せんとうちゅう
竜の首が一直線で飛んでくる。俺は体をのけぞらせて、マト〇ックス回避。そのせいで透明化は解除されたが、問題はない。戦闘は終わった。ボブの戦斧によって切断された
「ソーリー!!ケガはないか?マーサー」
「ああ。大丈夫だよ。ボブこそお疲れさん」
駆けよって来たボブとグータッチを交わす俺。ボブとのコミュニケーションのおかげで、アメリカンスタイルがサマになってきている。
「僕の必殺w亀縛りwwとれた?www」
MVPの勇者たけし。たけしの束縛魔法がなければ、恐らく勝てなかっただろう。だって飛んでるんだもん。
「バッチリ。ていうか必要ない詠唱いれんなしw」
「ばれたかw」
ふざけあう俺とたけしの間に入って二人の肩を抱くボブ。もうこれは学園ドラマのワンシーンである。いつもならリンスとエトワールちゃんもやってくるはずだが、来ない。倒れた
「むぎぎぎぎ」
「リンス様、危ないです」
なんだ?リンスは
危なっかしいリンスの行動に、慌ててボブが補助に向かう。慎重に
「リンス、どうしたんだ?
「ああ、ごめんなさい。ちょっとした実験。ねえボブ、聞いて……」
無事脱出したリンスはボブと話し込んでいる。エトワールちゃんは安心したのか、こちらに来て、俺に怪我がないかと優しく聞いてくれた。腰が痛い痛いなのだ、と甘えようとしたが、神の奇跡をこんなことに使ったらバチがあたる。
「ありがとう。大丈夫だよ(今は。夜に腰が痛くなるかもしれないけどね)」
「良かったです。それよりリンスさん、どうしたんでしょう?」
「んー、なんか戦闘中もおかしかったよな」
「女にはw調子の悪い日がww月に一度あるwww」
たけしの軽口に、顔を真っ赤にしてうつむくエトワールちゃん。俺がたけしに肩パンすると、たけしはサーセンとエトワールちゃんに謝った。たけしも随分素直になったものだ。いや違う。素直な良い子だったのだ。それを捻じれさせた環境があったというだけの事。話が終わったのか、ボブとリンスがやって来た。
「ねえ、エトワール、飛行系の魔法ってないの?」
「空を飛ぶ魔法ですか?それはもはや神の御業です」
唐突なリンスの問いに、「空を飛ぶなんてとんでもないです!!」という顔で答えるエトワールちゃん。
「そっか、そうなんだ」
リンスはあっさりと引き下がった。ボブの顔が珍しく神妙だ。俺と目が合うと、意味ありげにうなずいて見せた。なるほど、さっぱりわからん。今夜にでもその真意を聞いてみよう。
小さな村の人々も俺達を歓迎してくれた。勇者御一行の知名度はすさまじい。どんな田舎でもN〇Kは視聴されているということだ。そう思うと、記録係という役割は大事なものだと思えてきた。村に宿屋はなかったが、男女に一つづつ、小屋というには立派なバンガローを提供してもらった。ありがたい。更にありがたいことに、この村には温泉があるそうだ。
「私とエトワールが先に入るね。上がったら声をかけに行くから」
混浴の夢は儚く散った。すごすごとバンガローに引っ込む。たけしはベッドにダイブし、キャッキャッしている。ボブもたけしに投げられた枕をキャッチし、アメフトの動きを披露している。この修学旅行っぽいノリは嫌いじゃない。撮影しておこう。いつもの癖で、指輪をはめようとして、やめる。今は消える必要がない。戦闘中ではないからね……。
いやまてよ?銭湯中だ。俺はボブとたけしに散歩に行ってくると告げた。
「のぞきっすかw」
「たけし、マーサーはそんな非道なやつじゃないさ」
「そういうのは卒業してる」
フフッと不敵に笑ってバンガローを出る。クールに答えはしたが、脇汗がひどい。そして俺の姿は消え去った。歩く程度であれば透明化は解除されない。湯気が立ち上る方向へ、光差す方へ。
エトワールちゃんのおっぱいが見たい。
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