第14話 戻ってきたエリー

 そう言うと、国王は玉座へと歩き始める。ジョージは国王を支えながら、一緒に移動していった。

「…エリーは、来るよな」

「来ると思う。こんな一大事になったんだから」

 小声で話すアーサーとアリスは、同時に窓を見た。すると、虹色の通路が窓に向かって伸びてきたのだ。

「あれは…⁉」

 虹色の通路の上を、修道女が走ってきた。リュックを背負い、息を切らしながら。

「エリー!」

 虹色の通路が窓際で止まると、エリーがそこで立ち止まった。深呼吸をして落ち着かせると、一礼をして背筋を伸ばす。

「空からのご無礼お許しください。わたしはアミナ教会の修道女である、エリーという者です」

 奥の玉座に座っていた国王に向けてか、エリーはそう挨拶をした。討伐隊が結成された時、国王に会ったのはジョージだけだったからだ。

「エリー!」

 ジョージが、エリーを見てそっと自分の口に人差し指を立てる。

「…国王様は今、返事が出来る状態じゃない。このままにしておこう」

 顔を下に向けたまま、国王は一言も発しなかった。まるで、エリーの声が聞こえていないように。

「…ええ」

 頷いたエリーは、ジョージの隣へと移動する。一列となって、ジョージ達は国王へと宣言した。

「王子様は、必ず無事に助け出します。…では、失礼します」

 一礼した四人は、沈黙した国王を残して、玉座の間を退出していった。


 王子が誘拐された事は、他の討伐隊のメンバーにもすぐ伝えられた。

 騎士達はどよめいていたが、ジョージは「まず自分達四人で先に魔王城へ偵察に行く」と話す。王子が捕まっているため、大勢で突撃するわけにはいかないからだ。

「エリーがいれば、王子は無事に助け出せる。まずはここで待機してくれ」

 ジョージからの指示に、騎士達は全員反対することなく「はい!」と返事した。エリーなら、絶対に王子を無事に助け出せる、と確信していたからだ。

「あれ、あいつらは?」

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