第22話 魔物の正体!?
ジョージが青年の格好を見て、疑問の声を出す。今まで犯罪者を捕まえた後、事情を聞くために牢屋に訪れた時に、そこに入れられていた犯罪者が着せられていたのと同じ服だったからだ。
「じゃあ、あいつは犯罪者ってことか…?」
訳がわからない、と言わんばかりにアーサーがもらす。そもそも、なぜ犯罪者が魔物の格好をさせられていたのか?
「あの…、あなたは?」
泣き止んだところを見計らって、エリーは聞いてきた。
「僕は、ダンクと言います。この国には出稼ぎでやって来たのですが…」
ダンク、と名乗った青年は、エリーへ詳しく話し始める。
働いていた店で『横領した』と言われ、有無を言わさず捕まってしまった事。牢屋ではなく、どこか暗い地下室に連れられた後、あの熊の魔物の皮で出来た着ぐるみを無理やり着せられてしまい、この森まで連れてこられた、と。
なぜか話すことが出来なかったので、助けを求められなかった。さらにどんなに岩や木にぶつけても傷一つつかず、どうしても脱ぐことができなかったのだ。
「それは、魔法が掛けられていたからなんです。鎧など装備が外れないようにする魔法が」
エリーによると『鎧が外れないように、上から魔法で出来た丈夫な膜で覆う魔法がある』とのこと。しかもそれは解除の魔法をかけない限り、脱ぐことができないのだ。
なお、エリーがさらにかけた魔法は『束縛を外す魔法』だ。この熊の魔物の着ぐるみはかなり精巧にできているので、縫い目を探すよりこの魔法をかけた方が速い、とエリーが判断したからである。
「そんな魔法があるのですか…」
「しかも、これはアミナ教会の人が使える魔法なんです」
エリーの説明に、アリス達は衝撃を受けた。アミナ教会の関係者が、犯罪者に魔物の格好をさせる、という行為に手を貸しているというのだ。
「…まさか、他の魔物も⁉」
別の場所で、エリーの魔法によって捕まっている同じ魔物もその可能性がある。ジョージはすぐ、エリーへ指示を出したのだった。
「…マジかよ」
エリーが呪文を唱えた後、光る箱の中を見たアーサーが絶句した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます