第5話、作戦会議


今すぐ会議を行いたいようなので円華ちゃんに校内を案内してもらっていると、

大さんが俺にだけ聞こえるように話しかけてくる。


「凛太朗くん、ぶっちゃけあのデカゴブリンと戦いたいんやろ?」


俺から戦いたいオーラがそんなに出ていたとは思わなかった。


「バレましたか...」


「やっぱりな~ 君、訳ありみたいやから一人だけで戦えるように会議を誘導したってもええで、どないする?」


やっぱりこの人には何でもお見通しのようだ。


「そうしてもらえると助かります。」


「任せときな! その分しっかり戦ってや!」


「はい!それはもう!」


俺たちがひそひそと話していることに気づいたのか、円華ちゃんが不機嫌そうな声で言った。


「ここで会議を行います。ほかのメンバーを呼んできますので中でお待ちください。」


会議室と書かれた部屋に入ると、大きな四角形の机を囲むように椅子が6つ。


俺は適当な椅子に座り、大さんと軽い会話しながら時間をつぶした。


ガチャ


ドアの方を見ると、円華ちゃんと廉くん、それと知らない男女の計4人が入ってきた。


全員の着席が終わると、皆の自己紹介が始まった。


「では僕から!名前は尾崎廉です!スキルは《炎魔法》です!火が出せます!」


俺は廉くんの言葉に驚愕した。スキルってそんな簡単にしゃべってもいいものなのか...?


デウすけのことを気軽に説明できない以上、兵装の投影をスキルと言い張ろうと考えていたので。


いい感じにスキル名を捏造しようと考えていると、大さんが助け舟を出してくれた。


「八雲 大ですぅ。って言っても俺のことはみんな知っとるなぁ。

スキルは相も変わらず秘密や。あとそこの兄ちゃんも秘密にしたいみたいやから、

詮索せんといたってや。」


「はい、秘密ってことでお願いします。」


心の中で大さんに猛烈感謝しながら、ほかの人の自己紹介を聞く。


体育会系美少女といった感じの女の子が自己紹介を始めた。


「森下 茜です!スキルは《槍使い》です!陸上部で槍投げしてたからかな~なんて考えてます!よろしくです!」


円華ちゃんとはまた違った良さがある元気な女の子だ。

褐色系イイネ! ロリコンじゃないよ....


続いて眼鏡をかけているちょっぴり暗い感じの男の子が自己紹介を始めた。


「浅野 修です...スキルは...《呪詛》です...よ、よろしく。」


呪詛!?なんだその恐ろしいスキルは!?

嫌われないようにしないとなぁ...


などと考えながら自分の自己紹介を始めた。


「和泉 凛太郎です。スキルは大さんが言ったように秘密ですが、戦闘はそこそこできます。よろしく」


俺は小恥ずかしさ感じながら着席した。


「では最後に私から、西宮円華です。スキルは《魔物図鑑》です。特定の条件を達成することでモンスターの情報を取得することが出来ます。」



『リン!その情報欲しいです!』


耳もとでデウすけの声がした。

デウすけさんや、今回は君の出番じゃないから帰りなさい...


よし、円華ちゃんの自己紹介に戻ろう。


「それと私は《知識神の加護》というものを持っています。加護については、私も詳しくわかっていませんのでご了承ください。以上です!」


加護か、そういやそんなのあったな。

この口ぶりからして加護は持っている方がまれなのだろう。 


〇ね!加護なしめ!  


てな感じで差別をうける世界観じゃなくてよかった~ と思う凛太朗であった。


「これで全員の自己紹介は終わりですね。では次に作戦会議に移りたいと思います!」


さぁいよいよ本題だ。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「まず最初に今回の作戦の目標についておさらいします。」


円華ちゃんが黒板型モニターに何かを書き始めた。


グレートソードゴブリンジェネラル


あっ将軍なのね... ってことはもっと上の個体もいるのだろう。


「これは私のスキルが教えてくれた例のゴブリンの正式名称です。

名前が長いので、今後はつよつよゴブリンと呼ぶことにします。」


よし!大丈夫だ、もう笑わないぞ!


おい!廉くん!茜さん!笑うんじゃない!彼女はいたって真剣なんだ!


笑い声なんかお構いなしに話を進める円華ちゃん。


モニターに作戦資料が映される。


「今回の作戦の目的は、このつよつよゴブリンの撃破です。

作戦内容について話します。まず初めに、つよゴブには4体の取り巻きゴブリンがいるのでそれらを分断し、一人につき一体を相手する状況に持っていきます。」



あっ、もう略しちゃうのね...



「本校でゴブリンとの討伐経験があるのは大さん、茜さん、廉くん、修くん、の4人だけです。ですので大さんに戦闘ができる人を探してもらっていた次第です...

単刀直入に聞きます、凛太朗さんにつよゴブのお相手を任せてもよろしいですか?」


願ってもないお誘いだ。なにより取り巻きの対応を任せられるのもありがたい。


「うん、それで問題ないよ。」


「ありがとうございます!では決まりですね。決行は明日の朝9時とします!

みなさん遅れないようにしてくださいね。それでは、解散‼」




会議が終るころには、時刻は6時を回っていた。


夕日を見ながら黄昏ていると、大さんがやってきた。


「もうすぐ晩飯やで、それと今日はゆっくり休みや。」


今になってようやく今日何も食べてないことを思い出した。

あまりにも多くのことがあった一日だった。

今日ぐらいは、何も考えずに寝てしまうのもいいだろ。


「はい、そうさせてもらいます」


「それがええ、明日は期待しとるよ~。 よしゃ食堂行くで!」






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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