第2話 どうやら彼女は....
「ねえねえイミリア!聞いて聞いて!」
ギルドの仕事を交代した後、リリナは茶色の短い髪をした女性....イミリアに話し掛けた。
「....昼なのに騒がしいわね。どうせまた例の子のことでしょ?」
「そうなの!!」
リリナの声がギルド全体に響き渡る。その甲高い声にキーンとしたのか、イミリア思わず耳を塞いでしまう。
「...あんた、仕事とかは優秀のくせにどうしてその子のことになると、ポンコツになるのよ?」
「ひ、ひどい!?私そんなにポンコツじゃないよ!?」
「よく言うわね。あんたからしたら順調に見えるかもだけど....他の人から見たらひどいわよあれは」
「そ、そんな....!だ、だってレクスくんの前だと緊張しちゃうんだもん...」
「....あの子に同情しちゃうわ」
「....そ、そんなになの?」
「えぇ。他の人にも聞いてみても同じ返答が返ってくると思うわよ?」
「うっ....」
そう、このリリナという女性。レクスの前では緊張しすぎて対応がつい冷たくなってしまうことがあるのだ。
例えばだが、もしレクスの手なんて触れようなんてしたら...しばらく彼女は視線を合わせることすら難しいだろう。
それほどまでに彼女は初心なのだ。
「で、でも今日は少し話したよ!それに聞いて!誕生日祝ってもらったの!」
「へぇ...よかったわね。レクスくんが優しくて」
「な、なんで私には何も言ってくれないの...?」
「だってあんた、普通あんな態度で関わっていたらお祝いなんて勿論、話すことすら出来ないわよ?」
「うっ....だ、だってぇ....」
「だってもなにもないわよ。じゃあリリナ、あんたレクス君と話せなくなってもいいわけ?」
「そ、そんなのいやだよ!レクス君と関われなくなったら私....」
ポロポロと涙がこぼれ落ちて泣いていしまう。そのリリナの姿を見て、流石に言い過ぎたと思ったのか、イミリアは慌てて宥めようとする。
「わ、悪かったわよ。そんな泣かないで?レクス君優しいからそんな簡単に離れたりしないわよ」
「....ほ、ほんと?レクス君、私のこと嫌いにならない?」
「............確証はないわ」
「そ、そんな...!ど、どうすればいいのイミリア!?」
「どうすればいいて言ってもね....まずその素っ気ない態度を治すしかないわね」
「で、でもレクス君の前でそんなの....」
「弱気にならないでやってみなさいよ。ほら、私をレクス君だと思って」
「うっ....イミリアはレクス君。イミリアはレクス君....イミリアはレクス君....」
そんな暗示を掛けながらリリナはイミリアをじっと見つめて....瞬間、顔つきが変わった。
「......なんですか貴方は?」
「初っ端からこれなの?」
流暢のないリリナの言葉に思わず素の感想が漏れ出してしまう。
「その...リリナ?最近どうなの?ギルドの仕事は?」
「仕事?そんなの貴方に関係ありますか?というか気安く話しかけないでください。虫唾が走ります」
「.....オーケー、オーケーよぉく分かったわ....もう破滅しなさい」
イミリアは彼女を見捨てるように吐き捨て、席に立ってからどこかに行こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってよ!?それどういうこと!?私、これでも頑張ったんだよ!ねぇイミリア!私を見捨てないでぇえ....!」
「くっ....あんたのその冷たくなる態度はどうも出来ないわよ!潔く諦めなさい!!」
「い〜や〜だああああ!!!」
そうして、彼女の恋愛相談というなの友人との会話は今日もギルドの中で繰り広げられていく。
そう、どうやら彼女は....とてつもなく初心らしい。
◇
「ぶえっくしゅん!!」
盛大なくしゃみが街の中で響き渡った。レクスは鼻をむずむずしながら周りを見渡す。
「...な、なんだ?誰かが俺の噂でもしてるのか....?一瞬凄い気配を感じた気がするけど」
そう言ってるが、誰もレクスを噂するような人の気配はない。
「...まぁいいか。とにかく家に帰ろう」
レクスはさっきリリナに渡された報酬金と荷物を持って帰っていく。
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