第2話 驚愕
私の仲間。村張、老夫婦、その他。
彼らは何処へ行ったのか。私は獄中で歯を食いしばった。
すると、隣から声がする。
「おーい。そこに誰がいるんだろう?」
私は檻の柵から顔を出そうと身を乗り出したが、我が腕は鉄塊にパッチャリ拘束されていた。
「ええ。いますよ。私はじゃぷです。貴方は誰ですか?」
「じゃぷだと?も、もしかしてお前さん、じゃぷ愛子ではないか?いやあ懐かしい!俺だよ俺!
太鼓の!ほら!」
誰だ?太鼓?こんな奴知らない。
きっと窮地を脱するため協力してくれると思いきや、後々裏切る敵なのだろう。
「誰だ!お前なんか知らん!私は騙されない!」
「ちょっと待ってくれよ!俺だよ!阿呆だよ!
太鼓の阿呆だ!ほらぁ!よく皆が俺の事を太鼓の凡...」
「おい!お前も日本語を話せるのか?」
よく考えればなぜこんな阿呆が日本語などを話すことができようか。
こいつのことは全く知らんが、私のようにウイルスに抗体がある者は少ないのだ。
話を遮られた阿呆は不満げに話し始めた。
「ああ、お前知らないのか?ここには俺たちのようにウイルスが効かない奴が収容されてる。そりゃ俺もここに来て1ヶ月経つからな。それなりに情報も持ってる。ここに捕まってるのは俺たち含め6人だ。」
6人か。意外と少ないな。だが恐らく捕まってない者もいるはずだ。こんな統制は急すぎる。
「こむすびまんは俺たちみたいなのを、えむすびまんざり、略して"ん"と呼んでいる。」
"ん"か...私はニヤリと笑った。
「まずい!見張りの人が来たぞ!」
見張りはどうも浮かぬ顔をしていた。飯を置くと、すぐにどこかへ行ってしまった。私達は、話していたことで叱責され、腕の鉄から電流を流された。阿呆は失神している。
「Anyone! Help me!」
「Shit! Don't touch me!」
恐らく見張であろう声が響いてくる。
突如サイレンが鳴り響く。
「おい!阿呆!ちゃんと計画通りやれよ!くそ!気絶しやがって...」
そこにいたのは陶芸家の中山だった。
「おお!愛子じゃないか!今助けてやろう!」
中山に会えた喜びで一杯の中、牢の外で体を伸ばす。
開放と同時に私は驚愕した。
そこにいた見張り達が、陶芸作品に成っていたからである。
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