第37話 新たな依頼
翌日、リリナさんとマリーに魔法の講義……というなのお勉強をしたせいか、俺は依頼を受けることが出来なかった。
最近の依頼というお手伝いは……初心者に譲ってくれというギルドからの要望であまり受けられてないというのが正直な所だ。
ウロス様の依頼のおかげなのか、お金に困ることはない……ただ、どうしても退屈になってしまう。
だから新しい依頼でも。
「レクスさん」
「……はい?」
そんなことを考えながら、依頼を選んでいるとリリナさんに声を掛けられた。いつもは受付から出ることはないが、何故か俺の方に近づいてきて話しかけてきた。
というかいつもより顔の表情固まってませんか?
「少しお話したいことがあります。私の受付まで来てください」
「わ、分かりました」
突然なんのことなのか分からかったが、リリナさんから何かお話しがあるらしい。リリナさんが俺から去っていた後、何かめぼしい依頼があるかだけを確認してから、彼女がいる受付場へと向かっていった。
「それで話というのは」
「……指名依頼についてです」
そう言ってから彼女は俺に依頼の紙をデスクの上に出した。えっと、なになに……ん?詳しいことは当人と会ってから話すって書かれてあるな。
「ウロス様かマリー様の依頼ですか?それともスミーヤさんからです?」
一通り名前を上げてみたが、リリナさんは顔を振っている。それが拒否していることを表していた。ね?じゃあ誰だ?
「その……言いにくいのですが、少し特殊なお人でして」
「特殊な、人?」
「はい……エルフなんです。その依頼人」
「エルフ……」
……フェリシアさんのことずっと見ていたからあまり現実味が持たないけどそうか、エルフって珍しい種族なんだな。
この世界のエルフは神から作られた人間とは別の種族……確か神の代行人だったっけ?つまり世界の監視役として誕生した人たちってわけだ。
もちろん、エルフの中にはそんなことを知らずに冒険者をやってることもある。だけどそれは稀でほとんどのエルフが人前から姿を表さず都市伝説として上げられることもある。それほど神秘的な存在……だとフェリシアさんからは聞いている。
「えっと……心当たりがないのですが」
「……なんでも、レクスくんじゃないとだめと言っているらしく……待合室でお待ちさせています。来てください」
「は、はい……そういうことなら」
リリナさんの言葉を聞いて俺はすぐに了承する。
だが、彼女の後ろをついて行っている間も俺は考えていた。
(……そもそもエルフって神秘的な存在なんだろ?会ったことなんて無いし……そもそも知り合いにエルフなんてフィリシアさんしか思いつかないし……ほんとに誰なんだ?)
「……着きました。こちらです」
そんなことを考えていたらドアの前まで着いた。待合室っていうのも初めて行くものだから、余計に緊張が上がってきた。
リリナさんはその待合室のドアを開けて……俺はそのエルフの姿を見て絶句してしまった。
「あらレクスくん、もう来たのですか?そこにいるリリナさんから早いから待っててくださいって言われて待ってたけどほんとに来るなんて。ちゃんとお仕事していると思うと嬉しいです」
「……フェ、フェリシアさん?」
そこには予想外な人物が……というよりもなんでフェリシアさんがここに?
「……もしかしてお知り合いでしたか?」
「え?いやまぁ……はい」
少しだけ圧を感じるリリナさんに頷きながらも、フェリシアさんは嬉しそうにお茶を飲んで俺を座らせようとしてるのか、ポンポンとソファを叩いている。
唖然としながらも、俺は彼女と向き合うようにもう一つのソファに座る。
「……リリナさんは退出してくれないのかしら?」
「……念の為です。レクスさんのお知り合いとはいえ、ギルドの秘密裏に会話されるとこちらも困りますから」
「そうですか……分かりました」
常に笑顔を浮かべているフェリシアさんに対して、謎の緊張感を抱いてるのか少しだけ顔が強張っているリリナさん
えっ、なになに?もしかして険悪な感じですか?
「……レクスくん」
「は、はい」
「私の依頼、受けてくれませんか?」
そこにはいつもの慈愛に満ちた母親のような雰囲気は感じ取れない。フェリシアさんが真面目だと分かった俺は体勢を低くして彼女の話に耳を傾ける。
「……詳しく、お話を聞かせてください」
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