第2話

 そう、ボクは、超絶!絶滅危惧種という、本って種族だったんかい!って突っ込みたくなる、極めて希少過ぎる種族として転生したものの、絶対五感というスキルとして、視覚を発動させ、辺りを本として見渡してみた。

本として見渡すってどんなんだよ!?って言いたくなるけど、スルーだよ?

色々と気にしていたら、意味ないし。


ふむ…。

ここは、どこかにある城なのかな。

で、先程とフリックと呼ばれた赤ちゃんは…居た居た。

ベビーベッドで、スヤスヤと寝ちゃっている。

髪色は金髪に少し銀に近い色かな。

で、隣には…長髪の金髪に青い目のした、随分と若い女性だね。

ということは、ここって…どっかの国か。

うーーーーーーーーーん。

ここってどういう世界なのか知りたいなぁ。

なんちゃって魔法全般は、何でも出来る魔法ってことだよね。

とりあえず、うーん。

スキルになんちゃって和英辞典ってあったことから、適当に単語を組み合わせながら、魔法を唱えてみるか。

さっきみたいに文法適当なのに、出来ちゃったし。


           ≪ワールド・プレイス≫


何となくという形で、世界の場所って感じで唱えてみた。

だって、ここがどこなのか分からないと、先に進めないし?

で、色々と出て来たなぁ。

PC表示みたいにさっきみたいに出て来ちゃったよ。


・世界:クレセディア・オールネンス

・場所:クリスティーナ王国・セフィーリア離宮


そっか。ここはクリスティーナ王国にある、セフィーリア離宮って場所か。

何たって離宮にいるんだろう。

ま、まあ…異世界の国事情にどうこうと思っていても意味はないか。多分。


コンコンッ…と軽いノックと共に茶髪の女性が入って来たのである。

「シェルファ様、失礼致します。王がお呼びです」

「は、はい…。では、この子を…フリックを看ててくださいね。ミレーヌ」

「はい。畏まりました」

シェルファと呼ばれた女性は、夜伽の服装へと着替えると共に護衛の男性らしき人物と行ってしまったのだった。

「…まだ、フリック様を出産したばかりだというのに、王妃様のお体は…」

「…仕方ないだろう。我が王は男でも女でもない御子様を認めていないのだから」

金髪の青い目の男性は、気の毒にと思う程に産まれたばかりのフリックを男でも女でも無くとも、愛おしそうに見ながら言ったのである。

「…ですが、王妃様のお体のことを思うとこのままでは」

「…そうだな。持たないかも知れないな」

アレから毎日のように呼び出される度、行われている行為のことを思うと、彼らはシェルファの身を考えてしまう日々であった。


何だか…とんでもない世界に転生しちゃったかもしんない。

いやいや。異世界って何処も彼処も色々と突っ込んじゃいけないし。

それにしても、男でも女でもない身体…か。

見た所、確かに今は男の子なのか、女の子なのか、分からないなぁ。

だ、だからといってさ?

透視で見る訳にはいかないからね!?

さすがに見る趣味はないから!


「ふ、ふぎゃー!ふぎゃー!ふぎゃー!」

あ…起きちゃった。

も、もしかして…ボクの思っていることとか聞こえちゃった…とか?

あっ…。でも、フリックって子を看ている二人には、ボクの声。

聞こえて…いないよね?


「よしよし…いい子。いい子ですよ。お母様は少し出掛けているだけですからね」

「ふぎゃー…ふぎゃ…スー…スー…スー…スー…」

そっとミレーヌと呼ばれていた女性は、フリックをあやしながら言うと、あっという間に寝かし付けてしまったのである。

「相変わらずと上手いな…」

「もう半年ですから当然ですよ」

ミレーヌは、何としてでも、今はこの子を育てなければと気持ちだったのだった。

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転生したら本でした。~元・アラフォー女性。異世界で珍道中~ 蒼樹 煉 @seirai25-higuro8

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