第19話 未開拓ダンジョン
未開拓ダンジョン上層裏ルート、そこは何もかもが未知の世界である。新ダンジョン攻略をしていた身としては、確かにこのルートを渡ることは普段通りかもしれない。
だが、それはヘヴンの意思に従ってのことである。未知のダンジョンに行くつもりだった僕だが、それはただの思い込みであり、全てはヘヴンの掌の上だったのだ。
そしてここは紛れもなくヘヴンの管轄から外れた、未知のダンジョン上層部、ここからが本当のダンジョン探索なのである。
「さあ、はじめようか」
機材をとりだして配信を始めようとした。
「何?」
しかし特殊電波によって機材が起動せずに遮断された。
「やれやれ、これではただのダンジョン探索ではないですか。誰にも認知されずにダンジョンを進めるというのは実に不快なものです。じゃあ、進みますかね」
今僕を取り巻く状況は異質である。フーコとの協力を断り、未開拓ダンジョンに突入した。
ダンジョン54層、ギルドオブヘルの管轄の裏の階層といえる。
最新ダンジョンをクリアしていた僕としては、その前から先行してダンジョン攻略をされていたというのは屈辱である。
「ふん、ひとまず、ギルドオブヘルのメンバーを見つけ次第葬って差し上げます」
ダンジョン54層には魔物がいない静かな空間が広がっていた。
このままではあまりにも退屈で55層にたどりついてしまうのではないだろうか。
しかし明らかに何かがあるはずである。
あのフーコがダンジョン53層で遠征を止めたというのは何かあるはずだ。
情報開示は非協力としたから、とめられたため、何も情報がない状態での探索をすることになる。でもそれがいい、これが僕にとってのスリルであり楽しみであるのだ。
「これは?」
54層の終わりが見えてきたころ、大きな空間が現れた。
まるでボス部屋のようである。
「なるほど、こういうことでしたか」
「―――」
辺りは闇で覆われている。しかし予感が言っているのだ、この空間に足を踏み入れればすべての実態が明らかになると。
「カタッ」
しかしレオ様が臆するはずもなく、何の中もなく足を踏み入れた。
「グヲオオ」
「ドドドドド」
周囲の松明が一斉に照らされ辺りを照らす。巨大な空間の中心にいたのは上位デーモンだった。
「さあ、はじめますかね」
「貴様、ここをどこだと思っている?」
「ああ、喋れたのですか?」
「当然だ。私はダンジョンの管理者の一人、ここへの立ち入りは許可されていないはずだが」
「でも僕の他にも立ち入っている人がいると聞きましたが?」
「ほう、その話になったか。では通行証をよこせ」
「通行証?」
「なぜ通行証をもっていないのに、貴様がその情報を知っている? まあいい、とにかく通行証がなければここを通すつもりはない」
「じゃあ力ずくでいきますよ!」
「愚かものが!」
「ドドドドドドド」
激しい衝撃派が辺りを包んだ。
流石に並みのデーモンとはいかない実力だ。ダンジョンの管理人だかなんだか知らないが、所詮はマテリアルコードを持つ僕の敵ではないのである。
「なぜ、攻撃があたらない!」
「全部見えてますからね」
「そんなことがあるか!」
デーモンは魔法陣を展開して、魔段を無数に打ってきた。
しかしその魔段は全てあたらなかった。
「威力としては申し分がないですが、当たらなければ意味がありません」
「ふはははは、確かに攻撃はあたらないが、お前も避けてるだけで攻撃が出来てないようだな」
「いや違いますが?」
「何?」
レオ様の手刀がデーモンを貫いた。
「が、は」
「様子を見ていただけですよ。攻撃はやろうと思えば一瞬です。じゃあさよなら」
「ま、まて、お前のような危険な存在を通すわけにはいかない」
「そういえば」
「うっ、いきなり振り向くな」
「あなた、ダンジョンの管理人と言っていましたね。それと通行証とはどういうこと何でしょうか」
「いうわけないだろ」
「だと思ってあえて聞きました。大方僕の予想ではあなたはこの54層のダンジョン管理人だったが、ギルドザヘルのメンバーにくだり掌握されてしまった。どうですか」
「き、貴様なぜ、それを知っている」
「全ては分かってしまうんですよ。でしたらギルド・オブ・ヘルの情報をはいてもらいますよ」
「や、やめろ!」
「そこまでだ!」
「おやおや、むこうから会いに来てくれましたか」
情報を引き抜こうとした時黒装束が話しかけてきた」
「貴様何者だ、通行証をもたずに未開放ダンジョンに足を踏み入れるとは」
「はあ、同じことをあなたにも返してあげましょうか? それは同じプレイヤーであるあなたにもあてはまるはずでしょ?」
「そういう話をしているのではない。未開放ダンジョンに入れるのはこの通行証をもつ選ばれたプレイヤー、ギルド・オブ・ヘルのメンバーのみ。一般プレイヤーが入るべきではないのだ」
「何の権利があってそんな仕切りをしているんですか?」
「力だ、われらには力がある」
「じゃあ、その力とやらを見せてもらいましょうか」
マテリアルコードを発動した。
「おい、お前、こいつは強すぎる気を付けろ」
「貴様は管理人から降格だ。侵入者を防げぬとは衰えたようだな」
「そうじゃない、そいつの実力は大きな脅威となる」
「馬鹿が、未開拓領域の知識を持つわれらにたかが一般人が勝てるわけないだろ!」
黒装束は黒い剣を取り出した。
「みろ、これは上層80階層のレアアイテム、黒葬剣。今までにないステータスで、ゲームでいえば数バージョン先のステータスを持っている。攻撃があたれば貴様は即死だ」
「あたればの話ですよね」
「ほざいたな! しねえ!」
「見えています」
「すっ」
黒葬剣が空ぶる。
「なんだと? 黒葬剣があたらない?」
「この力ある限り、僕に敵はいません。全ては思いのままです」
「気をつけろ、そいつはどういうわけか未来を読むことができるようだ。全ての攻撃を先よみしてくる」
「予知能力のようなものか!ならば先読みしても意味がないように広範囲攻撃をするまで」
黒装束の男は黒葬剣にエネルギーを貯めて地面に押し付けた。
「ほう、おもしろい」
「待て待て、俺まで巻き込む気か!」
「敗者に権利はないんだよ。これで逃げ場はないぞ! 地殻変動!」
「ドドドドドドド」
「うわああああああ」
地面はひび割れ、黒いエネルギーとともに周囲は崩壊した。
「これからあなたも敗者になるんですけどね」
「なんだと……」
デーモンは消滅し、あたりは決壊し煙が舞う中で、レオ様が立っていた。
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