ギルドの看板受付嬢であるリリナさんは俺と話したい〜その割には俺にだけ冷たくないですか?〜
近藤玲司
一章
第1話 リリナさんは相変わらず……
この世界、『イゼルメディア』にてミルティーアという大きくも小さくもない、普通の街があった。
俺ことレクスはそこでとあるギルドの冒険者として生活をしている。
まぁ、歳は15歳でこの世界では少し冒険者になるには早いけど……。
「……と、今日も依頼完了っと」
両親は……昔大きな災害が原因で亡くなってしまった。だから今は一人で生活を紡いでいる。
今日はそこで誰も受けなさそうな最下級のFランク依頼を20件終わらせた。
たまに魔物も狩ったりするんだけど……街の人たちからやめなさいと言われて、あんまりやっていない。
「いつもありがとうねレクス。お前がいてくれて助かるよ」
「いいんだよこれくらい。俺も生活が掛かってるんだからお互い様だよおばちゃん」
「ほんとにまだ若いのに立派ねぇ……それに比べて最近の奴らと来たら……」
あ、あはは……まぁ誰も受けないよな。こんなボランティアみたいな依頼なんて。
「困ったらいつでもおいで。ここの人は皆、レクスの味方だよ」
「……ありがとうおばちゃん。そう言ってくれると助かるよ……じゃあ俺、そろそろギルドに戻るから。また明日!」
おばちゃんの依頼……というなのお手伝いを終えて、俺は冒険者ギルドへと向かっていく。
◇
冒険者ギルドに着いた。今は昼頃だからあまり人はいない。朝方とか夕方は凄いのに……一体なんなんだこの差は……。
「……空いてるのは……」
……やっぱり、あそこしかない、か。
受付を見ると、そこに座っている人は一人しかいなかった。
俺はその人を見るや否や少しだけ気を引き締めてつつ、そこに向かっていく。
「……リリナさん。今日も依頼終わりました。確認をお願いします」
今目の前にいるのはギルド職員の一人、リリナ・バーネット。
俺よりも年上の人で、どうやら1週間後には誕生日を迎えるらしい。
特徴的な金髪の長い髪をたなびかせ、容姿は端麗、誰にでも優しく優秀で、そこからつけられたのは異名は『ミルティーアの看板娘』
そう、普通ならこの人と話すのなんて無理だ。でも今は人が居ないから話せる……嬉しいことだ。そう、そのはずなのに……。
「……そうですか。ではすぐに確認しますのでお待ちください」
「は、はい……」
……何故か俺は彼女に嫌われてる気がする。
いや普通なのだ。でも、たまたま彼女と他の人と話してる姿と言ったら……。
『り、リリナちゃん。今日も依頼終わったよ』
『あらゾルネさん!お疲れ様です!今確認致しますので、少々お待ちいただけますか?』
『あ、あぁ……いやぁ今日も大変だったよ。危うく死ぬところだったなぁ』
『そうなのですか?無理しないでくださいね?ゾルネさんが居なくなるのは嫌ですから』
『そ、そうか……リリナちゃんに言われちゃあ死ぬわけにはいかないよなぁ……ははは』
……と、こんなふうに優しく対応してくれるのだが……。
「……はい、確認いたしました。こちら成功報酬です。お受け取りください」
「あ、ありがとうございます……あの、もうすぐ誕生日を迎えるようですね?おめでとうございます……」
「……………どうも」
……なんだ?なんなんだこの差は???
俺何か悪いことしたか?いやほんとなんで俺だけこんな冷たい対応されるんだ……?
………記憶になさすぎる。
「………あのすみません。用が済んだらさっさと出ていただけますか?」
「………はい」
……はぁ、なんか悪いことでもしたのだろうか俺?初対面からこんな対応されるし……。
どうやらリリナさんは相変わらず……俺にだけ冷たいらしいです。
◇
「………」
レクスが冒険者ギルドから出ていった後、リリナはその姿を見るように真っ直ぐ見ていた。
「……レクスくんに………誕生日………祝われた……」
終えた書類を机に置いて、頬に手を当てている。その仕草はまるで恋する乙女のようで……。
「……やった……やった!レクスくんに誕生日祝って貰った!」
……否、撤回しよう。
この女性、リリナ・バーネットはレクス・オルテナに恋をしている。
そして……どうやら彼女は、彼と話せてとても嬉しいようだ。
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