第2話 正当防衛で逆切れする遺族と裁きの天使
大切な人間の遺影と遺体。
むせび泣く声
あの日おれ達はまた大切なものを奪われた。
忌まわしい陰キャ共に。
田中北斗 享年37才
「本来なら今日は北斗の子どもが生まれる日だったはずなのに…警察として陰キャ共を捕まえようとしただけで言いがかりで陰キャに殺されるなんて…クソっ!あのバカ共に人の心はないのかよ!?」
「陰キャは犯罪者予備軍という事実が広まって徹底的に取り締まった事で犯罪は減ったはずなのに…なんでほくちゃんが殺されなきゃならないのよ!死ぬべきなのは陰キャの方よ!犯罪者ばっかりなんだから疑われて当然なのに何が不満でこんな事…ぐずっ」
「北斗の嫁さんは今日行方不明になった…お腹の子も含めてな…きっと命を絶ったんだ!陰キャ野郎…ぶっ殺してやる!」
当然の感想だった。
いつだって陰キャ共は言いがかりでおれ達の大切なものを奪う。
おれは幼い頃に両親を陰キャに惨殺された。
だからこそ警察になって陰キャの恐ろしさを広め陰キャ犯罪者の検挙に全力を尽くしてきたのだ。
同士が多かったからか陰キャの検挙数が増えたのと同時に犯罪件数が100分の1以下までなった時は大変誇らしかった。
なのに害虫の如く渋とい陰キャがまた大切なものを奪う。
なぜだ、なぜ尊い存在程脆く醜い陰キャは渋とく生き延びるんだ。
「陰キャなんて生まれてこなければいいのにな。生まれてきちまったってんなら今すぐ死んでくれ。キモいからな」
「しぬべきなのはあなたたちでちゅわ!」
「あへ?」
羽が飛んできたかと思ったら1人の遺族の首が飛んだ。
米田智徳 享年35才
舞い降りたのは舌っ足らずでロリ巨乳の天使だった。
「智徳…?」
「嫌…首が…いやああああああああああ!!!!」
「そこ!うるちゃいでちゅわ!」
「へぶぅ!?」
鈴木ジュリア 享年33才
「くそがぁっ!何故おれ達を狙うんだ!?死ぬべきなのは陰キャ共だろうが!害虫を駆除するだけならまだしも無実の人間を殺すなんて許されるわけねぇだろ!?」
「それはこっちのセリフだ。ゴブリンは罪を自覚することすらできないのか」
「ごしゅじんちゃま!むりはしないでくだちゃいね?」
「分かってるよ、確かにこいつらは気持ち悪すぎて同じ空気を吸いたくないけどトドメはちゃんと俺が刺す。限界だった時は言うからその時はよろしく頼む」
「は?おれ達が…気持ち悪いだと!?顔も整っていて優秀なおれ達を気持ち悪くて平気で人を殺すゴミ野郎が侮辱するだと…!?許されると思ってんのか!?殺してやる!どうせ人殺しの仲間を駆除したところで正当防衛扱いだ!テメェを殺した後はそのメスガキを死か…」
「黒天の裁き…舞い散れ裁きの漆黒よ…」
性格が暗い男は黒い羽を生やして撒き散らした。
「な、なんだぐへぇ!」
「は!?首が!首がぁ!!」
「やめろ!おれはまぐはあああ!」
「いやあああああああぼん!」
一瞬にして首が落ちていくバカ遺族達。
所沢陽斗 享年32才
吉田よしえ 享年54才
土井しんのすけ 享年79才
岡野恵梨香 享年24才
「は?なんなんだよ…この光景はよぉ!!?」
「いくつか、聞きたい事がある」
「…」
「黒神黒羽…この名前に聞き覚えはあるか?」
「陰キャくせぇ名前だからよく覚えてるぜ。おれが過去にムショにぶち込んだやつだろ!危険物の爆弾を所持していたんだ!自業自得だろうが!犯罪者の癖にんなしょうもねぇ事で切れてんのかよ!?これだから陰キャはき…」
腕に向かって羽が飛んできた。
「ぐええええええ!!!いでぇ…!ぃでぇよぉ!」
「冤罪だったんだよ。お前達は無実の性格が明るくないだけの人間を何人無期懲役にしてきたんだ?」
「………人の命をなんだとおもってんだ…」
「質問に質問で返すなあああああ!!!これはペナルティだ!お前たちが通っていた学校のゴブリンを駆除してやる!黒羽よ!飛べ!」
ひゅーん…ドカーーーーン!!!
学校のある方角から爆発音が聞こえた。
「ゴブリンではない真っ当な人間は当然避難させてある。だから俺はまったくの無実なんだ。そのくらい脳が腐っているゴブリンでもわかるか?」
「ぐぞぉ!!ごろじ…ごろじでやあああああ!!!!あれ?からだがゔごがねぇぇぇ!!」
「お前をゴブリンにしか効かないウイルスに感染させた。今頃この街のゴブリンは全員もがき苦しんで死んだはずだ。お前もすぐ同じ所にいける」
「死ぬ前にもう一つ聞こう。お前達は人の命をなんだと思ってるんだ?無実の人間を陰キャ扱いしていいわけがない。それによって力を奪われた俺達は天使に助けられるまで力と再起の機会を奪われた。放っておけば死ぬ所だった。そしたらまた無実の人間が狙われる。俺達が生きる為にもゴブリンを殺すしかない。どう考えても正当防衛でしかないのに何故俺達を犯罪者呼ばわりする事ができるんだ?」
「は!!!!!?????」
バカは言葉の意味を理解できないまま地獄の苦しみを味わいながら死んだ。
最期の言葉はこうだ。
「お前は近い将来地獄に落ちる!(起こりえません)絶対にだ!(絶対にあり得ません)テメェみてぇなゴミクズが生きていていいわけねぇからなぁ!(ブーメラン)それが分かったらとっとと死にやがれ!この世界の平和の為にな!!がはぁ!!」
「死んだか…結局ゴブリンは罪を自覚する事ができないんだな」
「ごしゅじんちゃま!けがはないでちゅか!?」
「ドウス、終わったよ。これでゴブリンの被害を減らせればいいんだけど…」
「ごしゅじんちゃま、かっこよかったでちゅわ!」
「君が助けてくれたからだよ。あの日の俺は何も持っていなかった。君と会ってから俺は変われたんだ。あれから丁度1年だろ?ケーキを買ってあるんだ。帰ったら食べよう」
「わーい!ですわ!」
(ごしゅじんちゃまはかわってませんわ…わたちを助けてくれた時と同じ優しくて強いわたちのヒーロー…)
この世界において陰キャ扱いされているもの達は優秀で優しさと強さを持ち合わせている存在だったがゴブリンの嫌がらせによって力を奪われた。
だが前世において性格の明るくない彼らに救われた天使達が一斉に助けにきたことで陰キャ呼ばわりされてきた真っ当な人間達は着実に力を取り戻しつつある…
ゴブリンに支配された世界が在るべき姿を取り戻すまでそう時間は掛からないのであった。
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