ダンジョン配信してたら人格変化して最強すぎてバズった〜レベル1でレイドボス撃破〜

第32話 不死鳥

ー

え？あれユズとレオじゃない！？

失踪していたと思ったら、最強タッグが復活？

あれヘヴンもいない？

ヘヴンが倒したのは、あのフェリシリアってでているぜ。

そんな相手にレオ君とユズは勝てるの？

これは最強の戦いだ！

ー

「どういうことだ」

「私とレオ君は封印されてる間も意思疎通ができていたの。封印が解けたらこうしようって、ずっと作戦もたてていたんだ」

「くそっ、意思疎通スキルなんてあるのか」

「僕とユズがコンビを組んだ瞬間からできたスキルですよ」

「ミレイは」

「ふん」

「お前！」

　ミレイは倒れているフーコを抱えて、安全圏に移動した。

「ミレイさんは流石の状況判断能力、ここまでは作戦通りってことで、フェリシリアさん、あなたには僕たちコンビの最初のプロモーション相手になってもらいます」

「お前たち二人で私が倒せるわけないだろ？」

「いくよユズ」

「うん」

「くっ！」

　スキルでユズと僕は剣を出現させて、コンビネーションでフェリシリアを追いつめていった。2人あわせればヘヴン越えの剣術である。

ー

　凄い2人とも意気ぴったりだわ。

　これが最強タッグのコンビネーション！いいものみたな。

ー

「馬鹿なこの私が剣術で圧倒されているだと」

「終わりですよフェリシリアさん。あなたはフーコさんを裏切りました。それがあなたの敗因です」

「敗因？　私はまだ負けてないし、勝負はここからだろ？」

「いいえ、もうおしまいです」

「うわああああ」

ーー

　いつもこうだ、私の目の前に現れるたいていの人は意識外の存在であり興味がない。なのに私を邪魔してくる。

　どう考えてもこれは間違えた行為であろう。一度クリアしたものが全て台無しになる感覚である。

　これだから世界を否定したくなった。信じられるのは己の力のみである。絆など全て無駄になるものなのだ。

　だから絶対に目の前のものに敗れるはずがないと思った。

ーー

「うっ」

「ユズ！」

　フェリシリアを吹っ飛ばそうとしたら、すかさず切り替えて、フェリシリアの剣がユズを吹き飛ばした。

「これはどういうことだ？」

「あまいんだよ全てが。これが絆のもろさ、自分の力を信じないものの結末だ！」

「ユズを集中攻撃するなんて、プライドというものはないの？」

「私は手段を選んでられない。プライドなんてとっくに捨てたのよ」

「ユズをよくも」

「私とお前の一対一なら、自力でこちらがまさってる今度こそおしまいだ！」

「でもフェリシリアは勘違いをしているよ」

「何？」

「絆の繋がりは一つだけじゃない」

「うわああああ」

ー

　ユズとレオのコンビがここまで崩されるなんてフェリシリア強すぎない。

　でも2人の連携もいいところまでいってたよね。

　一体どういうことなんだろう。

　わからない。だけどこれで終わりじゃないことは確か。

　そうだね。これからどうしようか。

　まって、誰かが来たよ。

ー

「ふう、あなた達ちょっと時間かかり過ぎよ」

「フーコさんは」

「安全地帯に避難させたわ。これで私も参戦できる」

「ありがとうミレイ」

「お礼は戦いが終わったら」

「うん」

「貴様」

　フェリシリアはミレイを睨んだ。

「フーコがお世話になったわね。私が引導を渡してあげる」

「ふふふ、あなたはミレイ知っているわ。アイシアの妹でフーコのパートナーでしょ」

「だったら何？」

「あなたはとるに足らない存在よ。アイシアは出来損ないで幹部の私の足元にも及ばない。それにフーコの才能にあなたは潰される。私のように底に沈むことになるわ」

「姉は出来損ないじゃないし、私はあなたのようにならない」

「でもフーコの圧倒的才能を前にあなたは劣等感を抱くことになるわ」

「確かに一時はそんなこともあったわ。でも私はフーコをささえためにここにいる、落ちそうなときはレオが助けてくれた。あなたとは違う」

「なんだと？」

「私は力に溺れたりしない」

「フェリシリアさん、絆は一つじゃなく、複数繋がっているんです。繋がりを絶つあなたは僕たちにかてない。これは力とかの問題じゃありません」

「ふふふ、面白い。お前たちはマテリアコードではなく私そのものを否定するのか。だったら受けて立とうじゃない」

　フェリシリアとの最終決戦が始まった。

「フェニックスの力、これにより敵は砕け散る」

「何よそれ」

「知ってた、この力は増幅すればこのように具現化もできる。あなたが到達してない次の領域」

「関係ない！」

「そうかよ」

　フェリシリアの放ったフェニックスは空中を浮遊し続けた。

　実態がないはずだが、そこにあるような威圧感を感じる。

「どうミレイ」

「これ多分食らったらまずいかも。触れた瞬間に私たちのHPを全て奪い去りそうだわ」

「そうだよね。でも」

「うん、マテリアルスキルがあれば大丈夫そう」

「これでいこう」

「燃やし尽くせ」

「ゴゴゴゴゴ」

ー

　あのフェニックス、おそらくSランクスキルだぜ。

　なんだそれ、聞いたことねえぞ。

　そもそもあいつらの戦いが俺らが知ってるダンジョン攻略とは何世代も先の次元に行っているからな。

　だが、そんな俺らでも知っている伝説のスキルがあるだろ。

　不死のスキルか。

　ああ、不死のスキル、全ての攻撃を跳ね返し、再生し続ける。曰くその力は敵を燃やし尽くすまで再生し続けるという。

　そんな伝説のオーラを感じてしまったんだよな。

　ああ、そしておそらく誰も到達しえてないS級のスキルがこれで、レオ達はとんでもないスキルと対峙しているに違いない。

　これはとんでもないものをみているのかもしれないな。

ー

「じゃあいくよ」

「うん」

「何か作戦を考えたようだが、このフェニックスを前にすれば全てが無意味だ。フェニックスは全てを焼き尽くし、再生する。逃げ場も対処法もない」

「そのスキルを作った同じスキルを僕はもっています」

「知っているが？」

「前例のないこの対面の中で、どうして対処法がないと言い切れるんですか？」

「だから、私はお前のマテリアコードの上の段階に達してるんだよ」

「僕がその段階に達しえないとどうしてわかるんでしょうか」

「なんだとお？」

「消えろおおおお！」

「一人では達しへない場所がある、それはこの局面でも同じですよフェリシリアさん」

「見えたよレオ」

「頼む」

「うん」

　ミレイはフェニックスの核を見つけた。

　そこに両手に付与したスキルを打ち込んだ。

「核を見つけたか。それは流石だが、その程度ではびくともしないぞ」

「ふん、これはマーキングをしただけよ」

「何？ マーキングをしてどうする気だ」

「……」

「おい、お前、レオじゃな……」

「残念、ユズでした。変身スキルだよ」

「貴様ああああ、レオはどこに？」

「レオ君はずっとあそこで力を貯めてました」

「なっ」

「禁呪発動の準備が整ったよ。ありがとうミレイ、ユズ」

「うん」

「これで終わりだ！禁呪発動！」

「ドドドド」

　フェニックスの核が破壊された。

「なっ、こんなことが」

「これが絆の力」

「がはっ」

　フェリシリアを撃破した。

「ここまでか」

「終わったわ」

「これからどうする？」

「キルレを倒しに行く」

「うん、私もフーコを回復させたらおう」

「うっ」

「まだ息があるのか？」

「私はまだ終わらない」

「もう勝敗は決していますよ」

「まだだ、こいキルレ！」

「？」

　キルレは100層に向かったのでは。

「やれやれ呼ばなくても来たのに」

「お前！ どうしてここに」

ー

「配信が途絶えた」

「見せ物じゃないんだよ」