第2話、ゴブリン退治


「全兵装、問題なく作動しています。思いっきりやっちゃってください!」


「了解! はっ!!」


自動ドアを力任せに蹴破ると、重い金属扉が

軽く吹き飛んだ。


グチャッ


何かが潰された音がした。


「ゴブリン2体です。死ぬ前にトドメを!」


とデクすけが言うので吹き飛んでいったドアを確認すると、緑色の気持ち悪いのが下敷きになっていた。


俺は急いで刀身の温度を上昇させ、ゴブリンの首を軽く撫でるように切る。


ドサッ


思ったよりもあっさりと首が落ちた。

最新の軍用刀なだけあってとんでもない切れ味だ。


突然、身体中が熱くなり体に何かが入り込んでくるような感覚に襲われた。


『レベルアップしました。』


脳内に再びアナウンスが響く。


「これがレベルアップか...本当にゲームみたいだな」


「レベルアップおめでとうございます!これでリンはレベル2ですね!

ようやくスタートラインといったところです!」


あきらかに強くなったという確信があった。


先刻までは戦闘服のサポートがあっても少し重く感じていた刀が、まるで棒切れみたいに軽い。


「リン、先ほどの音で他のゴブリンに気づかれました。警戒を!」


急いで近くの観葉植物で身を隠しながら廊下の先を観察する。


「デウすけ、敵の位置を見せてくれ!」


「了解です! パッシブソナーのノイズを

除去中... 表示します!」


うおっ 結構デカいな...


廊下の先にある休憩スペースにいる身長150㎝くらいの猫背のシルエットが3つが、

ゲームの壁透けチートのように表示された。


「3匹か、前のが孤立しているな... 左奥のやつが持ってるのは棍棒か?」


「はい、各個体の危険度を考慮すると、前、左奥、右奥、の順に撃破することを推奨します」


「了解ィ‼」


俺は刀を強く握りしめ走り出す。

廊下を全力で駆け抜けると、3匹のゴブリンが凛太朗の接近に気づく。


先頭のゴブリンが慌てて投擲攻撃を仕掛けようとするが...


「おせえぇぇ!!」


俺は助走の勢いのまま飛び上がり、刀を振り下ろす。

白い壁に紫色の鮮血が飛び散る。


「次ぃぃ!!」


ゴブリン死体を右のゴブリンに蹴り飛ばしつつ、危険な棍棒持ちに肉薄する。


俺の刀を棍棒で防ごうとするので、それごと切り裂く。


「最後おぉぉ!」


棍棒持ちを難なく撃破した俺は、最後のゴブリンを邪悪な笑みで睨みつける。


よほどの恐怖に「ギャェェ」と情けない声を上げながら逃げ出すゴブリン。


「デウすけ、ハンドガンを投影」


持っていた剣を投げ捨て、右手をゴブリンに向ける。


「了解です!グラック69ハンドガンの投影を開始します!」


いかにもハンドガン!といった形の物体が右手にすっぽりと投影される。

自動照準機能のおかげで全くの素人である凛太朗にもすぐに使いこなすができた。


バンッ!


銃声が響き、最後のゴブリンが息絶える。


『《レベルアップ》しました。』


またあの声が脳内に響いた。

これで俺はレベル3だ。


戦闘が終わって辺りを見渡すと、ヒートソードのせいで肉の焼けこげた匂いが充満していた。

さながら、地獄のバーベキュー会場といったところだ。



「お疲れ様です、リン。棟内にはまだゴブリンが残存していますが、どういたしますか?」


さっきまでとは打って変わって、落ち着いた声のトーンでデウすけが言う。


残りのゴブリンをどうするかって?そんなものは決まっている。


「もちろん、 殴殺だぁ!!」


「了解で~す!」







こうして凛太朗たちは、研究所内あわせて32体のゴブリンを皆殺し、レベルは7まで上昇した。

レベルアップという自分の成長を把握しやすいシステムは、彼の脳の報酬系をバグらせた。


彼にとってのモンスターとは、自分の知的好奇心を満たすためのおもちゃであり、

レベルを上げるための経験値に過ぎないのであった。







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