第11話 〆の屋台ラーメンで整った



「ふう……結構飲んじゃったな~」



 こんばんは~、ヘンリエールで~す。

今日はギルドの飲み会があって、今はその帰りで~す。



 イザヨイ酒っていう、お米で作ってるお酒が美味しくって、ちょっと飲みすぎちゃいましたあ。えへへ。



「お刺身も美味しかったな~。今度海辺の街に行って、採れたてのやつも食べてみたいな~」



 って、いけないいけない、結構酔いが回ってフラフラしてる気がする。

近くの公園でちょっと休んでいこう。



「ん~……ん? なんか、屋台が出てる」



 〝夜叉猫ラ~メン〟



「……やしゃねこら~めん……? にゃあ」



 ラーメンかあ……ラーメンねえ……



「食べたい」



 食べたことないけど、なんだか無性にラーメンが食べたい。

食べた過ぎてちょっと酔いも醒めてきた。



「よし、食べよう」



 提灯に集まる羽虫の様に、わたしはフラフラと屋台に近づき、気づいたら暖簾をくぐっていた。



「……らっしゃい」



「え、えっと……メニューは」



「……すまんが、ウチは醤油しかやってない」



「そうなんですね。じゃあ、醬油のラーメンひとつ」



「……はいよ」



 深夜の公園にひっそりと佇む屋台のラーメン屋さん。お客さんはわたしだけ。

店主は猫叉族のちょっと気難しそうなおじさん。

なんだろう、なんだか……良い感じ。



「……お待ちどう」



「ありがとうございます」



 透き通るような醬油スープに、麺と海苔、それからピンクのぐるぐる模様のやつ。



「これは……ふやけた割りばし? 店主さん。わたし、お箸はまだ上手く使えないの」



「……っくっくっく。嬢ちゃん、それはメンマだ」



「めんま?」



「……タケノコの漬もんみたいなもんだよ。ほれ、フォークだ。麺が伸びちまう前に食べな」



「は~い。えっと、森羅万象の恵みに感謝を。いただきま~す……ちゅるるっ」



 …………。



「はあ。美味しい……」



 なんだろう、酔った身体にじんわり染み渡る美味しさ。

これはちょっと、美味しすぎるかも。



「はぐ、ん……めんま、美味しい。このぐるぐるも美味しい」



「……そいつはナルトだ」



「なると、美味しい」



 わたしは夢中になってラーメンを啜り、スープまで飲み干した。



 ―― ――



「はあ、美味しかった。えっと、お会計……」



「……500エルね」



「安っ……はい、ごちそうさまでした」



「……まいど」





 …………。





 ……………………。





 お酒の後の深夜ラーメン、美味しすぎて整っちゃう。





 【夜叉猫ラ~メン/醬油ラーメン】



 ・お店:趣がある感じ。店主さんは無口だけど良い人。



 ・値段:安い。



 ・料理:美味しい。めんますき。なるともすき。



 ヘンリエール的総合評価:92点。

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