第4話 脱出!!

「全員退避!魔物より周りに警戒しろ!」

 魔物達も、城が崩れると気づいたのか、騎士を攻撃せずにその場で狼狽えていた。

「守りの女神アミナ様!彼の者達をお守りください!《守りの光り箱》!」

 走りながらエリーは、十字架を付けた杖を掲げる。そこから放たれた光が、一瞬で魔物達を大小の光の箱の中へと閉じ込めた。

「これなら襲われない!エリー!よくやった‼」

 ジョージからの誉め言葉に、エリーは「は、はい!」と返事をした。


 騎士達が城門まで走り切った瞬間、城のほとんどは崩れ落ち、完全に瓦礫の山と化していた。

 振り返った騎士達は、一言すら発しない。ただ、立ったまま白い瓦礫の山の方を向いていた。

「騎士様!お怪我はありませんか⁉」

 一足早く避難していた三人の修道女達が声をかける。彼女たちの顔は、青くなっていた。

「全員無事だ。君達も怪我がなくてよかった」

 一歩前に出たジョージが、修道女達へそう報告する。すると、修道女達は一斉に顔色がよくなった。

「みんな怪我無くてよかった」

 ジョージの隣まで来たエリーが、ホッとした声をかけた。だが、修道女達は一瞬だが眉間にしわを寄せたのだ。

「どうした?」

 それに気づいたジョージが、修道女達へ聞く。それに対し、修道女達は「なんでもありません!」と激しく首を左右に振りまくったのだった。

(エリーに嫉妬しているからね)

 アリスが心の中でそう呟く。エリーは気づいてないが、アリスは討伐隊が出発した時からエリーが一番期待されていた事に対し、この三人が陰口を言っていたのを耳にしていたのだ。

「魔王はアーサーが倒した!これで我が国は侵略される心配はなくなった!」

 ジョージの宣言に、他の騎士達は歓声をあげた。エリー以外の修道女も、感涙している。

「すごいぞ!アーサー!」

「魔王を倒すなんて!」

 アーサーは、仲間達から絶賛されていた。兜を付けたままだったが、片手を頭の後ろにまわしていたことから照れている事は伝わってくる。

「国境を越えたら、そこで一晩野営するぞ!みんな!検問所まで頑張ってくれ!」

「はっ‼」

 

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