第4怪 幽霊屋敷  清水 燈

1.転居

 引っ越しの荷ほどきを終えて、自室を出ると母は食器を棚に並べたりキッチンを忙しなく動き回っていた。父は大きい家具だけ配置し終えて自室に引き上げて自身の荷物を片付けているのか姿はリビングには見当たらない。


 私達家族は高校進学のタイミングで高校にも近いこの飛鳥市へと引っ越しすることになった。元々住んでいた所も狭い程ではなかったのだけれど、こちらの方が安い上に行政から補助金が出たりと好都合であったことも大きく影響していた。もちろん両親がここを気に入った、実際こんな風に両親が楽しそうにしているのを私は久しぶりに見た。私としても学校に前の場所より近いこと、私の自室が広々していたりそういう部分が気に入っている。今のご時世友達とはスマホでいつでも話せるし会えない距離でもない。心機一転、人生の節目として良いと感じている。

 この家なら休日とか大きな休みに友達だって呼べるしお泊まりだって可能、大いに私は喜びを見いだしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る