第3話 レクスの生活
「ただいま……って誰もいないよな」
誰もいない家の中、俺の声が響き渡る。とりあえず持っていた荷物をテーブルの上に置いてそのまま椅子に座り込んだ。
「今日も疲れたぁ……流石に毎日20件も依頼を受けるのは大変だよなぁ……まぁ、早朝から休憩なしにやっているから当然か」
休憩なしで酷使した身体を伸ばして少し休憩する。
今日も色々な依頼があったよなぁ……薬草の採取に、迷子探し、家事のお手伝い……ほとんどボランティアみたいなものだけど。
「……あ、いけね。父さんたちに報告しないと」
俺は思い出したかのように立ち上がって玄関の扉を開いて外に出る。
流石に森の中だからなのか、周りには家の一つや二つもありゃしない。
そう思いながらも、家の裏側にある庭に向かっていく。
歩いて行くと、木札のようなものが2本立っており、そこには父さんと母さんの名前が書かれてあった。
そこに辿り着いて、しばらくその木札を見つめてから、腰を下ろしてか両手を重ねて目を閉じて祈る。
所謂、お墓参りというやつだ。
「父さん、母さん。今日も俺頑張ったよ。ほとんどボランティア依頼ばっかりだけど、周りの人たちが優しいからなんとか生活してける……だから、安心して見守っててくれ」
そう言って二人に祈った後、俺は目を開いて立ち上がった後、二人のお墓を後にする。
「……さて、休憩もして二人にも報告したことだし……いつものやるか」
そう言って俺は予め持ってきていた荷物……その中から一本の木刀を取り出す。
幼い時からやっていたことだ。初めは父さんに無理やりやらされて嫌々やっていたが……今ではそれが習慣になっている。
「……身体強化」
そう呟くと身体が一瞬、橙色に光り輝いて……身体が軽くなったような感覚に陥る。
「よし……1……2……3……4……」
数を数えながら木刀を持って素振りをしていく。
一つ一つの攻撃に全力を出せという父の教えの元でやっているため、終わったあとはいつも身体全体が痛くなるからほんとに迷惑極まりない。
ただそれでもやめられない時点で、俺も何かとイカれているらしいかもな。
そう思いながら俺は心を無にして木刀を無心に素ぶりをするのであった。
◇
「……12343……12344……12345……ふぅ……今日はこのくらいにしておこうかな」
額から湧きでる汗を拭きながら素ぶりというなの鍛錬を終える。
空を見るともう夕方に近いのか、橙色に染まっていた。
「……うわ、しまった思い出した!今日の晩御飯の材料買ってねぇ!?」
いつもよりも早く終わったからなのか忘れてた!
早く行かないと材料が売り切れちゃう!
「と、とりあえずお金だけ持って早く街に行かなくちゃ……!」
そうして俺は急いで支度をするべく、今日の依頼で貰った報酬を持って街へと出掛けるのであった。
◇
「いやぁ運が良かった……店主が気を遣って俺のこと待っててくれたからなんとか買うことが出来た……」
肩に背負った袋を見て疲れたように呟く。
いやまさか店主が俺のことを待っていたとは……日頃の感謝だよとか言ってたけど、それはこっちの台詞だよ。本当に助かる。
「……あれ?レクスくんじゃない」
ん?前から声を掛けてきた人がいるけど……誰だ?
視線を袋から前方に移すと、そこにはいつもギルドでみかける制服とは違い、私服のような服を着た茶髪の女性と、金髪の女性の二人組が目に入った。
「あ、イミリアさんに……リリナさん」
やっほーと言っても近所のお姉さんみたいに気楽に手を振ってくるイミリアさんに、何故かいつもよりも鋭い目つきでこちらに視線を向けてくるリリナさん。
どうやら今日は珍しい人と鉢合わせをしたようだ。
【もし面白いと感じたらフォローや⭐️、❤️をお願いします!!!】
また、こちらの作品の方も見てくださると嬉しいです。
《全てを失う悲劇の悪役による未来改変》
https://kakuyomu.jp/works/16818093076995994125
《会社にクビと宣言された俺が登録者500万人以上の独占欲の高い配信者に拾われる話》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます