プロローグ 第4話 「シャープ」

メーターはスピリットサークルを書いていた。


「俺を召喚すらしなかったくせに、なんでわざわざこのマントを作ったんだ?」と俺は聞いた。


「もし何も着ていないヒーローを召喚したら、ライムに怒られかもしれません。」


「お前は召喚すらしなかった!まだそのまま服を着ていたほうがマジだったよ!」


ライムは「何も着ていないヒーローを召喚したら、それはそれで面白そうですわ」と呟いた。


俺は腕を組んだ。「もう、その悪魔を召喚してくれ」


メーターは杖を掲げた。杖の先端にある青い球体の宝石が光り、スピリットサークルは赤い光を放った。


赤い円から左手が差し伸べられた。次の瞬間、右手が差し伸べられた。そして、悪魔が円から這い出てきた。


強い鬼を期待したが、現れたのは小柄な女で、控えめな胸を持っていた。アニメには普通、強い鬼はデカぱいを持っているものだが、ライムとメーターに比べても何もなかった。


悪魔は紫色の肌に長い黒髪、真っ赤なクロップトップとパンツだけを着ていた。いや、網のスカートも着ていたけど、パンツはしっかり見えていた。


「誰が俺をあえて召喚しやがった!?この俺、魔王様を!」と悪魔はいった。それから俺を一瞥して、「カッコいい!」と叫び、鼻血を出して気絶した。


ライムとメーターは「魔王様!!!」と叫んだ。


「えっ!」ライムはメーターに振り向いた。「使った悪魔の正体、本当に知らなかったのですか!」


「守秘義務は大切です」とメーターは答えた。


「また!」ライムは魔王に振り向いて言った。「あなた、どうしてそんな姿に…」


「それは一番大切じゃない質問だろ」と俺は答えた。


皆無視した。


「なんだよ、それは恥ずかしいぞ」と魔王は言った。


「それとも、これがあなたの本当の姿ですか」


「う、うん…。」魔王は緊張して笑った。「ちっちゃいんだぞ。悪魔ってのは、強さを誇るもんだからな、大きくて、カッコよくて、強くて、筋肉があって、男臭いのほうが便利だけだ。」


ライムは少し黙り込んだ。しばらくして、「男になりたかったのですか?」と聞いた。


「……いや。」


「なりたいですか。」


「違う。」


「本当に?」


「いや、違うって。」


「そうしたら、どうしてですか?」


「えっと…、本当に俺は女だ。だが、夢を叶えるには、そんな強い姿が絶対に必要なんだったぞ。」


「夢を叶えるため?」


「そうだ。」


「どんな変な夢なんですか?」


「そ、それはな…」


「それはー?」


「ヒーローが弱っちい魔王を倒しても、それは満足じゃないだろ!」とそわそわしながら言った。


「満足できないと?」


俺はポンと拳を手のひらに当てて、「わかった!」と言った。魔王を指差し、「マゾヒストだな。」


魔王は顔を真っ赤にした。


「嘘…」とライムは驚いたように言った。


「…」


(ライム)「嘘!歪んだ性的空想のために数世紀にも渡る戦争が始まったのですか!?」


シャープはクーデレな幼稚園児のようにこっくりしてかすかに微笑んだ。


「罰してくれるの?」


「違いますわ!」


「ああ、そんな悲鳴は俺には満足な罰だな」と魔王は爆笑した。「俺、やばいよな~」


俺は「素晴らしい」とつまらなそうに言った。「けど、こんな設定語りを気にしないぞ」と魔王に言った。「それより、こんな強さはなんでだ?」


メーターは淡々と声を上げた。「んー、論理的に魔王様にとって弱いヒーローを召喚したほうがよかったと思いますが。」


「俺の目的は殺されることじゃねえ。そんなの満足できるわけねえだろ。一つ条件があって、この世にヒーローを召喚するという依頼に賛成したんだった。条件ってのは、強力な呪いをかけること。お前の赤髪はそんな呪いの証明だ。」


「どうしてそんな条件を受け入れたんですか!」とライムはメーターに聞いた。


「お前ら、なんで俺の外見が変わったんだ!まあいいけど、こんな神みたいな強さが呪いのせいだって?」


「呪いってのは、一番怖い恐怖を叶える呪いもんだったから。どうやら、お前の恐怖は全能性だったらしい。」


「お前、全能性をあげることができるのか?」


「いや、そんな簡単なもんじゃねえよ。呪いをかけるにはとんでもなく魔法力が必要だったんだ。召喚したとき、誰かが手伝ってくれたんだ。」


「ふざけるな!」


「誰が魔王様を助けてあげますか!」とライムは声を上げた。


「知るか」魔王は肩をすくめた。


「じゃあ、お前を蘇らせたのもその人だな?」と俺は聞いた。


「ん?」


「あら、ケーデンスくん、魔王様がまだ生きているのはおかしくありませんわ。」


「え?」


「本当ですわ。そうですね、魔王様?」


「敬語なんていらねぇよ、姫。それに、シャープって呼べばいい。よろしくな。」


「よろしく。」


「よろしくお願いいたします。」


「悪魔に『よろしく』話しませんわ。」


「厳しいなあ。いい感じ。まあ、説明してやる。悪魔は死ぬと、蘇ってレベルがリセットされるんだ。」


「ですから、悪魔の軍隊を滅ぼすのがとても難しいのですわ。殺したら、弱くなって戻ってきても、王国の軍隊は多勢に無勢です」とライムは加わった。


「正解!さあ、ヒーロー、俺が倒られたからには、交尾しようぜ。」


俺は膝から崩れ落ち、涙を流した。


ライムは「…ケーデンス?」と問いかけた。


「ここで女さえも簡単すぎる!」

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