第14話 山上SIDE 大人


本当に役に立たない……警察沙汰にしてはならないと山上建設の息が掛かった病院へタクシーで行くよう指示しましたが……医者の話ではもう真面な生活を送れないそうです。


本当に此処まで使えないとは……


此奴らを優遇していたのは、将来、弘毅お坊ちゃまが社長になった時に『渉外部三部』の人間にする為です。


『渉外部三部』は普段は遊んでいて仕事すらしない。


だが、此処ぞと言う時に暗躍する部です。


ヤクザや半グレを使った地上げの指揮。


ヤクザや半グレが事業の邪魔をした時の交渉。


兎も角、山上建設の黒い部分を全部背負っている……それが『渉外部三部』だ。


この三人も、将来お坊ちゃまの為に『渉外部三部』にいれ次世代のお坊ちゃまの腹心にするつもりだった筈が……見込み違いでしたねぇ~


ただの学生にスクラップにされる様な人間。


山上の渉外には要らないでしょう。



「お前達は本当に役に立たないな……父親も無能、当人も無能、坊ちゃまのボディガードも碌に出来ない……敵討ちすら碌に出来ない。 これで、山上建設への就職の道は無くなりましたね! 今頃、貴方達の父親も地方に左遷です……今迄ご苦労様でした」


「まっ待って下さい! 山本さん……俺ら……」


「ゴミクズみたいになった者に興味はありません……ねぇ、黒川俊夫くん、君は目が碌に見えない上に障害が片手に残るそうじゃないですか? 立島浩二くんも目が碌に見えない上に顎を割れた後遺症が残り、入れ歯状態。 久保田哲也くんも足を複雑骨折して生涯治らず目が碌に見えない……そんなガラクタを雇う意味がありますか?」


「ですが……俺らは……」


「もう終わりですね……クズですから……残りの人生は勝手に生きて勝手に死んで下さい」


「そんな……」


「こんな体でううっううっ捨てるのか……」


「うぐっうぐっ」


「可哀そうだから、ここの病院での当座の治療は山上建設で見てくれるそうです……退院したら、もうお別れ、一切山上とは縁が無い物とお思いください……では……」


「「山本さん」」


「もう、会う事はないでしょう……こっちも社長が機嫌が悪くて困っているんですよ! 只の学生に『渉外部三部』を使え! という話しが出ていてね……本当に面倒くさい……あーーっもう……ふざけんなクソガキが……私が冷静にしている間に……黙れ」


クズに用はないですね……


あの男に連絡するのは……本当に嫌なんですよ……


◆◆◆


「沢木さん、お仕事ですよ……」


「山本さんじゃないですか? なんかようですか?」


『ああっん、ああっ沢木部長』


私が仕事で忙しいなか愛人兼秘書とお楽しみですか。


「お楽しみの所悪いのですが、今すぐ本社に戻って貰えませんか?」


『ああっ……ああっ沢木部長……』


電話中位は行為をやめられません?


「それで、私を社長が呼ぶと言う事はなにかお困りで?」


困ってなければ誰がお前に連絡をとりますか......


「お坊ちゃまが、大怪我をされまして……」


「そんな事で私を呼ぶんですか? つけていたガキのボディガードは?」


「全員壊されました……」


「ほう~相手はヤクザですか? それとも何処かの半グレ?」


「ただの学生です……」


「はははっだだの学生があの三人を……まぁ上手く虚をついたのでしょうが……私いりますか? 折角、秘書の杏里ちゃんとハワイに来て遊んでいるのに……」


「お坊ちゃまは顔を焼かれたんだ……山上社長はお怒りだ」


「だったら、あと3日間」」


「社長は貴方に、すぐに仕事をしろとの事ですよ……」


「仕方が無い……すぐに戻りますかね」


「そうして下さい」


本当に、沢木と話すと気分が悪くなりますよ。


ですが、山上建設の汚れ仕事を全部引き受けているのですから......


これも仕事って割り切りますか。


◆◆◆


【沢木SIDE】


「ハァハァ沢木部長……お仕事ですか?」


「杏里ちゃん、折角のハワイのバカンスがもう終わりだって」


「仕方ないですよ……私、沢木部長に誘われて、キャバクラ辞めて入社してから初めて仕事の話を聞きました。私の月給が愛人の手当込み60万ですのに、毎日沢木部長と遊んでばかりでこれでいいのかなって」


「私の仕事は滅多にないからね……その代り、いざ仕事となれば『危ない仕事』ばかりだ……帰って終わらせたら今度はヨーロッパでも経費で連れてってあげるからね」


「ありがとうございます、楽しみにしています。」


しかし、只の子供の喧嘩に私が出るんですか?


山本さんも山上社長も焼きが回ったんですかね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る