第12話 手がかりをつかめ by 蓮
俺は眼の前で真剣な顔をしている沙紀を見た。
本当はこの情報を、自分の力だけで手に入れたかったが。今は、そんな事を言っていられない。
沙紀は、このことを聞いて、どんなふうに思うだろうか?
きっと、つらいだろう。ショックを受けて、でもそんな自分を見せまいとして、強がるんだろう。
「今回の事件は、どうやら。・・・・・・闇野暖人様の会社Nexaraに関係している。」
「え・・・。」
沙紀は一瞬目を見開いた。
俺も最初は信じられなかった。だがこれは事実。アイツに言われたとき、一瞬冗談を言っているのかと思った。
でも、大の大人が十五人ほどで探して見つけた情報。
しかもアイツらはその道のプロだから、余計に信用するしか無い。
信頼している父親の会社が今回の事件に関係しているなんて、沙紀は苦しむに決まってる。
でも、沙紀の知り合いという可能性は低いし、特に暖人さんは沙紀のことが大好きだから。沙紀を襲わせるようなことするわけねえ。
「何を証拠に?」
カイさんが俺の方を見ながら聞いてくる。
俺は「それなんです。」と言って手に持っているスマホの画面を二人に見せた。
俺も証拠が無かったら信じていなかった。
でも、あるんだ。確実な証拠が。
俺はゆっくりと口を開いた。
「沙紀が狙われた場所を確認したんですが。実は、そこにあるはずのないものが、あったんです。」
そう、あるはずのないものが。
「それが・・・。」
「これなんですね。」
沙紀がスマホの画面をじっと見ている。
それは、名刺だった。社名はNexara。しかし個人名のところは汚れていてうまく見れなかった。
「今のところ、ゲットした情報はこれだけだ。・・・・・・これだけだと、この事件にNexaraが関わっているということしかわからない。」
そうだ、もしかしたら。Nexaraの人が協力者として動いているだけで。黒幕は赤の他人かもしれない。
「カイさん、頼みたいことがあります。この事件の証拠を集めるのを手伝っていただけますか。」
俺はカイさんの目を真っ直ぐに見つめながら協力を仰いだ。
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