第6話 アーサーからの頼み その②
この世界の魔法使い達は、戦の神である
そして国民など他者からの『神であるバリガを信用する気持ち』も、魔法使い達の重要な魔力の源であった。あちこちに建てられているバリガの神像がその気持ちを少しずつ集める事で魔力へと変換し、それはメダルを通して魔法使い達へと供給されるのだ。
「もし信用が減ってしまったら、私達魔法使いは強力な攻撃魔法が使えなくなってしまうの。そうなってしまったら、隣の国のように、魔王に侵略されてしまうかもしれない」
エリー達討伐隊が結成されたのは、二日前に『隣の国が魔王に支配された』という情報が国王の耳に入ったからだ。すぐに国王は配下の騎士達へ魔王の討伐を命じ、今日の朝に《守りの
そしてエリー達と共に徒歩で隣の国へと入った後、国境の近くで昼食を兼ねた休息を取り、準備が整った後に魔王が占領した、国境の近くの街の城へと突撃したのだ。
ちなみにエリー達修道女も、身に着けているメダルが女神であるアミナを強く信用する気持ちを吸収し、変換された魔力があるから回復魔法を使えるのだ。
そして女神アミナの神像もあちこちに建てられており、信用する気持ちを魔力へと変換して忠誠を誓っている修道女へ魔力を供給している。
「エリー達の回復や生活を便利にする魔法はこれからも必要とされるけど、私達の攻撃魔法はそうじゃなくなる。だから私が王子様と結婚すれば『王妃として国を守るため』に、と周りから信用を集めることができるのよ」
アリスは自分が王妃になることで、魔法使いが魔法を使うのに必要な魔力の源を集めやすくしようと考えているのだ。
「…でも、王子様が私なんか見染めるわけないし」
ようやく事情を理解したエリーは、そんな心配はない、と言い切る。
「いや、王子様は家庭的な女性が好みだ、という情報を耳にしたんだ。アリスも家事は出来るけど、エリーの方が得意だろ?」
アリスも認めるように、はっきりと頷く。エリーの方が手際がいいし、味も美味しい、と。
「魔法使いのギルドの長からも懇願されているから、どうしても成功させなくちゃいけないの。だからエリー、お願い」
アリスも両手を合わせて頼み込んできた。エリーは両腕を組んで少し考えると、
「分かったよ。明日の朝から、一旦別行動をとるね」
その返事に、アーサーとアリスの顔がぱっと華やかになった。
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