第26話 デスゲーム開幕

 拘束によって身動きが取れない。


「これは黒騎士シュウに仕込ませていた罠だ。起動術式をメイルが起動できるようにした」


「最初から仲間にするつもりなんてなかったんじゃないですか」


「いや、仲間にしようと思ったのは、いつでも掌握できると思ったものだけだ。いざとなればこの拘束呪具で君を縛れるようにしたからね」


「……」


「動けないだろ? 幹部クラスの黒騎士シュウのHPが0になった時発動する高い制約の武器だからな。制約は強いほど効果は強力になる」


「やれやれ困りましたね、これからどうするおつもりで?」


「後数匹ダンジョンの魔物を倒せば俺は封印スキルを手に入れる」


「それを使うと」


「ああ、ダンジョン80層の階層ボス、ディメンションキメラ、こいつの能力は次元転移、こいつを手中に収めてこれまでのダンジョンデータにアクセスして、接続すれば全プレイヤーがこの80階層付近に転移される」


「ふふ、物量的に入りきらなくないですか?」


「ダンジョンキメラは時空も操ることができるんだよ。そして、このダンジョンには俺が81階層以上からの扉の封印をといた。次々に上層の魔物が入ってくる。これで全て殲滅は確実だ」


「これで、あなたの目的通りプレイヤー殲滅ができるわけですか」


「ああ」


 キルレの元に魔物が数体あらわれた。


「これでリーダーは神に」


「ふふふ」


「貴様、何がおかしい」


「まあ、落ち着いてすぐ相手のペースに乗るのはよくないメイル」


「ですが」


「フーコさんをあまく見ないほうがいいですよ」


「ほざけ、拘束されている分際で、貴様は最後に俺の手で自ら葬ってやるレオ」


「ふふ、うまくいくでしょうか」


「ぐああああああ」


 キルレが敵を倒した。


「手に入れたぞスキル封印剣。早速使おう」


「ついにリーダーの勝ちだ」


「捕縛スキル! 封印剣」


「グオオおオお」


 拘束されていたダンジョンキメラを一瞬で封印した、とんでもない剣である。


「封印剣は解呪をすると、封印した能力を引き出すことができる。これよりダンジョン攻略を試みる全てのプレイヤーに絶望を」


「ディメンションフィールド転送」


 キルレのディメンションフィールドが世界を切り裂いた。


 全てのダンジョンプレイヤーの情報収集を追えていたキルレは、各プレイヤーの座標を特定し、ディメンションフィールド展開に繋げることができたのである。


 今全てのダンジョンプレイヤ―が80階層に飛ばされることになる。


「なんだこれは」


「おいおい、転送? いったいどこへ」


「ちょっ、なにこれ強制転移? どこへ続くんだ」


「うわあああああああああ」


 おいおい、ダンジョン攻略プレイヤーが次々行方不明だって。


 配信者の人も転移しちゃったてよ。


 どっかに中継してる人はいないのか?


 なんか画面が真っ暗になって配信者の悲鳴だけが聞こえたって。


 これは大変なことになってきた。


 その日突如ダンジョンプレイヤーが転移して80層に飛ばされたという衝撃の情報がネットに出回ることになった。


 中には配信中にダンジョン80層に飛ばされたプレイヤーもいて、中の様子が中継として移されることになっていた。


「これは……遂にその時が来たということね」


「いくわよ、ミレイ、ユズ」


「レオ君、待っててね」


「もう一度私のリベンジを」












「これで全てのダンジョンプレイヤーはダンジョン80階層に転移させられた」


「あれ、でも誰も来てませんよ?ここダンジョン80階層じゃないんですか?」


「ふふふ、侵入者によって形を変えるのがダンジョンだろ? 中でも80層は特殊仕様になっているんだよ。その広さは人数1人に応じて、1層分の広さを展開する」


「それじゃ質量とかを無視しちゃってますね」


「異次元空間となったからな、ふふふ、あははははは」


 キルレは突然怪しく笑いだした。


「何がおかしいんですか?」


「ダンジョン攻略においてHPの許容量を超えるダメージはリアルプレイヤーの現実世界での精神的負荷が発生させ後遺症を残す。この意味が分かるか?」


「……っ! なるほどやはり狂人でしたか」


「全てのダンジョンプレイヤーを巻き込むデスゲームの開幕だあああ!」


 ギルドオブヘルのリーダー、キルレは狂気の表情を見せて80階層最深部で叫ぶのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る