第27話 それぞれの再会

「レオ、お前も用済だ。しばらくこの80層の異次元空間に閉じ込めさせてもらうよ」


「僕も飛ばしちゃうんですか?」


「俺はこれから100階層を掌握しに行く。ここのボスを倒して特権を手に入れに行く?」


「特権?」


「それを教える必要はないな。じゃあな、いくぞメイル」


「はい」


 キルレの指示によって異次元に飛ばされた。


 いったいどんな光景が広がっているのだろうか。


 







 飽きました。


 レオ様? 異次元空間の中でレオ様が話しかけてくる。


 レオ君、ここが僕たちにとっての最終試練になってきそうです。君の力は僕より大きいですが、安定しない。ですが、仲間と一緒にいることでその懸念は消えます。


 それってつまり。


 ええ、おそらくこの先にみんながいます。そこで僕がでてきても混乱するだけでしょ?


 そうですね。


 どうしたのですか、その浮かない表情は?


 まさかレオ様が僕のことを気遣ってくれるなんて驚きだったんですよ。


 君には随分とお世話になりましたからね。その実力は僕をも超えています。


 ですから惜しい、安定さえすればその力をものにして僕が最強になれる。


 あ、はははは、やっぱり根本は変わっていなかったか。


 いったでしょ、僕はいつでも君の力を狙っている。ただひとまずは休戦と行きましょう。あのキルレという人物が邪魔者となっています。


ええ、そうします。


あっさり承諾するんですね。


ええ、あなたは僕です。


ずいぶんとやりにくいものだ。


レオ様の人格が消えると、目の前の景色が晴れた。








「レオ君!」


「ユズ!」


「ぎゅう」


「いたっ」


 僕はユズに力いっぱい抱き着かれた。


「もう離さない」


「ごめん」


「そろそろはなしてよユズ」


「やだ」


「え~、誰か助けて」


 傍にはフーコさんとミレイがいたから助けを求めた。


「知らない」


「ふふふ」


「ちょっと、2人とも見てるだけで楽しんでますよね」


「ユズ放置の罪は重いわ」


「ええ、ずっと寂しそうにしてたもんね」


「いや、ミレイのせいでそうなったんだろうが!」


 目をそらしたミレイとフーコにただツッコむしかできなかった。


「レオ君のせい!」


「痛った」


 僕はユズに抱きしめる力を強められて蓄積ダメージによって気を失った。







「やっと起きた!」


「ユズ」


「さっきはごめんね、嬉しすぎてつい」


「ああ、確かに僕も悪かった。ユズを置いてしまって」


「いいよもうそのことは、一緒に行こう」


「うん」


「終わった、じゃあ、早速いくわよ」


「ミレイ、3人はずっと一緒にいたんだ」


「うん、フーコがこのことを想定して修行してた」


「修行?」


「ええ、かなりユズも強くなったわよ」


「ユズが」


「うん、もう私も足をひっぱったりしないよ」


「それは頼もしいな」


「今はどういう状況なんですか?」


「既にダンジョンに飛ばされたプレイヤーとは情報共有を行っている」


 それからフーコさんが現在の状況を話してくれた。


 事前にこの状況を予知していたフーコさんは、実力者のダンジョンプレイヤ―の一部の人達にこのことを話していた。


 そして飛ばされるタイミングで全てのプレイヤーに情報がいきわたる様な状況を創り出した。今頃フーコさんの話を聞いた実力者のプレイヤーを中心に、80層攻略が行われているはずだそうだ。


 そしてダンジョン配信も有効になり、既にいくつものダンジョンプレイヤーがこの80層を配信している。多くの視聴者この状況を知っているのだ。


「これでヘルの悪事は周囲の人に知らせることができましたね」


「ええ、後は私たちが80層を攻略すればいいこと」


 そういえば誰かを忘れているような。


「ミレイ」


「……っ!」


 そうだ、アイシアがいた。


「あらアイシア、久しぶりね。どういうつもりなの?」


「私は……」


「アイシアさんはヘルを離反しました。僕を助けてくれたんです」


「本当に?」


「ええ、今回はお礼と謝罪だけ。フーコ、ミレイをありがとう、ミレイはごめんなさい」


「ええ、お礼を受け取っておくわ」


「……いいわよ、今更謝罪なんて」


「そう」


 2人の関係は悪いものではないようだ。


「戻ってきてくれてよかった」


「うん」


「これからどうするの?」


「別行動でヘルを倒すわ。あなたわ?」


「私も戦う」


「強くなったのね」


「アイシアは一緒に来ないの?」


「ええ、私はここらへんでお別れよ。また全てが終わったら会いましょうレオ。レオ様にもよろしく言っておいてね」


「分かった」


「じゃあね」


 アイシアは僕たちを見送って、別ルートで行動することになった。


「まさか姉が戻ってくるなんてね。あなたいったい何をしたの?」


「僕がやったというよりはレオ様がアイシアさんを更生させたみたいです」


「あのレオ様が……」


「ふーん、レオ様の方も中々やるじゃない。流石ミレイを落とした人物」


「はあ? 狙い本命はレオ君の方なんだけど」


「そうじゃなくても分かるわ。レオ様のファンなのは本当だったんでしょ?グッズも集めちゃった」


「……っ!」


 ミレイの赤くなった顔を見るに本当なのであろう。そういえばミレイの自宅に初めて訪れた時、彼女がレオ様のリスナーでいっぱいグッズを持っていた。


「まあ、でも今はレオ君だからミレイの思い人にはあえないよ」


「うるさい黙れ!」


「うわミレイ怖すぎ」


「ちょっとユズやめなよ。ミレイをからかうのは」


「ごめんレオ君」


「そのやり取りも腹立たしいわ」


「フフフ、3人とも仲がいいわね。でもそろそろ遊んでいられる状況じゃないかもよ」


「っ!」


 前方に黒装束4人が出現した。

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