第14話 コンビ結成

「レオ君ならやれると信じていた」


「ユズのおかげだよ」


「力になれてよかった」


「うん? あれは中継カメラ、また来たのか」


「そうだから、これからやらないことがあるの」


「ユズ?」


 考えてみれば、ドールの魔物にあのレオ様が敗れたのだ。コメントは大騒ぎだろう。僕の予定ではこれでレオ様というカリスマの存在はみんなの中から消えて、呪縛から解放され、僕も自分でいられる。次にやりたいことは……。


 ユズは何をしようとしていたんだろうか。ふと、中継カメラの映像からコメントをチェックする。


レオ様?


レオはどうなっちゃんだ。


ドールの魔物に負けた?


いやでも、ドールの魔物も消えたぞ。


レオ様はどこにいった。


あれ? レオ様じゃない?


一緒に誰かいるぞ。


誰?


誰よそれ?


俺覚えてる、レオ様が最初の初心者ダンジョンで有名になった時一緒にいた子だ。


確か名前はユズ。


どんな関係なんだ?


おい、ユズがこっち向いたぞ。


「みなさん気になっているでしょうが、さきほどのドールの魔物にレオ様は負けました」


嘘、レオ様が負けただなんて。


信じられないぜ。


でもユズの後ろにいる人物はレオ様じゃないのか? 相打ちならその人は誰なんだよ?


「レオ様じゃなくてレオ君だよ」


何をいってるんだ?


どうみてもレオ様だけど?


「ええ、みなさんこれより私ユズとレオ君はコンビを組むことになりました」


どういうこと?


「それは本人の口から聞くといいよ」


「ユズ!」


 ユズがコンビを組んでくれるのか。またダンジョン配信をしたいと思っていたから嬉しかった。それにこれならコメントを収められる。


「じゃあ、後は宜しくねレオ君」


「うんまかせて」


 ユズがこんなに頑張ったんだ。僕も頑張らないといけない。気持ちを伝える勇気をユズからもらった。


「僕はレオ様ではありません。レオ様は僕の偽りの人格です」


レオ様?


なんか雰囲気が違くない。


偽りの人格って、じゃあレオ様の本来の姿ってこと?


「さっきのドールは僕です。レオ様を倒すことで、僕は自由になれた。僕はずっと、あの人格に苦しまされてきた。これからは自由にやらせてもらいます」


ってことはさっきのドールがレオ君ってことになるのか?


えええ?じゃあ、レオ様をレオ君が倒したってこと?


すげえええええ、あのレオ様を倒した新星登場じゃん!


なんか、レオ様もいいけど、レオ君もかっこよくない?


「ねえ、なんか流れが変わってきてない」


「いや、これは僕も予想外かも……」


レオ君、そしてユズ、レオ様を倒した最強コンビの結成だ!


これから応援するぜ。


がんばれー。


「こんなことになるだなんて」


 レオ様の主人格である僕は、レオ様を倒した実力が認められ、レオ様のポジションにユズとともにつくことになったのだった。












「じゃあ、そろそろ進もうか」


「うん」


 ユズと一緒に次のダンジョン階層への扉に手を掛けた。


「うん? あなたは?」


「コングラッチュレーション。お見事だったわ」


「フーコさん」


 次のダンジョン階層の扉の先にフーコがいた。







「改めて自己紹介させてもらうわ。私はギルド・オブ・ヘヴンのリーダー、フーコよ。プレイヤー名はヘヴン、よろしくね」


「フーコさんがヘヴン」


 思えばヘヴンという人物を見たことはなかった。ギルド・オブ・ヘヴンのリーダーとしてトップの実力を持っていることはしっていたのだが。


「これはいったいどういうことなんですか」


「全ては私の目的のためとだけ言っておくわ。その全てはまだ語るつもりはない。私は二人にお礼がいいたかったの」


「ユズはフーコさんと知り合いだったの?」


「うん、だってスキルを手にしたのはフーコさんと会ったからだよ。私はこのスキルを使って、レオ君を救うことができた」


「どうしてフーコさんがそんなことを」


「言ったでしょ、マテリアルコードは運命に導かれた特別な力なの。いずれその力で私の目的を達成したいと思ってる。そのためにいずれまた会いましょう」


「今は話せないんですか」


「ええ、2人にはまだやることがあるの。全てを話すのはそれからだわ、次の階で待ってる」


 フーコはその場から消えた。


 まだダンジョン遠征は続くのか。


「残り人数は?」


「大方半数ってところね。有力プレイヤーはほとんど脱落したけど、まだ私たちはいるわ」


「確かにオッズ上位者はヘヴン以外脱落だもんね」


「レオ様はレオ君になったしね」


「実質消えたってことになる」


 このダンジョンの目的は新ダンジョンを突破することを目的としている。このダンジョンいまだにそこが見えない。いったいどこまで続いているのだろうか。


「とにかくフーコさんを追おうよ」


「そうだね」


 今僕にはユズがいた。力もある。もう不安はない。


「ここだね」


「うん」


 しばらく進むとこの階の最後のフロアがあって、誰かがいた。


「ミレイ!」


「待ってたよレオ君。フーコとは何を話してたのかしら?」

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