第17話 ゴブリンハンバーグは美味いらしい



「はあ……また、コイツを食べる日が来てしまったのね……」



 〝ステーキ&ハンバーグ・ゴブリンボーイ〟



「絶対不味いじゃない。でも割引券貰っちゃったしなあ」



 取引先のドワーフ族のお客さんと話した際に、うっかり『ゴブリン肉は苦手』と言ってしまったのが完全にプレミだった。

ドワーフ族は最もゴブリン食が盛んな種族なので、『ゴブリン料理が苦手なんて人生損してるで! ほれ、割引券やるからここ行ってみい!』と勧められてしまい、今日はゴブリン肉のハンバーグレストランのお店にやってきました。



「まあでも、前に食べたフライドゴブリンが口に合わなかっただけかもしれないし……」



 ステーキはちょっとアレだけど、ハンバーグならミンチにして他の具材やスパイスの風味で美味しく食べられるかもしれない。



「って、入り口小さいわね……」



 前に行った巨人族のカレー屋さんの3分の1くらいの大きさの扉をくぐり、店内へ。



「らっしゃいませ。ひとり? じゃあこっちの席で」



「あ、はい……」



 やっぱり、入り口が小さいからそうだと思ったけど、ここはドワーフ族が経営するレストランのようだ。

ドワーフ族は小柄だけどがっちりした体躯で、建築関係のギルドで働いたり、モノづくりの職人などをしている人が多い。

まあ、料理も職人といえば職人だけど……



「メニューこれ。決まったら呼んで」



「わかりました」



 よし、なるべく食べやすそうなのにしよう。



「ゴブリン肉100%使用のジューシーハンバーグ……これは逆にダメだ」



 玉ねぎたっぷりのオニオンハンバーグ……これにしようかな。ソースは、テリヤキ一択ね。



「すいませーん」



「はいよ。お決まりか?」



「えっと、オニオンゴブリンハンバーグの150gをひとつ。テリヤキソースで」



「パンかライス付き。どっちが良い?」



「じゃあ……パンで」



「はいよ」



 ふう。結構注文するのも慣れてきたかも。

イザヨイに来たばかりのころはお店に入るだけでも緊張してたもの。

……いや、今でも初めてのお店はけっこう緊張するけど。



「はいお待ちどう。オニオンハンバーグ」



「ありがとうございます」



 見た目は普通のハンバーグ。しかし、ナイフで切るとゴブリン肉特有の緑色をした断面がこんにちは。



「……生焼けなんじゃないのこれ」



 いやレアのお肉好きなんだけどね、今回に限ってはウェルダンが良かった。

とりあえずテリヤキソースで全てを覆い隠そう。



「よし、それじゃあいくわよ……森羅万象の恵みに感謝を。いただきます……はぐ」



 …………。



「あー……なるほどね。このテリヤキソースは美味しいかも。うん、ソースはね」



 ハンバーグを一切れ食べたわたしは、この後夢中になって付け合わせのサラダとパンを食べ進めた。



 ―― ――



「お会計1280エルからの、割引券使用で980エルね」



「はい」



「お釣り20エル。またどうぞ」



「ごちそうさまでした」





 …………。





 ……………………。





 スマン、わたしやっぱダメだわゴブリン。





 【ステーキ&ハンバーグ・ゴブリンボーイ/オニオンゴブリンハンバーグ、テリヤキソース】



 ・お店:全体的に小さいというか、天井が低い。



 ・値段:まあ普通。



 ・料理:生臭い。レアやめろ、もっとよく焼け。テリヤキソースだけ美味い。



 ヘンリエール的総合評価:37点。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る