第40話 元気な子供たち
「……あの、ほんとになんで付いてきたんですか?」
「……先ほども言いましたが監視のためです。レクスさんの知り合いとはいえ、相手はエルフです。警戒も加味しなければ」
「いやほんとに大丈夫ですから……」
頑なに言ってくる彼女の言葉に俺は苦笑しながら返す。
また二人が対面するのか……?なんだか嫌な予感しなしない。それに、フェリシアさん。妙に俺に視線を送ってた……経験からしてあれはなに青春してんだごらという意図……だと思う。
だから俺にも被害が……まさかまた懺悔室に連れて行かれるのだろうか……?
そんなことを考えながら、彼女とともに木々を抜けていくと少し古臭い教会が見えてくる。どうやら着いたようだ。
「ここが……」
「はい。フェリシアさんがいる教会です。少し古いかもしれませんが、落ち着くんですよね」
呆然と眺めている教会を眺めているリリナさんに声を掛けながらも、俺は扉をノックする。
………だが、出てこない。おかしいな、いつもならフェリシアさんが出てくるのに。
「……誰もいないんですか?」
「いやそんなはず……あれ?開いてる……」
もしかして……ほんとに何かあったのではないか?警戒を強めるように俺は剣の鞘を握る。
扉を開ける。中は……暗くてよく分からない。リリナさんの方を見てから、俺は中に入っていく。
一体何が「てりゃああああ!!!」
「ぐえっ」
……突然正面から何かが飛んできて、俺の腹部に強烈な衝撃が伝わってきた。
「レクスさん!?」
リリナさんの心配そうな声が聞こえてくる。だが、俺は悟る。こんなことしようとする奴なんて……。
「ぎゃはは!やっぱりレクス兄ちゃんだ!にいちゃーん!」
「やっぱりお前かヒュウ。ほら、俺の腹の上に乗ってないでどいてくれ。今日は遊びに来たんじゃないぞ」
「いやだ!このままにいちゃんの上に乗る!」
「あーそんなこと言うんだな?そんな悪い奴には……こうだ!」
馬乗りになっている子供……ヒュウの脇に手を置いて攻撃する。所謂、こしょこしょ攻撃だ。
「ちょっ!にいちゃんやめて!?あはは!くすぐったいって!」
「だったらどいてくれ。じゃないとこのまま続けるぞ〜?」
「わ、分かった!分かったから降りるからやめて、あはは!!」
観念したのか、ヒュウは笑いながら俺の上から降りていった。
ったく、元気なのはいいことなんだがもう少し落ち着けないのか『レクスお兄ちゃ〜ん!!』
「うわぁ!?」
遠慮なしと言わんばかりにヒュウに続いて奥からみんなの姿が現れ、流れ込むように俺に突っ込んでくる。
ちょ、まて!?流石に対処しきれ……!?り、リリナさん助けて!?
そんな思いで彼女の方を見たが……だめだ、こちらを見て瞬きしながら唖然としている。
「あら、レクスくん。来てたのですね……まぁ、みんなの人気者になってしまいましたのね。ふふっ」
……さては貴方ですね?こんなことしようとしてくるなんて……フェリシアさん?
少しだけ彼女のことをジト目で見つめるが、フェリシアさんは手を口に抑えて微笑んで軽く流している。くそぉ……。
「レクスレクス!久しぶりにあそぼ!今日はいっぱいいてくれるんだよね!?」
「おままごとしよ!レクスお兄ちゃん!」
「なっ、おい!俺が一番最初に誘ったんだぞ!?にいちゃんを取るなー!!」
エスカレートしていくかのように俺の腕、足、腹、顔……など様々なところがみんなによって引っ張られていく。
「レクスくんも昔はこんな感じでしょうか?なんだかとても懐かしいです」
い、いやあのフェリシアさん……そんな懐かしんでないで俺のこと助けてくださいよ……。
そうして俺が解放されたのは教会に来て数時間後の時であった。
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