですか? そうですねえ」



 店員さんにオススメを聞くの、一度やってみたかったのよね。



「あっじゃあアジフライ定食とかどうですか? 今が旬なんですよ~!」



「アジフライ……美味しそう……それでおねがいします! あっごはん大盛りで!」



「かしこまりました~! お料理できるまで少々お待ちくださ~い!」



 注文を済ませて、料理が来るまで少し待つ。



「……フライかあ」



 多分全然違うんだろうけど、フライと聞くとフライドゴブリンを思い出してちょっと食欲が減退しちゃうんだよね。

ダイエットには良いかもしれない。二度と行かないけど。



「お待たせしました~! こちらアジフライ定食、ごはん大盛りになりま~す!」



「ありがとうございます!」



 ごはん大盛り、最初の頃は少し恥ずかしさもあったけど、今はもうね、全然食欲が勝っちゃって。



「揚げたてのアツアツなので、気を付けてお召し上がりくださいね~!」



「はーい」



 揚げたてのアジフライに、付け合わせの千切りキャベツ。

まっ黄色の甘いたくあん、長ネギのお味噌汁、そしてツヤツヤの白米。

うんうん、こういうので良いのよ。



「森羅万象の恵みに感謝を。いただきます……はぐ、あっふ! あふい!」



 …………。



「アジフライ、美味しすぎる……」



 揚げたてのアツアツアジフライ。旬じゃない時期のアジを知らないからどうなのか分からないけど、多分めちゃめちゃ美味しい。さすがにこれは旬。



「やばい、白米との相性があまりに良すぎる」



 あーあ、また太っちゃう……でも止められないの、ごはん大盛りが。



「これはさすがにソースね。いや、タルタルも捨てがたい……からしも付けちゃおっかな」



 わたしは夢中になってアジフライ定食を食べ進めた。



 ―― ――



「お会計860エルになりま~す!」



「はい、ごちそうさまでした」



「140エルのお釣りです! ありがとうございました~! またお越しくださ~い!」





 …………。





 ……………………。





 こういうのがいっちばん良いんだから。





 【アゲドキ食堂/アジフライ定食ごはん大盛り】



 ・お店:店員のお姉さんが顔覚えてくれた。すき。



 ・値段:安い。



 ・料理:旬の揚げたてアジフライが美味すぎる。



 ヘンリエール的総合評価:88点。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る