第30話 真相 その④

 おずおずと、エリーが質問する。アリスからそう聞いたから、エリーはわざわざ討伐隊から離れたのだ。

「最初はそう計画したのだが、よく考えてみたらアリスが王子と結婚したら他の女性達から嫉妬されてしまい、結果として魔法使いのギルトにも悪影響がでるかもしれん!と気づいたのだ!」

 それを聞いた三人の修道女達は、同時に何度も頷いていた。もしアリスが王子と結婚したら、妬んで魔法使いのギルドにも良くない感情を持つ、と。

「それに新たな魔物から守る!の方がまだ老若男女から指示を得やすい!囚人なら、どっちみち死刑になるのだから、倒されたとしても手間が省けるだろ!」

 握手をぐっと握りしめながら、ギルド長はさらに演説した。

「もし無実の人だったらどうするんですか⁉」

 思わず、エリーが叫んだ。ダンクのように、冤罪の人が殺されてしまうかもしれないからだ。

「はあ?無実とかありえないだろう?」

 ギルド長は、エリーを世間知らずの小娘だと馬鹿にする顔で反論した。

「いや、その可能性はある」

 重厚な声が、地下室に響く。

「…国王様⁉」

 その声を聞いたギルド長は、一気に噴き出た汗で全身が冷えた。がくがくと震えながら、そこから動けずにいたのだ。

「…魔物の格好をさせられていた者の一人に、冤罪者がいた。もしその者が殺されていたら魔法使いは無実の人間の命を奪うことになるのだぞ」

 厳しい国王からの視線に、ギルド長は反論できない。まだ止まらない汗を拭う事も出来なかった。

「先ほどから、話は全て聞かせてもらった。お前には、ギルド長を辞めてもらう」

 国王からの宣言に、ギルド長はがっくりと膝をついたのだった。



 次の日、エリーと兄弟であるアーサーとアリス、そしてジョージ達は国王の玉座の間に居た。

 横一列に立って並んでいるエリー達は、玉座に座って手紙を読んでいる国王を静かに見つめていた。その左の宝石が付いている立派な椅子には、昨日無事に助け出された王子が元気そうな顔で座っていた。


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