第26話 生徒会に入る


 俺は家に帰って自分の部屋に行くとお姉ちゃんの部屋のドアは締まっていた。そして午後六時過ぎに帰って来た。少ししてからお姉ちゃんの部屋に入って


「お姉ちゃん、生徒会に入るって何か条件有るの?」

「別に無いわ。役員選任は私の専権事項よ。入る気になったの?」

「実は…」


 俺は今日言った事を話してから

「生徒会の仕事は出来そうにないけど、帰りは前にお姉ちゃんが言っていたようにバッグ持って生徒会室に行って少し経ってから下校したい」

「そういう事なら問題なわよ。お姉ちゃんの言った通りでしょ」

「うん」


「明日から来なさい」

「分かった。ありがとうお姉ちゃん」

「京之介、その代わりと言ってはだけど、来月の中間、真面目にやってね。あなたなら満点なんて簡単でしょ」

 

 仕方ないか。

「分かった。真面目に解答するよ」



 弟が部屋から出て行った。やはり他の生徒に気付かれたか。古城さんと杉崎さん。古城はともかく杉崎さんは要注意。京之介は気付いていない様だけど、彼女はあの男の妹。

 しかしその子が弟を好きになるとは。でも純粋に好きになっただけなのかしら?




 俺は、その日の夜の奈央子さんとのスマホの会話で生徒会に入る事と入る理由を話した。

「そうですか。でも下校時は京之介さんの身の安全が確保されましたけど、校内で古城さんと杉崎さんと会話するのは嫌です」

「奈央子さん、他の人への良いカモフラージュになります。それに二人にはあまり積極的にならない様に言っておきます」

「ですが、二人共京之介さんに恋心を抱いている事は明白です。心配です。とっても心配です」


「大丈夫です。最悪、最後の手もあります」

「最後の手って、私達の関係の公開ですか♡」

「奈央子さん、喜んでいません?」

「そ、そんな事はないですよ。京之介さん♡」


 どう見ても怪しい。何とかあの二人をなるべく静かにさせるしかない。



 俺は、翌日から放課後は生徒会に行く事になった。古城さんと杉崎さんに生徒会への参加を言うと残念がっていたけど、お姉ちゃんからの命令と言うと仕方ないという顔をしていた。お姉ちゃん流石だ。


 それから二人には、別々に言ったけど、友達としての距離感を保つようにお願いした。


 べたべたは絶対に駄目。中休み毎に遊びに来る事も駄目。お昼も傍で食べてもいいけど同じテーブルは駄目。


 でも、これって友達の距離だよねって言うと二人共そんな事無い。もっと近いと言って来たけど、それなら友達解消と言って脅した?

 流石に友達を解消される訳にはいかない様でこれも聞いてくれた。


 お陰で十月に入っても二人共適度な友達感覚の距離で話が出来る様になった。夏目さん達も同じように話したいと言うので距離感を守ってくれるなら良いと言っておいた。


 この位だと奈央子さんも我慢出来る範囲らしい。でも智が何故かハーレム男とか言い出した。この位なら中学の時も同じだったのに。



 そして十月も第二週に入った火曜日、担任の藤堂先生が朝の伝言で


「今日から中間考査ウィークに入る。二学期始めの考査だからって手を抜くんじゃないぞ。

 その気持ちの緩みは心地いいもんだ。こいつは後へ後へと伝染する。そして気が付いた時はもう手遅れになっている。だから気を緩めずに考査に向き合う様に。次の連絡事項だが…」


 この先生、言葉はきついが正しい事を言っている。人間にとって心地良い物ほど一度その中に浸るとそこから抜けるのが難しくなる。


 しかし、考査ウィークか。智達と勉強会する事約束しちゃったしな。今週だけ生徒会へ行くの止めるか。


 お姉ちゃんに言うと

「勉強会終わったら一度生徒会室に来ると良いわ。その方が安全よ」


 確かにその通りだな。智達にはそう言っておくか。


 この日の授業も終わると右隣りに座る智が

「京、頼む」

「ああ、いいよ。約束だからな」


 そこに古城さんが

「私も駄目かな?」

「智、どうする?」

「俺と弥生ちゃんはいいけど」

 

 それを聞いた夏目さん達が、

「じゃあ、私達もいいよね」


 お陰で図書室には俺、智、古城さん、夏目さん達三人の計六人が行く事になった。席空いているかな?


 図書室に行くとまだ席は空いていたけど、碧海さんを入れると七人だ。この人数を一度に座れるテーブルが無い。


 仕方なしに、俺、智、弥生ちゃんと古城さん、夏目さん達三人に別れて座る事になった。


 勉強を始めるとほどなくして

「早瀬君、ここ空いている?」

「杉崎さん」

 

 確かに俺の隣は空いているけど、彼女の声に隣に座る四人が一斉にこっちを見た。


-なんで、杉崎さんが?


「智、どうする?」

「ここまで来れば全部埋まっておいた方が良いんじゃないか」

「分かった。杉崎さん。いいよ」

「ありがとう」


 古城さんや夏目さん達の視線と杉崎さんの視線凄まじい。アニメならまるでレーザービームのぶつかり合いで火花が飛んでいるんじゃないかと思ったくらいだ。


 最終下校時間を知らせる予鈴が鳴ったので、席を立つと奈央子さんと視線が合った。でも彼女は表情を変えない。

 軽く両耳に掛かった髪の毛を耳の後ろに回しているだけだ。慣れたのかな。


 皆にこれから生徒会室に行くと言うとせっかく一緒に帰れると思ったのにと言って渋ったけどそれを避ける為の生徒会だ。お姉ちゃんの言う事はいつも正しいな。


 途中にあるに日曜日は奈央子さんと会った。この日は奈央子さんの家の方向から少し行った所にある市立の図書館で一緒に勉強した。流石にここなら誰にも見られる事はない。


―――― 

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る