第25話 復活した魔王の正体!?

凄みを聞かせた声で、アーサーはさらに剣先を少し前へと出す。

「―――⁉」

 アーサーの剣先が、突然折れた!

「…⁉」

 いつの間にか、別の大剣がアーサーと魔王の間に差し込まれていた。そう、まるで魔王を守るように。

「…誰⁉」

 その剣を握っていたのは、見知らぬ青年だ。長い銀髪と、貴族のような上等なデザインの衣装を身に着けている。

「…お兄様⁉」

闇のように濃い深紫の鎧を身に着けていた魔王から、若い女の声がした。

「…え⁉」

 その衝撃発言に、アーサーだけでなく、アリスとジョージも思わず青年と魔王を何度も見比べていた。


「お兄様!生きていらしたのですか⁉」

 大柄の男が着るような鎧から、再び不釣り合いなくらいの若い女の声がした。

「昨日、お兄様が人間に殺された!と知らせがあって、大急ぎでこの城まで来たのです!そうしたら城の中は荒らされていて、みんなは光る箱の中に閉じ込められていたんです!」

 慌てふためきながら、鎧はこの城まで来た理由を話す。

「その魔法をかけた人間を捜しているうちに、隣の国が騒がしかったので見てみると、その国の騎士が『お兄様を倒した!』と言っていたので、敵をとるために王子を攫ってこの城までおびき出したんです!」

「そうか、すまなかったな」

 必死な声から、兄を思う気持ちがよく伝わってきた。そんな妹へ、青年は優しい顔で頭を撫ぜた。

「だが、なぜ私の鎧を着ているんだ?」

「お兄様が復活した、となれば人間たちは動揺するから…」

 そのやり取りを見ていたアーサー達は、ようやく事態が飲み込めてきた。

青年が、昨日戦った本物の魔王で、今目の前で話している鎧の方は魔王の妹だ、と。

「…妹がいたのか!」

 目の前で見ていたアーサーは素っ頓狂な声を出してしまった。

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