第9話 本業は暗殺者です
遊園地に着くと様々なアトラクションを楽しんだり、屋台で食べ物を買って食べたりした。その間少年は楽しそうに笑っている。
遊んでいると17時の鐘がなった。
「あ・・・もうそろそろ帰る時間だね。少年送るよ」
「今日はおねぇさんのお家に泊まりたい。ダメ?」
少年が縋り付くように私の腕を掴んだ。その姿はまるで何かに怯えているようで、違和感がさらに広がる。
「ちょっとごめん」
少年の腕元をまくると、丸い火傷の跡が無数についていた。
「これは・・・」
(虐めだけでついた傷じゃない。これはタバコを押しつけた時にできる火傷だ。)
普段拷問などで見慣れている蛍にとっては、すぐにそれが何のために出来た傷なのか察しがついた。少年を見ると不安や恐れ、そして少しの罪悪感が感じられる瞳で蛍を見ていた。
「ち、違うんだよ。お父さん、前は優しかったから。僕が、その、僕が勉強しない、できそこない、だから、、だから」
「少年は、赤ちゃんが泣いたら殴る?」
「え、そんなことするわけない」
「じゃあ、ワンちゃんとかがお手とか覚えなかったら蹴る?」
蛍の質問に少年は首を横に降る。
「だよね。自分の守るべき人の心を傷つける理由なんていらないし、どうでもいい。……よし、復讐しよう。少年を虐めてくるやつら全員。」
私の提案に、呆気にとられていた少年がすぐに首を横にふった。
「え、!?そんなことしなくていいよ!!それにおねぇさんさっき傷つけちゃダメだって言ったじゃん!」
「それは、守るべき人の心の話」
「そ、それに、学校で復讐は何も生まないって道徳の授業で習ったよ!」
「私、道徳嫌いなんだよね~、小さい頃までは分かるんだけどさ、大人になってからただの一般人が道徳通しても頑固な人とか協調性ない人扱いされたり、自分が我慢して苦しくなるだけのに、成功した人が道徳通してるとかっこいいってなるのが苦手。だから、復讐しよ、少年」
「でも、どうやって…?」
「任せなよ、そういうの得意だから。じゃあ今日は少年を誘拐しよう。帰ろ」
話の展開についてこれてなさそうな顔をしながら、少年は私の顔を見返した。けれどその表情はすぐに覚悟の決まった顔になる。
「う、うん!!」
少年の手を握り帰路に着く。
さあ、どうしようかなぁ~
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