第10話 情報収集と脅しは繋がりがあるのです

今日の夕飯はカレーにする。最近食べたばかりだったが、まあカレーは美味しいから別にいいだろう。

「師匠!カレー美味しいです!」

何故、この人は一緒にカレーを食べてるんだろう。

少年と共に家に帰ると普通に一さんも部屋に入ってきた。

まぁ、敵意も何もないし、別にいいか。

それに、いつか私を殺してくれるかもしれないし。

「…良かったです。」

「ねぇ、おねぇちゃん。僕を誘拐して復讐するのはいいけど、どうするの?おねぇちゃんこーこーせいでしょ?」

「うーん。そうだなぁ。とりあえず少年は学校の友達のことだけ考えてて。お父さんのことはどうにかなるから。それと、いくつか質問させてもらってもいい?」

「うん。いいよ」

質問という言葉に少年の背筋が伸びた。

「師匠!情報収集ですか」

「まぁ、そんなところです」

その返答に一さんは明らかにワクワク・・いやキラキラとした目を私に向けてきた。

いやープレッシャーだなぁ

「じゃあまず家族について。少年の家族構成を教えてくれない?」

「えっと。僕とお父さんとお母さんの三人で暮らしてるよ。」

「なるほど。嫌な質問だと思うんだけど、少年が叩かれてる間お母さんはどうしてるの?」

「あ・・えっと。お母さんは」

少年の拳に力が入った。蛍はその手を優しく握る。その行動に少年の顔つきが変わった。

「お母さんは、最初は僕のことを守ってくれたんだ。だけど、そうすると今度はお母さんがお父さんに叩かれるんだ。だから、お母さんは疲れちゃって、僕が叩かれたり蹴られてるときはお部屋にいるんだ。」

「お部屋にか・・・」

私が険しい顔をしたためか、少年は慌て始めた。

「でも、お母さんは僕にいつも泣いて謝るんだ。それに僕、お母さんが叩かれるのを見るのは、僕が叩かれるのよりももっと嫌だから、いいんだ。」

「そっか、話してくてれてありがとう。じゃぁ、今度は学校のことを聞くね。」

そこからまたいくらか質問をする。少年を虐めている主犯格について。いじめの内容。クラスの友達はいるのか。先生はいじめについてどのくらい知っているのか。これらの質問に少年は一生懸命答えてくれた。その答えを聞くたびに一さんの顔が険しくなっていった。

水族館で自分が言ったことについて考えてるのかな?

「いろいろありがとう。じゃぁ、最後の質問。虐めてるやつらの家族について知ってる?」

これまですらすら話していた少年だったが、この質問には悩むそぶりを見せた。

「分からなかったら、答えなくても大丈夫だよ。」

「いや、一人だけ知ってる。その・・僕を虐めてるボスの話をさっきしたでしょ?そいつのお母さんがぴーてぃーえー?の会長をしてるんだ。とっても厳しい人だって聞いたことある。」

「厳しい、か・・・」

「こんなんで大丈夫なの?」

不安そうな少年の顔を見つめ、頭を撫でる。

「私にできないことってあんまり無いから大丈夫。それより、カレー食べな」

少年はまたカレーを食べ始めた。

カレーを食べ終えると、今度は入浴だ。少年と一さんを一緒にお風呂に入れる。

その間に、パソコンを開き少年の小学校や主犯格の母親の特定、さらにはその母親のSNSなども調べる。

「ふっ」

そこで出てきた情報に思わず笑みがこぼれる。

いやー皮肉だなぁ。いじめ防止の活動を積極的に行ってる母親の息子がいじめの主犯格か。でも、この情報は使える。

さぁ、楽しくなってきた。

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暗殺者は死にたい 片栗粉 @andoroido2123tukareta

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