第3話 望まぬ才能
「ときどきね、他の世界の魂を記憶を保ったまま転生させるのよ。
そうするとね、そこを特異点として世界の進化が緩やかに促されるの。
多すぎても駄目。バランスが崩れちゃうから。
あなたの世界でもやっている事よ。」
俺に拒否権は・・・
「拒否しても良いけど、もう元いた世界の主神には許可を貰っているから、あっちの世界には戻れないわよ。」
つまりは・・・
「そう、貴方の想像通りよ。貴方の魂はこの世界の狭間でどの世界の輪廻にも入れずに永遠にこのまま。私としてはあまりオススメしないわね。」
なんだよ、それ・・・
突然置かれた自分の状況と、さっき見せられた元の世界の結果への後悔とで頭の中がぐちゃぐちゃになってる…
「もう、そんなに深刻な顔をしないでちょうだい。私も一方的に連れて来ちゃったし・・・
そうね、貴方が私の世界でちゃんと結果を残せたらご褒美をあげるわ。
例えば・・・、貴方を元の世界の今見せたこの時点に一時的に転移させてあげる。
多分1時間くらいしか居させてあげられないけど、それでも貴方にとっては嬉しいんじゃないかしら。」
あぁ・・・、それなら…
例えもうやってしまった事を戻す事が出来なくても・・
せめて一言でも…皆んなに謝ることが出来るなら…
「ふふっ、少しは乗り気になってくれたみたいで良かったわ。」
きっとこれはチャンスなんだ。
皆んなにもう一度気持ちを伝えることができる神様がくれた希望だから・・・
「えっと、エアリス様、私は貴女の世界に行って、何をしたら良いんですか?」
「そうね…最初に伝えたけれど、貴方はあくまで私の世界の変化を促すために投げ込まれたただのきっかけなのよ。
だから何も考えずに、ただ生きるだけでいいわ。私はその結果が欲しいだけだから。
貴方が私の世界で生きた軌跡がどんな結果をもたらすのか、楽しみにしてるわ。」
あまり良く分からないけれど・・・、
全力で自分の人生を全うしろって事か。
「そうそう、そういう事よ。それで私から転生するにあたって、プレゼントをあげる。」
プレゼント?
お決まりのチートスキルってヤツか?
「ふふっ、スキルももちろんあげるけど…私があげるのはギフト。
私の世界ではスキルは努力して成長することが出来る能力の事なの。
才能って言えばいいかしら。チートなんて存在しないわ。努力しなければ伸びないもの。
逆にギフトは努力とは無関係。生まれ持って備わった神様からの贈り物。
例えば異常な力持ちだとか、常人とは明らかに隔絶した魔力量とかね。
選ばれるのは完全にランダムよ。人の決めた善悪は関係ないわ。
私は自分の世界の進化を望むけれど、そこに私の意思を差し込むのは違うもの。
あまりに醜悪な世界になってしまったら、表面上は滅ぼしてしまうけどね、ふふっ。」
神様からの視点ってこういう感じなのか。
この女神様の話のスケールがデカ過ぎて、理解はできるが、全く共感が持てない…
神様なら善人にギフトを与えてくれよ。
そしたら、みんなハッピーじゃないか。
「私は世界の変化を促して、観察する事が仕事なの。その世界に存在するモノを幸せにする事が仕事ではないわ。残念でしょうけどね。」
・・・役割ってヤツだ。
仕方がない事だとは思う…
「まずあなたにはオーソドックスな剣のスキルと魔法全般のスキルをあげるわ。
魔法は、火、水、土、風、光、闇の6系統があるから好きなモノを選んで伸ばすといいわ。
間違ってもいきなり全部を伸ばそうなんて考えないでね。極めるにはいくら時間があっても足りないもの。
魔力量は通常、魔法の練度と共に一緒に伸びていくのだけれど…、ギフトとまでは及ばないけれど、少しだけ身体能力と一緒にサービスしておくわね。」
だいぶズルをしている気がするが・・・皆んなにもう一度会う為にも、貰えるモノはありがたく頂いておこう。
それを伸ばしていくのは、あくまで自分次第。
そう割り切ろう。
「さっきはチートはないって言ったけれど、これだけの才能を持っているってだけで、充分チートって言えるかもね。
まぁ、でもせっかくの転生者だから、すぐに死なれちゃったら私が困ってしまうしね。
私の都合でもあるから、気にしないでいいわよ」
お互いに利があるって事なんだよな。
目的のためには、引け目を感じている場合ではないか。
「ふふっ、そうそう、そうやって割り切りなさい。そういうのが大事よ。そして最後にギフトね。
ちなみに・・・、貴方の奥さんは元の世界でギフトを一つ貰っているのよ。それにあなたもよ・・・」
優奈も俺もそんな大層なモノを持っていた記憶がないんだが・・・
「知りたい?貴方の奥さんが持っていたギフトは・・・・・・・・・・・・・『性豪』よ。
そして貴方は『艶福家』・・・w w」
はぁっ⁈・・・・
「ふふっ、あはははっ!性欲旺盛で精力絶倫、あなた、それでずっと悩んでいたんでしょう?
もうっ、本当おかしいわっw
色々残念だったわね。ふふっw」
いやいや、クッソ悩んでたんだぞ。
優奈と付き合い始めて、お互い初めて同士だったのに・・・
アイツの性欲底無しで・・・
浮気の件だって・・・優奈の性欲の強さを知ってるから、アイツを満足させる為にめちゃくちゃ頑張ったんだ…
「あーもう、ほんと笑っちゃう。でもあなた本当によく頑張ったわよ。
艶福家より性豪の方が格上だから大変だったでしょう。」
最初から優奈のギフトの事を知っていたらなら、違う生き方もあったのかもしれないけど…
結局は、たらればの話だ。
もう一度人生をやり直すチャンスがあったとしても、俺は同じ人生を選択すると思う。
そして今回の事はやっぱり耐えられなかったと思う・・・
「それと、貴方のそのギフトは私の世界に来てもちゃんと付いてくるから。
ギフトって私達は1人に対して1つしか与えることが出来ないから2つも持っているなんて、すごい事なのよ。」
使えるギフトなら、そうなんだろうな・・・
「それでね、私からのギフトは最高だと思うわよ。ふふっ…
ギフトの名前は魔眼、能力は魅了よっ!!」
・・・・あぁこの人、性悪だわ・・・・
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「サレラリ男」、NTRパワーワードの称号を手に入れた。
説明回のつもりなんですけど・・、難しいモノですね。読むのと書くのでは大違いです。
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