第25話 リーダー
「貴様、キルレ! なんでここに呼び出した」
「ご苦労だったね。アイシア。君なら彼を電波塔まで連れてくれると思っていた」
「どういうことだ」
「メイルの両天秤の転移座標を電波塔とここに定めておいた。僕はずっと君を狙っていたんだよレオ」
「僕を」
「うん、君の活躍はずっと裏で見ていた。レオ様としてスキルを覚醒させたときからいずれこうなることは分かっていたよ」
「そこまで知っているなんて」
「私がお前の掌で踊っていたわけがないだろ!」
アイシアは剣をキルレに突き立てようとした。
「もううるさいな」
「何?」
キルレはアイシアの剣をまげておった。
「君の役割はレオを座標へ連れていくこと。もう様子見だから消えていいよ」
「うわあああああ」
「ドカっ」
アイシアはキルレに吹き飛ばされた。
「そのまま、壁にぶつかって消えろ」
「レオ?」
アイシアを掴んで助けた。
「先走らないでください、相手はヘルのリーダーです」
「すまない、少しの間任せた」
アイシアは意識を失った。疲労がたまっていたようだ。
「いったい何が目的なんですか」
「そう、それを聞いて欲しかった。君ならきっと俺の仲間になってくれるはずだ」
キルレを僕に手を差し伸べてきた。
「何をいっているんですか」
「それをこれから説明するのさ」
「何?」
「グヲをおおおお」
奥から巨大な獣が出現した。足には枷がかけられている。
「それは?」
「ダンジョンキメラ、80層のボスさ」
「拘束したんですね」
「ああ、なんとかね」
「そいつを捕まえてどうするつもりですか?」
「君はフーコから俺たちについて聞いているだろ?」
「ええ、ダンジョン攻略反対派ですよね」
「そうだ、ダンジョンは素晴らしいあらゆる可能性がある。これをフルに活用すれば多くの恩恵が受けられる。何より、非日常感を味わえる」
「非日常感?」
「君は退屈に感じたことはなかったかい? 毎日何も変わらない日常を。そんな中でダンジョンはある意味救済でもあるんだ」
「それは知っています。でもダンジョン攻略は多くの人の夢で目標です。それを奪っていいはずがありません」
「その考えは変えないと勿体ないよ。固定観念に縛られてる。君なら俺の言ってることがわかるんじゃないの」
「え?」
キルレににらまれると、心の中のレオ様が強まった。
「やあ、君に会いたかったんだ」
「僕に何かようですか」
レオ様が現れた。
「話はどこまで聞いていた?」
「全て聞いていましたよ」
「なら俺と協力してくれよ。君を幹部に迎え入れたい」
「お断りですね」
「何? 君もダンジョン攻略反対派なんだろ? その上に素晴らしいスキルをもっている。俺としては申し分ない逸材なんだが」
「あなた方と僕とでは敵対関係にあるんですよ。あなた達の部下が僕のことを襲っていたのはご存じでしょ?」
「ああ、力試しさ、それに君は合格したんだ」
「何様のつもりですか、この僕に向かって力試しとは身の程しらずですね」
「やれやれ、君なら分かってくれると思ったんだけどな。その言葉をそっくりそのまま返してあげるよ」
「僕が身の程知らずだと?」
「ああ、俺はこれからダンジョン攻略派を一掃する準備をしているんだ。君にもこの計画を教えてあげようと思ったのにその口の聞き方はなんだい?」
「誰が聞きたいといったんですかね?」
「まあいいや、特別に教えてあげるよ。俺は心が寛大だからね」
「あなたとの会話は調子が狂いますね。まるで自分と話してるみたいだ」
「それは少し思っていたよ」
「それでどういった計画なんですか」
「俺の能力はね、大器晩成型なんだ。完全覚醒までにはレベル90を要する。そしてつい最近レベル90になったんだ」
「僕とあったタイミングで90ですか、偶然ですね」
「フーコの奴がいい勘をしていたようだな」
「それで覚醒すると何ができるんですか」
「世界を変えられる」
「世界を変える?そんなことができるとでも」
「ああ、ディメンションキメラを捕縛するスキルと増長スキルが手に入る」
「それをどうすると?」
「おれは全プレイヤーが同時にスリルを味わえてばいいと思っている」
「その方法は?」
「上層80階層以上のダンジョンは魔境だ。そんな場所に全てのプレイヤーを強制転移したらどうする?」
「そんなことをしたら破滅でしょうね。多くのプレイヤーがオーバーキルによる後遺症でダンジョンへの復帰は困難になるでしょう」
「君が多くのプレイヤーにしてきた通りね」
「それがあなたの計画ですか? ギルドオブザヘルのリーダーキルレさん。あなたはダンジョン攻略組の阻止が狙い、フーコさんと対立した思想の持主というわけです」
「そういうことだ」
「なるほど、あなたが僕を説得を試みようとする理由が分かりました。フーコさんが今の状況を創り出している、覚醒前のあなたにこの僕を対面させたというわけです」
「いやだから覚醒してるって」
「その様子だとブラフのようですね。僕がその気になれば、覚醒前のあなたを撃つこともできるわけだ」
「やめとけって、そんなことをしたら俺と君は敵同士になるよ」
「フーコさんは分かっていますね。僕がどうするか、まで想定済のようです」
「なんだと? 俺と対立するっていうのか」
「愚問ですね!」
キルレに高速接近した。
「やれやれ、仕方がないな。おい、呪具を使え」
「はい」
こいついつの間に背後に。
「ランクS武器、黒騎士の拘束呪発動!」
「なに?」
拘束によって身動きが取れなくなった。
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