まほろば

hamazen

第1話 じゃぷ愛子

一年前、あるウイルスが日本中に蔓延した。

「日本人ごときが日本語を話すなど生意気だ。SEYA」

とアメリカの権力者が日本人のみに効くウイルスを撒いた。

この影響で日本人は英語しか話せなくなった。

というのも、日本語を話すと死ぬ。

混乱、そして崩壊。

次第に英語を話せるものが権力を握るようになる。

そして英語のエリートだけで構成された組織、こむすびまん。

その頂点に君臨するのが中国人、藤村ナオトインティライミ。

日本は彼の独裁となった。






夕方。空は急速に暗くなってゆく。私は電車に揺られ思い出の故郷、まほろばへと向かっている。陶芸家の中山、村長の村張、土売りの貧乏坂、エンジニアの老夫婦。彼らのことを思い出すと、自然と心が温かくなる。あの頃は楽しかった。大人たちは笑顔で、時に真剣に仕事をしていた。暇なときは遊んでくれた。友も気の合う奴らだった。しかし私は日本の首都、KAITAで重労働を強いられている。

それもこれもあの藤村のせい。

数少ない休日に何としてでもまほろばに帰りたかったのだ。



私はウイルスに対する抗体を持っている。

私は知っている。藤村は現代文が壊滅的にできないことを。

この私、じゃぷ愛子こそが、日本を救う英雄の一人だというわけだ。


聖夜は真っ暗で静かだ。

まほろばは廃墟と化していた。


「おい!!なんだ!!!どういうことだ!!!なぜだ!!!おい!!中山!!どこだ!貧乏坂!!!おーい!!」


私は大声で叫ぶ。


そこに屈強な警官たちと藤村が現れた。


「Why you speak Japanese? Police!! Police!! Catch her!」


藤村が何か叫んでいる。

しかし意味は分からない。


「おい!やめろ!」


私はあっという間に捕らえられ、藤村ぷりずんに投獄されるのだった。


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