第12話 レオ様VSユズ2
「これは……なぜユズがそのスキルを」
「目を覚ましてレオ君! 力に飲まれちゃいけない!」
「このスキル、やはり僕の運命の啓示を遮る。反応が遅れる、跳ね返しきれない!」
ダンジョンに入ったら、スキルを使って主人格を戻す、そう思っていた僕は戦慄した。
何も見えない、抗えない、深淵の底に意識が沈んでいたからだ。
この間にも多くの人がレオ様の人格に傷つけられているのではないか。でも今の僕にはそれをどうにかすることはできない。
「……して」
「?」
「目を覚ましてレオ君」
あれ、ユズの声が聞こえる、どうしてこんなことが起きてるのかな。
でもこの現象はフーコさんの時に似ている。
スキルが共鳴しているんだ。
これならもう一度使えば、あの時と同じように、マテリアルスキルを発動した。
「どうして……」
「なぜ人格が戻らない? そう感じているようですね。確かにあなたのスキルは共鳴して人格変化に近づけました。ですが、ここはダンジョン内で最も力が強まる場所です。僕の主導権を奪うことなど無理なことですよ」
「そんな……ここまでやっても駄目だったというの?」
「絶望、恐怖するがいい、あなたは僕を怒らせました」
「こんなことって」
レオ様のオーラがかつてないほど高まり、周囲の空気がピりついた。
「終わりですよ」
「私は、私はそれでもやらきゃいけないの! 呼びかけが無理なら力ずくで」
ユズはマテリアスキルによって自己バフを繰り出した。
「なるほど、ミレイさんの時もみましたが、どうやらマテリアスキルとは自己バフをもたらす性質のようですね」
「ドドドドド」
しかしユズの攻撃は全てかわされた。
「なんで、あたらないの?」
「フーコさんから聞かなかったんですか? 僕の力はあなたのマテリアスキルの上位互換であるマテリアコードです。運命の啓示によって勝利をもたらす能力、全てがわかるんです」
「そんなのって……」
ー
レオ様とミレイの戦いの配信を見ていた私はレオ君が力に溺れていくのに苦しんでいるのだと確信できた。
そして、そんな私のもとにフーコという人物が訪ねてきた。
「あなたがユズさんね」
「どちらさまですか?」
「あなたが今見ているレオ様の全てを知る存在よ」
「どうしてそれを……いったいレオ君はどうしちゃったんですか?」
「全ての始まりの現場にいた存在、はじまりの、初心者ダンジョンBエリアの魔王スライムをレベル1プレイヤーが初見で討伐したあの配信を見ていた。ずっとあなたのことを訪ねようと思っていた」
「私のことを探してた?」
「ええ、あなたはあれからレオ君を遠ざけるもそれは恐怖からで、どうすることもできなかった。そもそも彼が力を許容しているとさえ疑心にまみれていた。でも今ユズさんは、確信したのでしょ? レオ君は苦しんでいる。止めなくてはならないって。私ならあなたにレオ様をとめる力をさずけることができる」
フーコは手を光らせた。
「これは?」
「マテリアスキル、レオ君と似たような種類の力よ。今そこの配信に映っているミレイとも同種の力、これがあればレオ様をとめることができる」
「レオ君も救えるの?」
「ええ、そうよ」
「私やる!」
ー
「どうして……レオ君を救える力だっていったじゃない!」
「可愛そうに、フーコさんに騙されたんですね。今僕が引導を渡してあげます」
「い、いや」
「怯える必要はありません。痛みはほんの一瞬です」
「レオ君、助けてえええええ!」
レオのアイテムボックスが光だした。
「これは共鳴? ミレイさんのアイテムボックスから光が? どうしてこれはロックされてて僕では動かせないはず まさか」
「ユズを放せよ」
「レオ君?」
レオ様の手を掴む人物、それはレオだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。