第12話 屋上にて

今回もまた結構、残酷な描写があります。


薬品については、正しいかどうか解りませんがソースはありますが、危ない話なので詳しくは書きません。


尤も昭和の時代のソースですから正しくない可能性もあります。





「おい省吾、顔を貸せ!」


ようやく来たか……


しかし、此奴らも学校をさぼっていたんだな......


今頃、通学して来たのか、重役出勤とは偉そうだな。


まぁ、俺も言えないがな……


「ああっん!……それで何処に行くんだ?」


「屋上だ!良いからついて来い!」


此奴が久保田哲也だな。


後の二人は黙って俺の後ろについた。


「お~怖っ!……ついて行くから怖い顔すんなよ!」


「お前が余計な事するから面倒な事になったんだよ、只で済むと思うなよ!」


此奴が立島浩二だな……


「お前、ただボコるだけじゃ済まねーからな」


此奴が黒川俊夫か……


成程、只のガキじゃ勝てねー筈だ。


省吾は俺位のガタイはあるけど、一般人。


ちょっと武道を習った程度だ……


此奴らは恐らく喧嘩なれしている。


そのまま、哲也と浩二が前を歩き、後ろ側を俊夫が俺が逃げないように付いて来る。


まぁ、よくある光景だな。


だが、此奴らは喧嘩は慣れていそうだが……他の経験が全く無さそうだ。


「よぉ、黒川、さぁ~」


「なんだ、命乞い……えっ……うわぁぁぁぁーー」


馬鹿な奴だ。


階段は上に居る方が有利なんだよ!


悩むわぁ~


背中を向けて無防備に前を歩いている馬鹿二人と、後ろを歩いている馬鹿一人。


一瞬で壊せそうなのは俊夫の馬鹿だから、此奴を選んだ。


やったのは簡単。


階段を上ろうとした瞬間、突き落としただけだ。


これを上手くやると後ろから落ちていく。


階段は後ろから落ちていくと本当に危ないんだぜ。


だが、大体はどんな人間でも、咄嗟に頭を本能で庇う。


まぁ、上手く決まると楽だがそう簡単には決まらない。


だから、追い打ちをかける。


「お前、何してやがるーーっ」


「省吾お前ぇぇぇぇーーっ!」


哲也と浩二が駆けつけてくる前に決着をつける。


「痛ぇぇぇーーなぁーーっ! 省吾ぉぉぉぉぉぉーーふざけるなぁーー!」


立ち上がろうとする俊夫の頭を階段に叩きつけるように上からひたすら蹴る。


バキッドカドカドカ……ガキッ。


「うがぁぁぁぁぁぁぁーー、ううっわぁぁぁぁーーー」


コンクリートの階段はさぞ痛いだろうぜ……


かなりの出血があり、皮膚が裂けて頭部の骨が見えている。


ついでに横に落ちていたスマホも踏みつぶし壊した。


まぁ、これで此奴は今は戦えねーな。


取り敢えず、額を縫うような傷は確実だ。


あとは運しだいだな……重度の後遺症でも残ってくれねーかな。


半身不随にでもなってくれれば御の字だけどな......


「馬鹿じゃねーの! そう言うのは自分が安全になってから言うんだぜ!」


「この卑怯者がぁぁぁぁーーっ」


「この野郎――っ」


哲也たちが叫ぶように怒鳴って近寄って来るが……アホか。


「三人で俺をボコろうという奴が何を言うんだ? いつも、いつも複数で俺を袋叩きにしてたじゃねーか? しかも、俺が手を出せない様に人質まで取りやがってよぉぉぉーー! そんな奴が卑怯者だと! 随分、都合が良い話だな……これでもまだ2対1だぜ……屋上まで黙って手を出さないでついていってやんからよぉーー文句言うんじゃねーよ!」


「屋上ついたら只じゃ置かねーからなっ!」


「……クソがっ」


流石に後ろは警戒していやがる。


しかし、俊夫は放っておいて良いのかぁ?


呻きながら階段から動かねーんだけど!


頭がカッカして忘れていやがるのか……


まぁいいや……


◆◆◆


屋上についた。


「弘毅の事よくもやってくれたな!」


「それだけじゃねぇ、俊夫までふざけるな!」


此奴ら馬鹿か?


「俺が手をださないでサンドバックになっていれば祥子に手を出さない約束だぜ……しかも俺から数百万の金をせびった上に半グレに拉致られたんだ! 先に約束を破ったのはお前等だぜ……これで俺が怒らないわけねーだろうが!」


「半グレだと! なんの事だ! それに数百万ってなんだ!」


「あれは、弘毅のふかしで本当に付き合いがある訳ねーだろうが」


なんだ、ふかしだったのか……だが、それじゃ通らない。


『俺には本当の半グレ、ヤクザにやられた傷がある』


「お前等こそ、ふかしてんじゃねーよ! 俺の顔の傷を見ろ! 更にこれを!」


俺はシャツを脱ぎ捨てた。


「それを弘毅がやったと言うのか? 間違いだ」


「そうだ、それは違う……」


驚くよな……自分達がやったんじゃねー傷があるんだから。


「黙れ! お前等が嘘つきなのは良く知っているぜ!」


俺はあらかじめ用意していた、ブラスナックルを嵌めた。


ナイフとブラスナックルは俺にとって相棒みたいなもんだ。


そのまま走っていき浩二の顎を下から軽く殴る。


「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっうくっごはぁ うっぺべっ」


俺は腕力はさして無い。


だが、握り込むタイプのブラスナックルを使って当てれば顎位は簡単に砕ける。


だから、優しく、あくまで手加減して殴った。


それでも、恐らく顎に皹位は入った筈だ。


歯も何本かいかれたのだろう、口から吐き出しだ。


口を押えて転がり込む浩二を容赦なく俺は蹴りまくった。


ドガッ、バキドカドゴッ


ヤクザキックで腹や背中を中心に狙う。


顎を押さえている浩二には良く当たる。


「やめろーーーーーっっ!」


哲也が俺に飛び掛かってくる。


ドカッ


俺の顔に哲也のパンチが当たる。


「痛ぇぇぇぇーーじゃねーかーぁぁぁ!」


此奴、少しはやるな……


マジで痛い。


ああっ目を潰してぇぇぇぇーー


此奴の目を抉って、生涯暗闇の中に落としてやりてーーっ!


だが……それをしてしまうと流石にヤバい。


折角、これから省吾の残した記録で自由に出来るオモチャが居るのに、流石に刑務所には行きたくない。


目を潰すと……重罪になりかねねー。


目をつぶしたい衝動を抑え……俺はよろけて転ぶ振りをして、ブラスナックルを右膝に叩き込んだ。


バキィィ。


恐らく膝の皿が割れたな。


「ぎゃぁぁぁぁぁーーーっ」


哲也は痛さから膝を抱え転げまわっている。


俊夫の奴、気になったのか……頭を抱えながら屋上に来やがった。


あのまま逃げれば良かったのに……本当に馬鹿だ。


馬鹿な奴……逃げるか助けを呼べば自分だけは助かったのに


そのまま、俊夫の手を引っ張り、二人の横に転がした。


◆◆◆


暴れる三人を結束バンドを使い拘束した。


勿論猿轡も忘れない。


浩二はまぁ……凄く痛そうだが、所詮は他人事、気にしない。


「さて、これでこちらの話ができるな? 散々ぱらよくも暴力を振るってくれたもんだ……見ろよ! 俺の体の傷……どう見ても今のお前等や弘毅より酷いよな?」


「ううっうんうん」


「ぐわっうん」


「うんぐっううん」


なにか言おうとしているが敢えて聞く必要はない。


「お前等は黙って聞いていろ……何か言う必要はない……俺は約束を守って此処までされても手を出さなかったぜ! 半グレやヤクザみたいな奴に拉致られて拷問みたいな事もされた……でも『幼馴染に手を出さない』そのただ一つの約束を守って貰う為にな……だが、お前等は此処までしても耐えていた俺との約束を破ったんだぜ……金を出せって言うから、貯金全部吐き出してよぉーーっ。それでも足りねーって弘毅が言うから『男に体を売ってまで金を作った』それでも約束を破ったんだ……これはもう殺されても文句いわねーよな! 返事は要らねーから黙って聞け」


三人とも顏を青くしてやがる……


「それでよ……考えたんだよな、お前等は約束を守らねーし、此処で助けてやっても、また逆恨みして何かしてくる。かといって殺したら俺の人生が終わる……だから、この目薬で終わりにしてやる……その代り誰にもチクるんじゃねーぞ……」


「「「……」」」


俺はある種の薬品を目薬の容器に入れた物をポケットから取り出した。


「うんぐふぅーーううーーっ」


「暴れんじゃねーよ! 暴れるなら殺すぞ!」


俺がナイフを首筋にあててようやく静かになり目薬を差す事が出来た。


哲也のそんな状況を見たせいか……2人は暴れずに目薬を差す事が出来た。


勿論、中身は目薬じゃない……結構身近にある物だ。


塩素系のハイターとかだと完全に失明してしまう。


流石に、それは幾ら此奴らでも誰かに頼る生活になるから話さない訳にはいかないだろう。


だが、ある薬品を使えば……失明まではしないで、大幅に視力を低下させる事が出来る。


簡単に言うなら……人の顔の区別がつかない。


文字が殆ど見えない……その辺りでとめる事が出来る。


これは『目撃者を潰す』方法として一部では有名な話だ。


顔の判別もつかない位の視力障碍じゃもう『目撃者』として意味が無い。


「もう30分経ったか! これで今回は解放してやる……騒がないで終わらせた方が良いぜ……騒いだらお前等がやった犯罪の証拠を警察に渡すからな……」


拘束を解いても痛さから動けない三人を放置し俺は屋上から立ち去った。








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