第13話 緊急事態!

「王子が…⁉」

 膝から崩れ落ちる国王を支えながら、ジョージはアーサーとアリスに向けて言う。

「今から助けに行くぞ!アリス!エリーに知らせてくれ!」

 真剣な顔で頷いたアリスは、首から下げていたメダルを右手で持つと、目を閉じて心の中でエリーへのメッセージを思い浮かべた。


「嘘でしょ…⁉」

 古城の中、細長い光る箱の中で横たわっている青年の傍にいたエリーは、メダルを通じて送られてきたメッセージに困惑していた。

 メッセージがジョージからになっていたのは、これを送ったアリスが『少しの間、別行動をしてほしい』というアーサーの意見に賛成したからだと思うが、エリーはそんな事を気にしている場合ではない、と理解した。

「とにかく城へ行かないと!」

 一番近くの窓まで走ったエリーは、いったん足を止めて外を見回す。

 窓の外には青空が広がっており、下には今でも人がいない町。もしここから飛び出せば、確実に命の保証はない。

「守りの女神アミナ様!私に虹の通路を渡らせてください!《天空の虹の通路》!」

 エリーの杖の十字架からの光が、真っすぐ前へと伸びていく。その光が虹色になると、エリーは窓から伸びる虹色の通路の上を走り出した。

 すると、数十倍のスピードでエリーは虹色の通路を進み始めたのだ。あっという間に、検問所へとたどり着いた。

 突然空から現れたエリーに兵士達は驚いたが、必死の形相で通すように頼んできたエリーの剣幕に押され、すぐに許可した。エリーは兵士達へ礼を言うと、再び魔法で虹色の通路を出して国王の城へと向かったのだ。


「私達は、魔王の城へ行きます」

 まだ膝をついたまま、悲しみで顔が上げられない国王へ、ジョージは声をかけた。

「…王子を、助けてくれるのか?」

「もちろんです!再び魔王を倒します!」

 力強く、アーサーは宣言する。アリスも、国王へ「必ず、王子様をお助けいたします!」と決意を述べた。

「…そうか、頼むぞ」

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