第四話 増えた謎
動物の耳を消せるかは不明だけど、とりあえずお母さんに話をちょっとずつ聞くことにした。でも、イジメについて気づかれないように聞くって…難しそう。
しかも、マノちゃんにも気づかれないように。ケントやクノちゃんは嘘が下手だから、大丈夫かなぁ。不安になりながらも私はお母さんに聞くことにした。
「お母さん、おじいちゃんおばあちゃんってどんな人だったの?」
「えっ…!? あ―――、そ、それは私のお母さんとお父さんのこと?」
「うん」
私がうなずくと、笑って答えてくれた。
「とても優しい………ひ、人達だったわ。おじいちゃんは家事が上手でちょっぴり会話が苦手。おばあちゃんはバリバリに働く人だったの。確かキャビンアテンダントじゃなかったかしら?」
「へ~、知らなかった!おじいちゃんおばあちゃんは私達みたいに
「え…………すごい特徴は無かったわ。私達兄妹で、翼が生えるようになっちゃったのよ~アハハッ。おじいちゃんおばあちゃんはもういないけど、生きていたらネネも会えたかもね」
何かお母さん、話題をそらした?気のせい?
でも、会ってみたかったな…。おじいちゃんおばあちゃんってどんな人だったんだろう?気になる、気になるっ!
すると私の隣にいつの間にかいたケントが、ズイッとお母さんに詰め寄る。
「ねぇ、おじいちゃんおばあちゃんについて詳しく教えて! 写真ある? あるよね! うん、見せて!」
「あ~、ごめんなさいねケント。写真は無いのよ…え~っと、そのぉ~あっそうそう!おじいちゃんおばあちゃんは写真を撮るのが大嫌いだったのよ。だから無くて…」
「えー―――! 一枚ぐらいあるでしょ!?」
「な、無いんだってば……諦めてくれない? ケント」
「そうだよね、お母さんが困っちゃうよ」
私が助け船を出すと、ケントは渋々話すのをやめた。
でもケントのお陰で分かった。おじいちゃんおばあちゃんのことになるとお母さんの顔色が少し変化する。何だか色々なことを隠しているような反応だ。これは何かのヒントになるかもしれない。
写真が嫌いって言っていたけど、お母さんの昔の写真は見せてもらったことがある。それに写真が一枚も残っていないなんてあり得ない。まさかおじいちゃんおばあちゃんは…大統領だったとか!? いや、そんな訳…無いか。
これは、コン兄に伝えないと!
 ̄/¬_ ̄/¬_
私はマノちゃんがいない日に、イトコでコン兄の家で集合した。どんな成果があったのか報告し合おうと思う。
「クノのお母さんは、おじいちゃんおばあちゃんの写真を見せてくれたよ!」
「「えっ!?」」
「僕の父は、祖父母との思い出を教えてくれましたよ」
ま、待って………クノちゃん、写真を見たの?私達は無いと言われた写真が、あるの?
私とケントは思わず目を見合わせた。
「写真を持って来たよ~!」
そう言って、クノちゃんは鞄から古そうな写真を取り出す。モノクロの写真。
その中には優しそうに笑う髪の毛をお団子にした女性と、腕を組んで睨んでいる長身の男性がいた。きっとおじいちゃんおばあちゃんだっ!
写真が一個しかないなら、お母さんの言っていたことに筋は通るけど………おじいちゃんおばあちゃんは写真が苦手なんじゃなかった? あれれ? 何が本当でどれが嘘か、分からないっ。
私は混乱しながら、もう一度写真を見た。
「おかしい……お母さんは、おじいちゃんおばあちゃんは写真が苦手で一枚も写真が残ってないって言ってたのに………」
「そうなのですか?」
ケントの言葉に信じられないと言うようにコン兄が食いつく。
クノちゃんも驚いた表情で固まった。
「祖父母に何か秘密があることは間違いではありません。必ず秘密はあります。どうしますか……?」
コン兄が真剣に、一言一言喋る。
おじいちゃんおばあちゃんに秘密………。何か事情があるの?でも、事情が無い限り嘘はつかないと思う。じゃあ、どういう事情なの?
謎が増えちゃった!
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