第33話 意外な事実
「フェリシアさーん!今日も来ました!レクスです!」
夜になって、俺はいつも通りに教会にご飯を運びにきた。
ちなみにだが、あのリリナさんとマリー修羅場は……なんとか解決した。
どう答えれば分からなかった俺は両方でお願いしますと伝えた所、渋々とだが了承してもらった。
リリナさんは……何故か密かにガッツポーズは取ってたけど、何か意味があるのか?
そんなことを考えていると、扉が開かれて……複数の何かが俺に突撃してきた。
「レクス兄ちゃん!!」
「兄ちゃん兄ちゃん!!抱っこ抱っこ!!」
「わ、分かった。分かったから落ち着いて」
ゾロゾロと来る子供の数々に押し寄せられてしまう。みんなを宥めながらも、俺は今日の夕食を部屋に持ち込んでいく。
部屋の中にはもう待っているのか、殆どの子が椅子に行儀よく座っていた。その中心にフェリシアさんがいた。
「いらっしゃいレクスくん。また来てくださったんですね」
「はい。どんなこと言おうが毎日来ます……それにしてはみんな俺を待っていたような気がしますけど」
「レクス兄ちゃんが来るって言いながらみんな座って待っててくれたんですよ?ほんとに困った子たちです」
「……その割にはフェリシアさんも座っていますけど?」
「あら、もしかしたら私もレクスくんのことを待っていたのかもしれないですね。ふふ」
どこか掴めない、不思議な魅力のあるフェリシアさん。
少しだけウロス様のことを思い出しながら、容器に夜食を入れて行く。
「ご飯ご飯〜!」
「兄ちゃ〜ん!抱っこー!」
……俺が遊び道具になってるのを自覚しながらも、俺は久しぶりにみんなとご飯を食べるのであった。
◇
ご飯を食べ終え、みんなが寝に静まっている頃、俺はフェリシアさんと二人でお茶を飲んでいた。
「あら、今日は珍しいものを持っていますね」
「あ、気づきました?」
フェリシアさんに指摘されて、俺は事前に持っていたそれを彼女に見せる。
「魔導書を持ってきたんです。流石に俺一人で解読するのは難しいのでフェリシアさんに教えて貰おうかなって」
彼女に魔導書を渡すとペラペラとめくって本の中身を見ている。
「……なるほど、これは初心者用のものですね。それにしては種類が多いがしますが……どこで貰ったんですか?」
「ミルティーユの街にいる貴族のウロス・クライバス様って人からです」
まぁ別に隠し事でもないし、言ってもいいだろ。そう思っていたのに……ウロス様の名前を言った瞬間、フェリシアさんの気配が一気に変わった。
「……ウロス、ですか」
「えっ?知ってるんですか?」
「……私が冒険者をしていた頃に活動していた仲間です」
え、嘘?
何故か二人のことを思い出すことがあったらと思ったらそういう……てかいつもと違うフィリシアさんに困惑してしまう。
「あ、あの。ウロス様と一体なにが……?」
「別に、大したことなどありませんよ?私よりも先に婚姻を結んだことなど、えぇ大したことはありませんとも」
あ、なるほどそういう……。
どうやら自分よりも先に結婚してしまったことが羨まs……気に食わなかったと思っているようだ。
フィリシアさんにとっては重要なことらしく、彼女の周りから魔力が漏れ出ているように見える。
ま、まずいんじゃないかこれ……?危機感を覚えた俺は、すぐに別の話題について話す。
「そ、そのウロス様から今度マカロンっていうお菓子の作り方を教えてもらったんです!」
「……お菓子、ですか」
すると、聞く耳を持ったのか、先程よりも魔力の乱れがなくなった。よし、食いついた。このままなんとか気を逸らして……。
「はい。スミーヤさんって言う人から教えてもらうんです」
「……なるほど。それは魅力的な提案ですね。レクスくん」
「は、はい?」
「スミ―ヤから徹底的にその技術を盗んできなさい。一欠片も残さず」
あまりに気迫のある言葉に無言で頷いてしまう。すると、満足したのかいつものフェリシアさんに戻って楽しみにしてるのか、ふふっと笑っている。
(……もしかしてスミ―ヤさんとも知り合いなのか?)
一体どんな交友関係だよ……そんなことを思いながら、俺はフェリシアさんの姿を見て冷や汗をかくのであった。
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