第31話 カウンター

「……転送」


「何?」


「ピピピピピ」


 封印が解除されていく。僕が解析しても解除できなかった封印をどうやって。


「フーコさん?」


「貴様どうやって私のロックを?」


「私の狙いはずっとコレ、あなたと戦いながら、あなたのスキルの性質とロックを同時に解析した。これでロックを無効化できる」


「私とよそ見をしていて戦っていたの? なめるな!」


「なめてなんかいないわ。私が本気をだせばあなたと戦えるかもしれないけど。それじゃあ意味がないのよ」


「さっきまで私が戦うっていってたのにか!」


「そう、私はあなたと戦うことで確かめたかったの。フェリシリアは私の思い描いた通りの人物か」


「何?」


「結果はその通りだったわ。うまくマテリアコードを発現できたようでよかった」


「何を言っているんだ……さっきまであれだけ取り乱していたのに」


「あれは演技よ。私はあなたの喜ぶ姿が見たかったの。私もあなたと同じで、過去を乗り越えていけそう」


「私を過去といいたいのか!」


「そうよ、あなたは過去の最強、今の最強は彼」


「はあ、はあ、はあ。完全にロックがとけた」


 これで話すこともできるようになった。


「ふん、そいつもお前と同じ目に合わせてやる」


「あなたを倒すために私がつれてきた切り札よ。そううまくいくかしら」


「お前のみこみなんて軽く私は超えている」


「そうかしら? この展開は全て私の掌の中よ。これで超える要素なんてあるかしら?」


「黙れ!」


「ドン」


「フーコさん!」


「……後は任せる……」


 フーコさんに近づくと意識が途絶えていた。


「あなたでも勝てないなんて」


「ふふふ、どう、これがヘルのトップクラスである私の実力。表のトップであるヘヴンが手も足もでないの、はったりをかましていたようだけど所詮口だけ」


「黙れ!」


「えええ? なんか言った?」


「黙れって言ってるんだよ!」


「餓鬼が、図に乗るなよ」


「ドカーン」


 レオとフェリシリアのスキルがぶつかりあった。


「おおおおおおおおお!」






 最初から出力最大でマテリアルコードを稼働させる。フーコさんを倒した相手だ。いままでの敵とは格が違う。


「ふふふ、つたない変異の仕方ね。その程度の出力で私に挑むなんて」


「何? ぐあああああ」


 マテリアルスキルの圧力が直ぐにかき消された。同等の力を感じる。


「見えてるんでしょ。未来が。どういつもと光景が違うんじゃない?」


「勝利の未来がみえない……」


「マテリアルコードの所持者同士の戦いはこれが初めてなんでしょ。じゃあ無理もないわよ。よりこの力は洗練された技術の元で強く発現する」


「そんなはずは」


「私とあなたでは圧倒的なスキルの差があるのよ」


「うわあああああ」


 フェリシリアの圧に押されて悲鳴を上げた。


「何?」


 その時フェリシリアが打撃を出そうとすると、空ぶった。


「どういうことだ」


「だめじゃないですか。元の弱い自分に戻ってしまっては」


「貴様はもう一つの人格か」


「ええ、交代です。どちらのスキルの練度が高いか勝負と行きましょう」


「望むところだ」


 激しい攻防戦が繰り広げられた。


「どうだ、マテリアルコードは依然私が上手で……何?」


「気づいたようですね。今映し出された光景の中に勝利はありません。どうやら僕とあなたのマテリアコードの練度は互角のようです」


「馬鹿な、人格が変化するだけでこうも変わるなんて」


「どうします? 続けますか? このままだとお互いキリがありませんが」


「まだだ、私には奥義がある」


「奥義?」


「覚醒スキルだ。これによって私の固有ルールに従うことになる。互いの練度が数値化されて比較されるんだよ」


「面白いスキルですね。それで勝った方はどうなるんですか」


「勝った方はルールから抜け出せる。負けた方は結界に閉じ込められる」


「ほう、それってあなたにもデメリットがあるのでは?」


「馬鹿が、私が練度で負けたことなんてないんだよ! 固有結界発動」


 その瞬間周囲が闘技場になった。


 中央にはスキルカウンターが出現した。


「さあ、始めようか、このスキルカウンターによって互いの練度が数値化される。その後はさっき説明した通りだ」


「面白い、その勝負乗りましょうか」


「私が負けるわけないんだ!」


「ははは、面白くなってきた」


 再びレオとフェリシリアの激しい攻防が繰り広げられた。


 同時スキルカウンターの数値も上昇し始める。


 3000.3000


 4000.4000

  

 5000.5000


 30000.40000


「はあ、はあ、はあ」


「たぎる、力の増大を感じるぞ」


「ば、化け物め」


「僕はあなたのような強者との戦いを待ち望んでいました。こんなにワクワクしたのは久しぶりですよ。おかげで僕はもっと強くなれました」


「フーコの奴とんでもない奴を育てたようだ」


「これで終わりだ!」


「ふっアハハハハハ!」


「何?」


 レオ様が動けなくなったフェリシリアのトドメを指そうとすると、フェリシリアが腹部を貫いた。


「馬鹿がスキルカウンターをよく見てみろ」


 60000、40000


「馬鹿な……さっきの2倍だと? 互角に上昇していたはず」


「上昇幅、だよ。お前が私と同様のスピードでスキルの練度を上げているのは分かった。だからお前が対応できなくなる力の上昇速度を図って、一気に出力を上げたまでだ」


「き、貴様……」


「確かにお前の成長速度は驚いたが、自力が違うんだよ。消えな」


「ふっふふふふ」


「何がおかしい」


「僕もカリスマなんて思われていた時期がありました。だけど時間が立って気づいたんです。一人の力では限界があるって」


「急に自分語りか、狂ったようだな」


「さあ、あなたの番ですよ。僕の力を存分に使いなさい、それと解除もしておいたから」


「何? また封印が解析された、それにもとにもどって」


「どちらも僕の人格です」


「何を」


「ユズお願い」


「うん」


 ユズは手を鳴らすと中継カメラが出現した。


「貴様!何のつもりだ!」


「中継、久しぶりですが、視聴者のみんなとご対面」

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