第15話 出発!
アーサーは、エリーと同じアミナ教会の修道女であるあの三人娘がいない事に気づく。
「お昼食べた後に『町へ買い物に行く』と言って出て行きましたよ。呼び戻しますか?」
前列に居た騎士の一人が、アーサー達へそう説明した。
「ああ、頼む」
エリーの方が圧倒的に実力が上だとしても、彼女らは討伐隊のメンバーだ。ジョージは騎士達の後ろに立っていた魔法使い達へ、メダルを使って知らせるように指示したのだった。
城の裏口から出たエリー達四人は、回り道をして国境へと向かった。
エリーが使った《天空の虹の通路》で移動しなかったのは、空から向かったら魔王に見つかってしまうからだ。魔王が「来い」と言ったとはいえ、空からだと迎撃されてしまう恐れがある。
それに王子が復活した魔王に攫われた事を、国民に気づかれるわけにはいかなかった。もしかしたらすでに目撃されてしまったかもしれないが、それでもなるべく目立たないようにエリー達は行動していた。
一行は、エリーがかけた『歩く速度が十倍になる』魔法のおかげで、あっという間に国境の近くまで着いた。隣国へ入るための手続きをするため、エリーは一旦魔法を解く。
「さすが、魔法だと早いなー」
アーサーが感心した顔で呟く。あんなに早歩きをしたのに、ちっとも疲れていない。
「これ、便利な魔法よね」
アミナ教会に仕える者だけが使える魔法に対し、魔法使いのアリスも感心する。ちなみに魔法使いのギルドに所属している魔法使いは、攻撃魔法しか使えない。
「急いで検問所へ向かうぞ」
ジョージがそう言いながら一歩踏み出そうとしたその時、
「おい、お前ら」
後ろから、急に呼び止められた。エリー達が一斉に振り向くと、アリスが顔を強張らせる。
道の真ん中に立っていたのは、二十代半ばの若い男だ。黒色の短い髪に、まあまあ整った顔。通りすがりの村人にしては、かなり仕立てのいい服を着ている。
「…お前⁉アロガン!」
アーサーが苦虫を噛潰した顔で、アリスの前に出る。エリーもつい、身構えてしまった。
「魔王を倒した、って聞いたんだけど、何やってんだこんな所で?」
ぞんざいな口調でかつ上から目線で、アロガンは聞いてくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます