第28話 共闘

「どうやらヘルの戦力を異空間に投入しているようね。魔物の他にも脅威はあるということだわ」


「ここは僕が」


「いえ、ここは全員でやりましょう」


「大丈夫?」


「当たり前でしょ」


「私も修行で強くなったんだからね」


「ここは通さねえぜ、お前らは終わりなんだよ」


「何?」


 黒装束は杖アイテムを使って、壁を破壊した。


「グヲオオオ」


 壁から80層の魔物がたくさんでてきた。


 かつてないほど強力な魔物となっている。普通は太刀打ちできようがないが。


「どうだ、80層の魔物は、俺たちはこんな化け物とは戦いたくないぜ」


「卑怯だぞ、自分で戦わないのか」


「当たり前だろ、そのための作戦だ」


「ここは僕が」


「いえ、大丈夫よ」


「ユズは逃げてろ」


「私もやる」


「危ないって!」


「ドドドド」


「嘘!」


 まさかユズが80層の魔物を倒してしまった。


「問題ないっていったでしょ?」


「グヲオおおおおお」


 フーコさんとミレイが80層の魔物を倒せるなら分かる。でもまさかユズまで倒せるなんてどういうことなんだ。


「う、うわああああ、なんでお前ら魔物を倒せるんだ!」


「さて、どうしてでしょう? それは直接戦ってみて試してみればいいんじゃない」


「ふっ、なめるな! 俺たちには表のプレイヤーのお前らが持っていない高レア装備をもっているんだ」


「これは」


 黒装束たちが取り出した武器はどれもSレートの85層クラスの武器だった。アイシアの黒葬剣に匹敵する強力武器である。かなりの強敵である。


「問題ないわ」


「ええ、見えているわ」


「見えている?」


「消えろおおおおお!」


「ドドドドド」


「何?」


 ユズとミレイ、フーコさんは黒装束の攻撃を全て回避していた。


「どういうことだ? 圧倒的にステータスはこっちの方が上のはず、なぜ当たらない」


「はい捕まえた! ミレイお願い」


「任せて」


「スキル」


「うわああああ」


 ユズとフーコさんに捕らえられて、黒装束2人がミレイのスキル付与の拳で倒れた。


「凄い」


「レオ君、そっちにまだ2人来てるよ」


「うん?」


「へへへ、油断してんじゃねえよ」


「ズババババ」


「何?」


 黒装束2人は高速で接近して刃物を突き立ててきたがそれは折れた。


「すいません、僕は油断していたんじゃなくて、その必要もなかったから他のみんなを心配していただけです」


「ひえ」


「さよなら」


「うわああああ」


 こちらの黒装束も戦闘不能になった。


「ふう、驚きです。まさかそんなに強くなっていただなんて。いったいどういう原理なんですか」


「あなたがそれ言う? ヘルのしたっぱの攻撃を一歩も動かずはじいて倒すなんて、敵に同情しちゃうわ」


「あははは、色々あったんだよミレイ」


「本当見違えた強さだわ。こっちはね感覚共有をしているの」


「感覚共有?」


「ええ、今の表プレイヤーたちは私の感覚共有で、みんな私に準じる予知回避能力を持っているの」


「凄すぎ、スケールが段違いのサポート能力ですね」


「私のうりはサポートだけだからね。それにユズもかなり力をつけたのよ」


「確かに回避だけなら黒装束を捕らえられないし、自力も上がったということなのか」


「私も随分修行したからね、今はマテリアスキルも使いこなしてミレイより強いよ」


「はあ、私はスキルを2つ使えるんですけど。あなたの方が弱いわ」


「スキルは数じゃないんですよ」


「あははは」


 これで戦局はこっちが大きく有利なのかもしれない。各地の有力プレイヤーに回避があわされば、黒装束や80層の敵も倒せるのではないか。


「うわあああああ」


「悲鳴だわ」


「行こう」


 





 悲鳴、回避スキルがあったのに、いったいどういうことなんだ。


「エクスキューション!」


「うっ、逃げろ、化け物がいる」


 悲鳴の聞こえた部屋に行くとエクスキューションのメンバーが倒れていた。


「化け物?」


「あなた達ミオさんはどうしたの?」


 ギルド遠征の時に最初に戦った、トップ配信者、エクスキューションリーダーのミオがいなかった。


「ミオさんはまだ戦ってる。イルと一緒に」


 ミオとイル、2人ともヘヴンであるフーコさんに次ぐ実力者、回避スキルも合わさって、この2人が勝てなかったら、かなりまずい敵となる。


「うわあああああああ」


「また悲鳴が」


「行かないと!」


「頼む2人を助けてくれ」


 エクスキューションのメンバーは消えた。


 更に奥の部屋に進んだ。


「うっ私の電子エリアが全く通用しない」


「私の消滅も聞かなかった」


「ミオ、イル! 大丈夫か」


「貴方たち! ヘヴンとレオ、最強チームじゃないの」


「く、悔しいがお前たちに任せるしかないようだ」


「いったい何があったの?」


「一瞬だ、一瞬で私達のスキルが無効化され、もてあそばれた。やがて回避も通用しなくなり、敗北してしまった」


「あなた達でも勝てないなんて」


「すまんヘヴン、私達はダメージが凄くてもうダメ見たいだ。後は任せた」


「ええ」


「レオ、お前へのリベンジをしたかったところだが、このざまではその資格すらないようだ。後は任せた」


「ミオ、イル」


 ミオ、イルも消えてしまった。


「2人を倒した人物はこの先にいるようです」


「行きましょう」


 奥のエリアに進むと赤髪挑発の黒装束がいた。


「やあ、フーコ久しぶりね」


「お前はフェリシリア」


 アイシアが言っていた最後のヘルの幹部。フェリシリア、ヘルの幹部も異空間に来ていたのだった。

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