第23話 再び魔王城へ

 この魔物達の中身は、みんな人間だったのだ。しかも、その内の一人はジョージがこの間捕まえた盗賊だったのだ。

「…どうして、こんな事を」

 魔法使いは関わっていないとはいえ、アミナ教会が関わっているとなったらそこの修道女であるエリーの立場は悪くなる。アリスは、エリーへの心配から頭が混乱しかかってきた。

「分かりません。ですが、このままにしておくわけにはいきません」

 ダンクが「自分は無実だ」と言っていたのも気になる。エリーは、この謎も解決する気でいた。

「ですが、先に王子様を助けに行きましょう!そのご褒美として、この件の調査をお頼みするんです!」

 その提案に、アリスははっとした。同じ教会だからとはいえ、さすがに王子を助けた恩人まで悪く言わないだろう。

「よし!行こう!…って、その前に新しい剣に換えないと」

 王子をさらった魔王の強さは、アーサーがよく知っている。一度倒した相手だからってなめていい相手ではない。

「この人は、どうする?」

 アリスの言葉に、ジョージは考え込む。ここで待っててもらうより、一緒に行動した方がまだ安全なのだが、だからと言って魔王との戦いに巻き込むわけにはいかない。

「私が守ります!だからダンクさんも一緒に行きましょう!」

 エリーの宣言に、ジョージは「それがいい」と判断した。折り紙付きの防御魔法の使い手であるエリーの傍に居れば、安全は保障できる。

「すまないが、一緒に来てくれるかな?その代わり、君の件についてしっかりと再調査してもらうから」

 頭を下げてきたジョージに、ダンクは「いえ、こちらこそお願いします」と逆に頭を下げてきたのだった。



「これは…⁉」

隣国に入ったアーサー達は、衝撃を受けた。昨日、瓦礫の山だった魔王城が完全に復興していたからだ。

「まさか一晩で立て直した…⁉」

 魔物は魔法が使えないが、魔王は魔法が使える。アーサーは昨日の戦いで確認していた。 

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